ネット銀行経由での詐欺が多発している件で
備忘録がてら記事を書くのだが、発端はこれ。私も楽天イーグルスのデータ担当という意味では楽天グループにお世話になっている一方、本件についてはそれとは無関係にネット銀行と犯罪の状況について知られていないことも多いと思うので。
楽天銀行の対応が雑過ぎる
http://yonezo.biz/?p=4405
楽天銀行の口座が凍結してしまいました。 以下
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12150738167
この方(YONEZOさんと仰るのでしょうか)やヤフー知恵袋での書き込みについてですが、楽天銀行であるか無関係に一般論として、この方の過去の取引に問題のある口座からの振込みや入金などが判明したため、一時凍結されたものであって、一般的にすべてのネット銀行で同じ対応になるものだと言えます。
一言で言えば、犯罪者が使ったとみられる口座との間でこの方の金銭の授受があったために一時凍結された可能性が高いです。
楽天銀行がそのあたりの敷居が他のネット銀行よりも高く、利用者の安全を考えて一時凍結をされる確率が高いことも考えられますが、それ以上に、いまネット上でのオークションサイトやC2Cサービスを利用した詐欺事案や、偽ブランド品販売などが増えていることが事情としてあります。
したがって、この方が本来文句をつける先は、口座を一時凍結したネット銀行に対してではなく、そういう不透明な取引を仲介しているオークションサイトの審査の甘さであるべきなんですが、まあ凍結されたらそりゃ驚くし、どうにかしろと言いたくもなりますわな。
で、この対応は金融庁の検査ガイドラインにも含まれているとおり、一般的なもので、全国共通です。
例えば、アメリカの場合だと銀行口座や振り出された小切手がマフィアとの取引に使われる口座と融通されていることが確認されると、金額に関わらず2度めの取引実施が申し込まれたところで実行されずに差し止められ、口座が一時凍結になります。
日本では、犯罪収益移転の可能性のある口座はブラックリストが作られ、その口座チェックに引っかかった先との金銭授受があれば、銀行によってはアメリカ同様に2度めの取引が申し込まれたところで一時凍結になります。
そのあとは、個別事例として取引状況の確認の書類を出せとか、金銭の移動の根拠となる証憑類を提出してもらって、コンプライアンス事務の出番になるんですけど、通常2週間ぐらいかかります。
で、返金がされない時間が長いという点については、これはこの方の取引にきわめて問題のある口座からの取引が楽天銀行経由で行われた可能性があったかも知れず、疑取にかかった以上、この方が正しいかどうかではなく、問題のある口座がどうであったかが調査対象になるため、当然ですが進捗について相手方に連絡を入れることはありません。
[引用] 「預金は返金できないし、凍結の理由も教えられないし、解除するかどうかも教えられないし、凍結解除がいつになるかも教えられないという、
逆に俺が楽天銀行に騙されているような感覚です」
[引用]
ここ1ヶ月間はebayの取引に使ったり、ヤフオクで取引に使ったりと徐々に使用頻度を上げていました。
ここ1ヶ月の入金と出金共に5回くらいで、金額は1000円のものをヤフオクで売ったり、3万円のものを海外からebayで買ったりと、合計で約10回、合計で買ったり売ったり10万円の行き来があったくらいです。
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とありますが、疑わしい取引であると思われた段階で、この方には悪いんですけど凍結理由が開示されることは絶対にないと思います。また、金融庁に連絡したから話が動いたからではなく、金融庁の検査マニュアルに沿って10営業日前後で申し出から調査結果が出て折り返されただけで、通常は金融庁が個別事例で各銀行に対応を促すことはありません。
疑わしい取引の届出制度
http://www.fsa.go.jp/common/paper/18/honpen/17.pdf
この方は不運だったのかもしれませんが(あるいは、知っていてブログには書いていない心当たりのあるまずい取引があったかもしれませんけれども)、基本的には何の理由も無く銀行が開設された口座を一時凍結することはありません。国民の財産を保全するわけで、財産権を侵害する可能性がある行為には通常は慎重です。
ただ、犯罪収益の移転に関わる行為については、銀行での契約・規約でもあるとおり、確認され次第一時凍結してよい(あるいは契約を解除してよい)内容になっています。
したがって、おそらくはこの方の「金額にしても、数百円から多くて2,3万円。そもそも今まで1200件以上のヤフオク上の評価があるが、奇跡の『悪い』評価無し」という取引の中に、取り込み詐欺などで使われた口座からの入金が2回以上あって、それを弾いていないオークションサイト側の問題だとしか考えられません。
ちょうどこのあたりの話は非常にC2Cビジネスを考える上で重要なことですし、また偽ブランド品販売や空き家を利活用した犯罪が増えていることもあるので、内容を取りまとめてヤフーニュース個人にでもそのうち書きたいと思います。
こちらからは以上です。
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