新著『ニッポンの個人情報 「個人を特定する情報が個人情報である」と信じているすべての方へ』が出版になります
まだ原稿もすべて入れていないのにもう出版とな!
まだ楽天ブックスには登録が上がっていないようですが、amazonで事前予約が始まりました。ご一緒したのはお馴染み「プライバシーフリークの会」の住人、高木浩光せんせと鈴木正朝せんせ。
メインは過去3回+1回行われた、個人情報について考える「プライバシーフリークカフェ」のイベントでの鼎談起こしですが、一番重要なことは個人情報、個人に関する情報と言われているものが、日本独自の解釈を日本国内で運用することで、日本だけが個人情報の正規の流通による社会的な受益ができなくなってしまう可能性があることです。
確かに、いままでは「自分の情報が知れたところで、たいして悪いこともしていないし、実害もないからいいじゃん」と思いがちな日本人も多いのです。しかしながら、データ資本主義ともいえる今後の社会においてしっかりしたルールがなければ、またルールを業者などがしっかり守らなければ、その人本人のみならず、近親者や取引先その他にまで問題が及ぶ可能性はきわめて高くなります。
例えば、個人情報の中でも重要でデリケートだとされる「機微情報」。ここには疾病や投薬の経緯や結果などの情報が含まれ、その人の意思とは無関係にその人に関する情報があることを意味します。いわば、あなたが知っている以上にあなたに関する情報が集められている可能性の高いセクションです。ここで、安易に遺伝子データを業者が流通させた場合、あなたはそれを規約情認めたとしても、同じ遺伝子特性を持つかもしれない親御さん、ご兄弟、ご子息その他もまた、同じ属性として扱われ、業者によって勝手に類推される可能性が高いのです。
何故か。生命保険や医療保険の世界を良く見てください、いままでは保険に入ろうとした人は、入る申し込み書類において、いままでどんな病気になったのかや、親族にがんを患い亡くなった方はいるかといった、機微情報を入力させられます。場合によっては、持病や経過を見て保険の加入を断られる可能性があるのです。
ここで、安易に親族が自身の「遺伝子データを含む個人に関する情報」を良く分からない国内・海外の業者に売り渡していたら、知らない間にあなたの疾病リスクを保険会社が入手し、保険料どころか保険加入の拒否にいたる不利益を蒙ることだってあるのです。問題がない限り、他人や業者や社会に伝えたくない情報というのはたくさんあります。ただ、本人の合意なく本人の情報が流通してしまう、それは果たして妥当で安心できる社会でしょうか。自分で自分に関する情報をコントロールできない可能性のある高度情報社会が、本当に私たちが望んだ安心できる未来だったのかをいま一度考える必要があるのです。
そこには、巷でも話題になりつつある「忘れられる権利」や「名簿屋問題」、「ターゲティング広告による焼畑情報産業」に「個人情報の業者間の共同利用」「期限を過ぎても削除してもらえないブラックリスト」などがすべて入ってきます。個人と情報が切り離せない関係を築き、その関係が社会を再定義する可能性のあるいま、国際社会と充分に制度を見比べ、個人と情報の関係という国家単位ではなく世界全体、人類の問題としてきちんと考えるタイミングが来ているのではないでしょうか。
というわけで、これから頑張って前書きを書きます…。すべてのボトルネックはこの私です。本当に申し訳ございません。
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