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2015.05.27

【書評】『ウェブニュース一億総バカ時代』(三田ゾーマ・著)

 いやー、こういう本を待っていたんですよね。

 単なる業界事情・内情暴露本ではありません。スマホ全盛時代になったこんにち、私たちが日々目にするネットニュースの記事が、いかに問題で汚染されているのかを現場からの悩みと葛藤を踏まえながら解き明かした好著であります。

 匿名の書き手ですが、文章は比較的読みやすく、新書としてはやりづらいこともあったと思う割にしっかりと解説できており、とても良くできています。

 ある意味で、ウェブでニュースサイトに携わる者の「あるあるネタ」と、そこにある悲哀と現実、さらには強い憤りとあるべきニュース記事とは何かという志まで、実態と感情の鬩ぎ合いが素敵です。


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2015.05.24

小雪「親になって初めて人間」の正論と炎上の技巧

 ある意味で、般若面世界最高の美女といわれる小雪というのは女優としてもっとも叩かれやすく、叩きやすい逸材であることはいうまでもないんですが、例によって、出演映画のお披露目会見で質問への回答を一部つままれて叩かれていました。

【コラム】小雪「親になって初めて人間」で炎上… 出産未経験者と経験者の感情
http://sirabee.com/2015/05/24/32232/
親になって初めて人間…小雪の発言が大炎上! 「セクハラ親父と同じ思考回路」と厳しい声
http://www.menscyzo.com/2015/05/post_9841.html

 女性に嫌われる女性というのは芸能人としてはおいしい場合もあり、一概に小雪かわいそうというつもりもないんですが、いわゆるジェンダー系の議論で「デリケートだ」と言われているものは、本当にデリケートなのかというのは謎です。というのも、明確にトレンドというものがあって、数年前はタブーと目されていたものが、いつの間にかOKになっていたり、発言する人によって許容されるケースもあったりなかったりで、境界線が曖昧なんですよね。

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2015.05.19

このあと24時05分からフジテレビ系『真夜中のニャーゴ』登板予定です

 今回で7回目。緩やかなネットの話より、社会時評や問題解説のほうが観られることが分かってきたので、今週は調子に乗って安部首相訪米・議会演説から外交問題、安全保障関連法制についてのあれこれを語りたいと思います。

 資料作ってたら、いろいろ語らねばならないことに気づいて肝心のTPPについて話す時間がなくなりそうです。よって、来週は「もう少ししゃべるよTPP」、その次の週は「サイバー攻撃と日本経済」とかそういうのを語ろうかと思っております。

ホウドウキョク 『真夜中のニャーゴ』
http://www.houdoukyoku.jp/pc/

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2015.05.14

香山リカ女史「炎上」の謎

 先日来、香山リカ女史がDHCシアターの件で炎上していたのを見物していて思ったのですが、そもそもDHCシアター自体がバルカン半島状態の火薬庫な感じで、あそこで紛争が起きずしてどこで紛争が起きるのだっていう体の仕組みなんですよね。今回、香山リカ女史の降板騒動が起きるまでDHCシアターという存在そのものを知りませんでした。

ネット上で分断され、きちんと伝わらない「香山リカの思想」
http://hbol.jp/39368
香山リカ問題で謝罪のDHCプロデューサーとたかじん未亡人の関係…一緒にくまモンを
http://biz-journal.jp/2015/05/dhc.html
【改訂版】香山リカが青山繁晴氏と視聴者を誹謗→謝罪→暴言→虚言→逆切れ出演拒否
http://togetter.com/li/815159

 このあたり、2015年ネット事件年度代表馬候補に岡田斗司夫とともに名乗りを上げている香山リカ女史ですが、なぜかリテラが山田晃プロデューサーさんのことを暴露して界隈で少し騒ぎになりつつ、香山リカ女史ってそんなバランス感覚欠いた人だったっけ、という疑念もあります。

 もちろん、彼女の言論や主張について、賛同しない人も多いことでしょう。私も、9条の会や医療者の会などの発言内容を見ると完全に極左であるため、話の内容を理解はするけど同意はしません。しかしながら、世の中にはそのような考え方を持っている人が少なくないということは分かるし、そういう人たちの受け皿になり、言論界の一角を占めているというのもまた事実です。

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2015.05.13

【緊急開催】第3回絶対に役に立たないネットビジネス勉強会を18日開催

 なんだかんだで続いている、けんすうこと古川健介さん、総裁こと村上福之さんとのサロンですが、5月18日に勉強会をまた開きたいと思っております。

絶対に役に立たないネットビジネス勉強会
https://salonde.jp/salon/zettai

 内容は、いま噂のネイティブアドからアドテク絡みでグレーゾーンの塀の上で「増収増益」と喜んでいる人たちをホワイトゾーンから狙撃して塀の向こう側へ落とす作業について語りたいと思います。本当に役に立たない内容で申し訳ございません。

 ところで、このサロンは某サイバードさんが運営してくださっているのですが、その姉妹サロンになぜかダルビッシュ有さんほか、アスリートの皆さんが参戦されました。

ダルビッシュ有「team Darvish」
https://salonde.jp/athlete/salon/top.php?salon_id=1100
アスリートクラブ
http://athleteclub.net/

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2015.05.11

「大阪都構想反対」がやっぱり賛成を上回る

 昨日、共同通信で「大阪都構想」の是非に対する電話調査が行われたようで、結果は引き続き「反対」優勢の内容でして、さてどうしたもんかと思います。

都構想反対47%、賛成39% 共同通信世論調査
http://www.47news.jp/CN/201505/CN2015051001001062.html

 共同通信の発表内容は信頼がおけるもので、たぶんそんな風向きなのだろうと思う一方、属性別や支持政党別をしっかり見ながら大阪府民の民意を掴み取っていくべきだろうなと感じるわけです。

