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2013.10.06

アブラハム・高岡壮一郎さん、今日も元気に金融庁へ喧嘩を卸売

 「団塊世代ジニア全員の老後不安を解消する」が「いつかはゆかし」のビジョンのはずが、24ヶ月以内の解約については返金に応じない清々しい姿勢で消費者行政に新風を巻き起こしている我らがアブラハム・グループホールディングス社(以下、アブラ社)ですが、行政処分勧告を受けた後の第一報がまた愉快でありました。

 もはや、これは金融事犯というよりはネットウォッチ案件として捉えたほうが正確でありましょう。

[魚拓] 行政処分について(お詫び)と今後のアブラハムの見通し
http://www.peeep.us/77b25956

 慎ましくも剛毅な発言の数々は罪悪感を感じられず、読む人に「ああ、この人はサイコパスなのかな」と思わせるに充分な仕上がりとなっています。冒頭で深くお詫びしておきながら、その後に「いままで指導されなかったから適法と思ってたし、ライセンスはいままで無免だったけど新たに取り直すからよろしくな」という惑星直列大異変なみに華麗な論理構成が繰り広げられて、まさに次世代のクソ金融の醍醐味を感じさせます。

[引用] 1年半前の関東財務局による定期検査において、アブラハム・プライベートバンクの親会社に海外ファンドからの広告料が入っていることは当局がご存知の中、なんらの検査結果通知・行政指導もなかったため、当社の業務が「投資助言業の範囲内」と理解しておりました。その結果、法令遵守上、問題ないと考え、1年前から新ブランド「いつかはゆかし」を立ち上げ、テレビ・交通広告・雑誌・新聞での宣伝を開始し、事業を加速させました。

 当然、以前の検査においては「海外ファンドからの広告料」なる名目でアブラハムホールディングスの帳簿に債権が計上されたかどうかは関係なく、今回のアブラ社の立て付けがほぼ等しい企業設計が近畿財務局に摘発されていることを考えると、そもそもの計上された名目がおかしかったか支払い元のファンドを明記しなかったなどの実体隠しを前回の関東財務局検査で行ったと疑われます。

株式会社企業設計に対する行政処分について
http://kinki.mof.go.jp/content/000042217.pdf

 むしろ、前回の検査でアブラ社が関東財務局への検査でどういう資料でどんな説明を行ったかがこの高岡発言で蒸し返されるわけでして、これで偽装や隠蔽があったとするならば一層の悪質業者であるということを自らが証明することになりかねません。

 自ら危うい橋をマックススピードで駆け抜ける高岡マジックの真骨頂と言えましょう。

 過去の高岡発言を繰り返し見ておりますと、なかなかに愉快な発言が発掘されて心が躍ります。中には、田端信太郎さんに対する反論めいたものも見受けられましたが、大丈夫なのでありましょうか。田端信太郎さんといえば「働いたら負けかなと思ってる」の名言で世界中で著名なニート家でしたが、いまではLINEとかいう会社で死ぬほど働いてmixiに出会い系サイトを売りつけるなどの大金星を挙げる立派な経営者であります。

[魚拓] ソーシャルの時代、誰もがドヤ顔で間違ったことをネットで発言し、他人に大きな迷惑や損害をかけてしまうことがある。「いつかはゆかし」をめぐる事実誤認ツイート
http://www.peeep.us/76652b54

 結論から言えば田端発言自体は事実誤認でも何でもなく、SESCのアブラ社への処分内容を読めば分かるとおり「著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為」として認定されています。要は、それは助言業ではやってはいけないモグリ業者であるだけでなく、消費者に事実誤認を促す広告宣伝活動の結果として現在の業態があったんだよという話ですから、高岡さんが本来説明するべきポイントはそこではなかったということになりますね。

[参考画像] 在りし日の田端信太郎さん
http://ss.bokete.jp/9640094.jpg

[引用] 実は、昨日のFACEBOOK上でのやりとりは、ジャーナリストの佐々木 俊尚さんが言及してくださったおかげで、ネット上に拡散していきました。
(佐々木俊尚さんは「起業家2.0」という本で創業期のアブラハムを取り上げてくださり応援してくださった弊社の大恩人です)

 「逃げろ、佐々木俊尚、早く逃げるんだ! ここは私に任せて逃げてくれ!」という感じのスーパーもらい事故が完璧なアングルで佐々木俊尚さんにヒットしている姿が印象的です。

 ところで、今回の微妙金融業者においては、K2インベストメントや、IFAジャパンなど、世情であかんやつやという評価を下されていたところも一山いくらで行政処分勧告が為されております。重ね重ねお疲れ様でございます。

K2 Investment株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2013/2013/20131003-1.htm
IFA JAPAN株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
http://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2013/2013/20131003-2.htm

 IFAジャパンからは全顧客に対して「ごめんなさいレター」がやってきて、これはこれで微笑ましい内容であります。なぜ私が顧客向けレターを持っているのかはトップシークレットであるということでお願いします。

[引用] 残念ながら、海外投資に関する助言業者数社に対して、今回一斉に同様の趣旨の判断が下されたものです。

Ifaj_131006

 この「アブラハムがクソ事業やったお陰でこっちまで誘爆したじゃねーかクズが」という抑えきれない激情を巧妙に表現した文面が澄み渡る秋の空に突き抜けるようで、大変ゴージャスでエレガントな心象風景を読む者に与えてくれます。

 話は戻りますが、まったく無関係であると標榜した海外関連会社で、アブラ社向けの広告宣伝費を積み立てた場合、じゃあなぜ東京駅ジャックや交通広告、テレビCFの買取などでアブラ社が連絡先となり、アブラ社のサービスを宣伝していたの? という話となって、それは法人税ではなく贈与税であるという立て付けで一翻上がることも理解していなかったようなので、ぜひ冒頭の抗弁を続けてそのまま奇襲のような差し押さえでもされて欲しいと願う次第でございます。

 できればそのまま突っ張って刑事罰も視界に入ってくるぐらいの画期的事案として年末の喧騒に彩を添えて欲しいと心から願っております。そして、そこから立ち直れたら高岡さんは神となります。これは行政処分という名前で降りてきた試練であり、クエストなのだと前向きな雰囲気で本稿は締めたいと思います。

 いつかはmixi。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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