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2014.07.15

ヤクルトが巨人を本拠地で完全粉砕した件&来週21日「セイバーメトリクスイベント」やります

 昨日、例によって神田憲行さんと東京ドームにヤクルツ戦を見物にいったんですよね。そしたらなんか、リクルートのやってる「R25」とかいうタイアップでビールが半額だったんです。そりゃたくさん飲むじゃないですか。ありがとう、リクルート。原稿依頼も特に無いからR25には何の借りも恩もねえけど。まあ実質ビール3杯ぐらいおごってもらったという感覚で気持ちよく野球観戦をしてたわけです。

Dome_140714

 先発は例年類稀な10勝10敗力を発揮するヤクルト石川と、故障明けで再起を目指す内海という冴えない両左腕だったわけですよ。っていうか、リハビリにヤクルト戦での先発をチョイスする原監督の期待を一身に受けて、スワローズも5番飯原、6番野口という左右病を満喫できるオーダーで迎え撃つわけです。「接待」というのはこういうのを言うんですかね。でも、ふたを開けてみるとなんだかんだで飯原野口も機能して、内海以下巨人の繰り出す若手投手陣を粉砕して圧勝するわけなんですけどね。やー、すいませんね巨人ファンの皆さん。7回ぐらいからぼちぼち帰り始める巨人ファンの背中を眺めながら、まあたまにはこういうこともありますよまたよろしくお願いしますというエールを心の中で送るわけなんですが。

 この様子は、ボツにならない限り再びフルカウントに記事を掲載したいと思うのと、あと来週21日にデータスタジアムさん主催のセイバーメトリクスイベントが東京カルチャー×カルチャーで行われるもんで、野球とデータについてご関心のある人はぜひどうぞ。

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 まあ、試合でも巨人は土田がマウンドに上がってましたが、つーても炎上してましたが、結局のところ本当のキープレイヤーをチームが確保しようとすると、とりわけ投手に関しては「戦いは数だよ兄貴」という側面がありまして、いまいる戦力をデータ眺めて遣り繰りするのは限界がある。

 限界と一口に書くとなんかかっこいいけど、要するに捨て試合を作って、育成を図っていくみたいな話になるわけですわ。2010年ぐらいに日本ハムとかいう寒いところにある球団が検証していた流れではありますが、要するに「二軍で実戦経験をどのくらい積むと一軍での成績がこのぐらい確保できるはずだ」という仮説を立てて、チームに育成可能なリソースのマネジメントをしようとしたわけですね。打者であれば何打席二軍で経験すれば、その才能を一軍で活用できるはずだとか、投手ならば実践何イニングでその選手のポテンシャルはここまで引き上げられるはずだ、みたいな奴です。

 ところが、選手というのは経年で変化しますし、RPGみたいに経験値が高まれば不可逆にレベルアップして能力が強くなっていくわけじゃないんですよね。フィジカルでいうならば、きちんと筋トレするのは当然としても、実戦経験を積めば持てる身体的なポテンシャルを活かしうるという直線的な結果には導かれない。ここに成績予測の落とし穴があるわけなんですよ。

 結局、編成で考える場合は、とりわけ投手、ブルペンに関しては消耗品と捉え、一山いくらの若手ピッチャーで一芸野郎を大量導入してきて二軍どころか三軍やフューチャーも使いながら全力で振り回すほうが育成効率が良い、という結論になります。酷い話ですが、二年見て使えない奴は捨てれば良く、二軍、一軍に這い上がれても劣化が始まればすぐに見捨てて次の奴に替えていく作戦です。経験則でいえば、相応に能力を見極めて有望と見繕った25人の投手を採用すると5年間で700イニング以上が埋まる計算になるわけです。その700イニングは、どんな背番号の奴が投げていようが、xFIPがどうであろうが構わないわけでね。

 そこから、計算の立つ投手が2人ないし3人出てきてくれて、合計でシーズン200イニングから220イニング程度を「運用において計算の立つ投球」をしてくれれば、35試合から40試合程度は勝ち負けが争える試合が作れて20勝ぐらいは星が見込めるという計算になるわけですよ。

 そういう割りきりができない球団は、貧乏か、選手をあまり解雇しないか、貧乏か、貧乏です。貧乏は辛い。300万円の育成を10人採用して3,000万の宝くじを買う、それができなくてイニングを喰う編成を合理的に組めず、勝ち星を期待できなくていまだに石川とか石川とか石川がローテーションの真ん中で頑張っているわけです。悪いけど石川はもう安定した勝ちや貯金を見込めるベテランではありませんよ。本当に頑張って欲しいけど、石川に本当に頑張ってもらえるチームにするならば、もっとコンディショニングに手間ひまかけられる運用したいんですよね。

 で、何が言いたいかというと、この手のコンディショニングは編成と密接に関係あるんです。というか、計算の立つ投手の消耗をどう管理するかというのは一大命題であって、計算は立たなくても一山いくらの選手が壊れた試合を中盤から支えられるチームはコンディショニングがしやすいわけです。疲れてたら計算の立つ投手をマウンドに送らなくて済むし、ローテも一回飛ばせるし、場合によっては一度二軍に落としてミニキャンプでも張らせてフィジカルの建て直しもできるわけですから。

 今回の内海っていうのは明らかに精彩を欠いていて、飯原にヒットを打たれたり、野口にヒットを打たれたり、川島慶三にタイムリーを打たれたり、課題が良く分かったわけですけど、チームとしても内海を引っ張らずにさっと土田とか今村とかの一山いくら系ピッチャーをマウンドに送り込めるわけですね。

 この辺を見ていると、スワローズのような先発崩壊学徒出陣とは違う層の厚さを感じますし、同じ負け試合でも運用の面での余裕を強く感じるのは、編成における優位があるからだと確信するんですよね。貧乏は辛い。これでヤクルトが現場運用ひとつで上位にいけるとは間違っても思わないことなんだろうなあと。

 だから、単年度でAクラスだ優勝だってのはフロックもあるので別としても、数年単位で見たときの編成の良さというのは成績安定だけでなく無理な起用による故障の少なさその他にも影響するんだろうなあと思いました。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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