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2015.09.15

安保法制と衛星

 松浦晋也さんが内閣官房の衛星について、今回の鬼怒川決壊画像のGoogleとIGS計画について書かれている。

情報収集衛星、鬼怒川水害でグーグルにKO負け
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/217467/091400001/

 事実関係としては松浦さんの仰るとおりで、あそこまで金かけておきながら画像2枚かよって話は分からんでもないです。

 ただ、航空宇宙においては、松浦さん指摘の通りコモディティ化した偵察衛星の話はそれこそ2005年ぐらいから議論が出始めているわけで、10年越しの話で「まあそうですね」という話であって、否定する人はいないでしょう。

 一方で、災害情報に限らず、国家が危険だと思ったときに出される映像について、今後もGoogleに依存してよいのかという議論は別であって、例えばGoogle earth 原口(別名「光の戦士」)が言うように領土領海問題の際どい地域の画像が必要だとして、Googleが自在に出してくれるのかというと違うでしょう。あるいは、本当に有事の怖れが出て、中国沿岸やらに変な土木工事が始まったようだ、みたいな話になったときに、中国側からの具体的な圧力がGoogleにかかってきたら、Googleは持っている画像を精密なまま日本に提供してくれるんだろうか、という懸念はあるわけですよ。

 なので、こういう事例については画像の細かさについては「アチャー」と思いながらも、日本独自で情報を収集するんだよという姿勢は採っておくべきであって、いつでもどんな状況でも必ず「別の手段」は国は自前、民間、海外に用意しておくのは重要だって話だと思います。民間の技術は安く調達しつつ、どう保険を打っておくかは考えておくべきで、とりわけ情報収集はとても大事なので、ちゃんと方法は用意しておこうね、ということで。

 その意味でも、今回は災害情報、Google Crisis responseの話でよかったと思います。
 それに、やってなきゃやってないで、一部の連中から「日本政府はなぜ自前の情報収集をやらずにアメリカ従属なんだ!」って批判されるわけでして、まあ私個人としては「どうせ多額の予算を使うなら、もう少しうまくやろうぜ」としか言えないんですけどね。






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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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