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2014.02.11

家入一真と「死の谷」

 都知事選についての四方山話は月刊誌やメルマガのほうに書こうと思っておるわけですが、今回は都知事選への家入一真の挑戦とその惨敗もまたネット界隈では面白事案となっておりまして、一応触れておこうかなと。

家入さんの選挙ボランティアに参加して感じた3つの違和感。 - 「正しさ」ではなく「楽しさ」で振り切れ -
http://ibaya.hatenablog.com/entry/2014/02/06/043957
http://www.peeep.us/b240ff0d
【都知事選】家入一真で渋谷駅前が凄い #渋谷ハック
http://matome.naver.jp/odai/2139125587877620101

 選挙をイベントと捉え、出馬した家入さんを中心に「祭」と定義した結果、告示日に主要箇所へのポスターを貼るなどの行動に出遅れ、最後まで中核候補の一角を占めることなく事前予測の15万票前後の半分程度に留まる9万票弱しか集めることができませんでした。

 マスコミは家入を取り上げないといいながら、実態としてはほとんど動員できていない渋谷の街頭演説にさも人が大量に集まったかのように言い尽くすのは選挙公報としてはしょっぱい感じがいたします。

 いみじくも、坂爪圭吾さんが違和感を語っていたように、選挙戦というのは本気で勝つ気の運営をするのであれば「ボランティアスタッフが風紀委員みたい」になり組織で戦うしか方法がないんですよ。緩くみんなでわっしょいやって楽しく選挙戦ができるのであれば、どこの陣営でもそうしたいでしょう。

 ただし、選挙というのは別の意味で生活をかけて真剣に利害関係者が集う場所でもあります。浮動票頼みの選挙戦にできるのは、日本新党ブームや鳩山民主党の政権交代でメディアも動員して煽れた選挙ぐらいでしょう。

 家入さんの魅力については、このツイートにすべてが現れております。

 自殺者が多いのは、「親や世間からかけられた呪い」が原因と喝破しています。

 しかし、実際には「うつなどの病気」か「健康上の理由」が自殺理由としてはダントツです。もちろん、うつが酷かったり、健康状態が悪いので就業できず経済困難を伴った未来への不安感、焦燥感があっての自殺も多いかとは思いますが。

自殺対策白書
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/index-w.html
平成18年までの原因・動機別の自殺者数の推移
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/html/gaiyou/chapter1-05.html
Chapter10501


http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/whitepaper/w-2013/html/honpen/feature03-01.html

 つまりは、自殺者を減らそうという弱者に寄り添う政策を掲げたところで、そこにはだかるのは貧困問題も含めた社会福祉の問題です。ただ、家入目線で問題を語ることはあっても最後の最後まで福祉の話は出ませんでした。

https://www.facebook.com/ieiri/posts/10151954389233316?stream_ref=10

 家入さんの人生のコンテクストは分かります。それはとても神聖なものだとは感じます。その上で、もっと一般の人に理解してもらえるような立ち居振る舞いや、立派な人間であることの保証がどこからも得られず、周囲にいるのは堀江その他お仲間に過ぎないので、本当にネットの特定の人たちを相手にしただけのムーブメントにすぎないでしょうというのが実情じゃなかったでしょうか。そりゃ10万にも届かないはずです。

 その後、ちょっとした落選の総括があり、そしてインターネッ党の立ち上げを宣言したようです。単なる一過性のイベント、祭ではなく、家入さんがその支持者からの代弁をしっかり行っていく組織になっていくのであれば、それは興味深いところです。私も、ネタ半分にKNN神田さんの件も交えてインターネット系の野良政党設立は面白いんじゃないかと指摘しましたけれども、本当にやってくれるとは思ってもいませんでした。

インターネッ党
http://internetparty.jp/
家入一真を新しがる人々は、偉大なる先行事例であるKNN神田敏晶を崇めるべき
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20140124-00031917/

 私の畏友、常見陽平さんが厳しいけど、まあごもっともな記事を寄せております。

家入一真さん、「ぼくら」って「誰」なんですか?
http://blogos.com/outline/80102/

 話の四分の三ぐらいは家入さんとの対談が流れて目立つ機会を逃した常見さんの呪詛かもしれませんが、家入さんの選挙活動に限らずお仲間集めて内輪のノリで楽しくやろうという享楽主義的な側面がどうしても見えてしまうので、そのノリについていけない大多数の有権者により良い政治主張をぶつけ続けていくしかないのだろうと思います。

 片岡英彦さんの論述もしっかりしておりますので、併せて見物すると今回の都知事選における家入一真の統括は各自でできるようになるのではないでしょうか。

若者の期待も虚しく、都知事選で「大惨敗」した家入一真氏が、今一番、考えるべきこと
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kataokahidehiko/20140210-00032539/

 いずれにせよ「政治はノリや勢いだけではなく、地道な作業をこなす組織が必要」ということまでは分かって欲しいです。

 おそらくは、選挙におけるイノベーション、家入さんが宣言したところのハックというのは、提言として「だけ」見るならば重いものがあります。それが閉塞感の理由のひとつですから。一連の活動が、死の谷を乗り越えられるように期待する次第です。

「死の谷」をどう越える---「イノベーション」と「技術革新」の関係を考える
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070226/128162/



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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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