 問題点については、薬師院仁志さんが鋭く論じておられますが、橋下支持者の側からもさまざまな議論が提起されており、大阪府・大阪市特別顧問の上山信一さんの内容は興味深いです。

実験台にされた大阪府民 都構想にみる橋下徹
http://ironna.jp/article/1244
住民投票間近 大阪都構想は、大都市から始める国の再生戦略だ
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150507/280788/

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2015.05.05

今週も24時05分から、フジテレビ系ネット放送『真夜中のニャーゴ』に出演します

 今週は、趣を変えてデジタルコンテンツの配信ビジネスと投資・分析の現場について簡単にお話できればと思っております。間違っても楽天グループやネットフリックスそのものの話をするわけではないことはご承知おきください。

 あくまで一般論を話します。DMPとか見逃し視聴とか録画視聴とか広告効果とかの話ね。

ホウドウキョク 『真夜中のニャーゴ』
http://www.houdoukyoku.jp/pc/

ご参考:
視聴率よりも録画再生率? テレビ業界、揺らぐ人気指標
http://digital.asahi.com/articles/ASH3Z5S6WH3ZUCVL01W.html

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すでに深圳(シンセン)から撤退した弊社が雑記を書きますよ

 なんか懐かしい気分になったので。

アジア最強のクリエティブ・シティ「深圳(シンセン)」は、東京と何が違うのか
http://yutakatokushima.com/?p=303

 私のいた会社、正確には父親が経営していた富士化学工業という会社の中国子会社が深圳にあったのですが、2004年に製造・開発部門は撤退・移転、2006年に不動産の返却、2007年に資産・ファンド部門はアメリカの資産管理会社と合併後に某都市経由で撤退しましたので、もう8年前になります。

 2002年から2005年ぐらいまでは、深圳がアジアの製造業の中心になるだろうと見込んで、いろんな日本企業やベンチャー、産学の皆さんが深圳へやってきて、香港やその他地域への玄関口として盛んに投資をしてきました。活気もあったし、個人的には楽しかったわけですけれども、ハードウェアスタートアップの拠点としては、バンコクやホーチミン、ダナンのほうが、フィナンシャルの仕事としてはシンガポールや香港、台北のほうが(当たり前ですが)深圳より魅力的であるということで、かなり早い時期に見切って撤退をしました。

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2015.05.04

ネイティブアドの「広告」クレジット外しが違法な件で、ふじいりょうさんへのお答え

 まず、明確に問題なのは「いままでも問題になっていたが、当事者間で解決した」か、「そもそもそのような問題取引が行われていることを広告主が知らされていなかったので対応できなかった」ことにあります。

 ふじいりょうさんがこの話で以下のように見解を述べておりますが。

サイバーエージェントなど特定企業の社員が違法なネイティブアドビジネスにぶっこんでいる件で
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20150430-00045307/
バイラルメディアの書き手のモラルハザードが起きる理由
http://blogos.com/article/111352/
ネイティブ広告はコンプガチャの轍を踏む--山本一郎氏の見解
http://japan.cnet.com/marketers/interview/35064049/

[引用]

私個人としては、JIAAのネイティブアドのガイドライン(参照)に端を発している一連のあれこれについて、「なぜこれまでグレーに上手く運用してきたことを、あえて明確にしようとしているのか」ということに疑問をもっている。あくまで自分の感覚では、著作権の二次創作の処理と同じように、景品表示法を厳密に解釈すれば抵触する可能性があるところを、お互いに(これはユーザーも含まれる)利害を調整する形で長年運用していることを、なぜ今になって変える必要があるのか、と考えている。

--

 著作権の二次創作は、二次創作された現物があり、それを権利侵害をされた側は調べようと思えば調べられます。二次創作自体が市場を形成していて、著作物の性質上、派生作品が多数出る中で読者の創造意欲をかきたてその作品のさらなる認知拡大に役立てたいと考えるところは黙認したりフェアユースにしたりすることは可能です。もちろん、虹利用を制限したい著作者もいるわけで、そこは選択の余地はあります。

 今回のネイティブアドの「広告」クレジット外しは「クライアントがそれを求める場合がある」上に「適正な広告掲載であるかをクライアントが分からないケースがある」こと、またふじいさんが言うようなグレーゾーンではなく欺瞞的取引であるという点では景表法違反ど真ん中案件であるため、問題がもっと大きくなる前に消費者庁、JIAAなど関係団体がしっかりと問題を認識してガイドラインを出し遵守を求めようという話になっているわけであります。

 本件においては、かなり明確に「それ」と「これ」は違うのです。

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書評連載を開始したし、本は増刷になったし、イベントもやるし

 本読み関係がビッグバンや!

 というわけで、書評イベント「読書で賢く生きる。 ココロに効く(かもしれない)本読みガイド」が来週5月11日に開催されます。

『読書で賢く生きる。』刊行記念
ココロに効く(かもしれない)本読みガイド 〜21世紀はたぶん、本を読んだほうがいい〜
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/33207

 また、どういう理由かビジネスジャーナルで我ら3人の書評連載が始まりまして。一発目は私より、ネット業界やVC界隈の面々が流した涙で利根川大反乱となった『Hard Things』(日経BP ベン・ホロウィッツ著)であります。

壮大な経営者あるある 終わりなき運との苦闘、功労者を切る決断、成功を確信直後の撃沈
http://biz-journal.jp/2015/05/post_9804.html

 本のほうも順調だそうで… お読みいただき、ありがとうございます。初版が明らかに刷り過ぎで死刑囚待ったなし、KKベストセラーズ出禁も覚悟したのですが、正直、助かりました。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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