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2013.09.25

JR北海道の一連の事故は「過疎化し衰退する地方」の一里塚

 某月刊誌で鼎談をさせていただく機会があり、衰退する地方、衰退する首都圏というテーマでお話をしたんですが、その中で一際話題になったのが昨今のJR北海道の惨状でありました。

 それも、本来であれば不祥事を起こすとはけしからん、という話であるべき内容なのが、どういうわけか「あー、やっぱり北海道ですか」「しょうがないですね」というようなまったりとした雰囲気で捉えられてます。そればかりか、当事者であるはずの北海道民も怒るというよりは何か別の感情を抱いているように思えるわけですね。

 いろいろと記事やウェブを巡っていると、JR北海道というのはそもそも無理難題の象徴であり、乗降客が一日100人未満の駅もそこらじゅうにあるという修羅のような赤字の世界であることを知り、戦慄するのであります。これでどうやって企業体を維持し、雇用を保って運行安全を保障するのかと思ってしまうのは私だけではないでしょう。


7/18トラブル続出、偶然か必然か JR北海道 発煙や出火 特急運休 人減らし、保守点検に影響か【中日新聞・特報】
http://silmarilnecktie.wordpress.com/2013/07/18/718%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB%E7%B6%9A%E5%87%BA%E3%80%81%E5%81%B6%E7%84%B6%E3%81%8B%E5%BF%85%E7%84%B6%E3%81%8B-%EF%BD%8A%EF%BD%92%E5%8C%97%E6%B5%B7%E9%81%93-%E7%99%BA%E7%85%99%E3%82%84/
(23.9.21) JR北海道社長中島尚俊氏の自殺とJR北海道の苦悩
http://yamazakijirounew.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/23921.html

 「じゃあ車でいいじゃん」とはならないのがまた地方の泣けるところではあるのですが、夕張市の例を問わず、相応に地方の住民が最善の努力を払っていたとしても衰退してしまうことはあるのだ、と考えざるを得ません。

 そんで、JRといえば今度は合理化をしようにも組合の問題に立ち入ることになるわけで、かといって組合が絶対悪なのかというとこれまた議論になり、要はイカダに10人しか乗れないところに20人殺到というサンデル教授状態の政治的(経営的)決断を求められる状況になっているようです。

 一方、それならば東京その他都市圏はいいのかという議論になるんですけれども、これはこれで向こう15年でジェットコースターのような社会保障費の増大→人口減でベッド余り医者余りという地獄を経験することになります。

 総務省も、別に座して看過しているわけでもなく、相応に考えて対策を打とうとしているんでしょうけれども、このたび出ていた定住自立圏構想を見る限り「これで解決を目指す」というよりは現状の追認をしていくためのアプローチに見えます。これはこれで必要なことなんですよね。ただ、誰も幸せにならないぞということが文字になって出てきたというだけで。

定住自立圏構想
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/teizyu/

 そして、国土強靭化の議論や、社会保障制度改革国民会議でもありましたが、ないものは振り分けようがないという結論になり、また地方経済再生のために予算をつけても肝心の地方経済にその受け皿となる投資先企業やインフラ系事業者が細っていてこなしきれないという惨状があります。

 もう駄目かも分からんね、という話を敷衍して考えると、一連のJR北海道の事件も「むべなるかな」という諦観にも似た感慨を抱くわけでして、もはや誰かが「ない袖は振れない」と言うしかないのでしょう。しかし、この手の「もう全員は養えないから、限りあるリソースをどう分配するか、日本人の中で考えましょう」という話は政治的にとても地雷です。なぜなら、今後生産しないで消費するだけの老人が人口的に多く、またよく投票にいくんで、そういう議論を真正面からやる政治家は真っ先に落選しかねないリスクがあるからで。

 私個人としては、なら勝ち逃げすればいいじゃん、そんじゃーねと言うよりは、もう少しうまい着地を勝ち組こそが手がけていかないと、本当に全体が沈んでしまうんじゃないかという危機感を持つんですよね。逆に言えば、どう知恵を捻っても、JR北海道が浮上する可能性なんてなかなか出てこないだろうという気持ちもあるわけですが。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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