【書評】『ウェブニュース一億総バカ時代』(三田ゾーマ・著)
いやー、こういう本を待っていたんですよね。
単なる業界事情・内情暴露本ではありません。スマホ全盛時代になったこんにち、私たちが日々目にするネットニュースの記事が、いかに問題で汚染されているのかを現場からの悩みと葛藤を踏まえながら解き明かした好著であります。
匿名の書き手ですが、文章は比較的読みやすく、新書としてはやりづらいこともあったと思う割にしっかりと解説できており、とても良くできています。
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ある意味で、ウェブでニュースサイトに携わる者の「あるあるネタ」と、そこにある悲哀と現実、さらには強い憤りとあるべきニュース記事とは何かという志まで、実態と感情の鬩ぎ合いが素敵です。
つくづく膝打ちする良書なのですが、たぶん、この問題は続きます。つまり、無料のウェブニュースサイトがなぜやっていけるのか、そのカラクリが広告クライアントと代理店とメディアによる読者騙しの構造となっている以上、なかなか足抜けするのが難しいし、その先に新たな収益源を見つけることも困難ですから、やめるにやめられない状況に零細は陥っているんだろうと思うわけですね。
その意味では、本来ニュース配信の産業というのは規模の経済であり、装置産業だよなあというところでして、とりわけ日本のメディアは日本人相手に日本語でやっているわけですから、英語圏に比べてどうしても裾野が狭くなりがちだということでもあります。そうなると、多少騙してでも広告で金貰ったもの勝ち、売ったもの勝ちになりやすいということでしょう。
まさにネット界隈での消費者行政のど真ん中、メディアでリテラシーだテクノロジーだといっている会社ほど裏側はまずい高収益事業で汚染されていると言う現実を良く知るためにも、業界関係者必読本として強くお薦めしておきます。
つーか著者の三田ゾーマさんってどこの会社の人なんだろw
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