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2013.08.20

ランサーズが不利な記事掲載でThe Startupにクレームを入れて黒煙が上がる

 昼下がり一発目の大便をひねり出している間に面白い物件が建立されておりましたので見物しておりました。

ランサーズ、The Startupに対して言論統制
http://thestartup.jp/?p=8240

 どんな記事を書かれてランサーズがおこなのか、元記事も読みにいったらこれは実に可燃性です。

クラウドソーシング狂想曲:クラウドワークス vs ランサーズ
http://thestartup.jp/?p=6849

 なんですか、このクソのようなマトリックスは…。2軸の対照表は対象が3つ以上ないと無意味って習わなかったのでしょうか。

Lancers_130820

 The Startupは「野茂とホモの違い」を参考に二者対照をするときの比較表を作るところからやり直すべきです。

野茂とホモの違い
http://copipe.cureblack.com/c/2097

 さて本題ですが。

 発端は「お前んとこのサービスは『安かろう悪かろう』だバーカ」という清々しい記事ですね。ランサーズ側も綺麗さっぱり煽られて、身悶えした末にThe Startupにクレームをつけたくなる気持ちは分かります。

 問題は、ここまでランサーズがぼろくそに書かれる根拠がどこまでしっかりしているのか、です。記事を読むに、その根拠はThe Startup編集長の梅木雄平さんが署名記事において「身の回りに聞いたでござる」という少数サンプルの実態が肝のようなので、結局のところこの梅木さんが信用に足る書き手か、もしくは身近な人にだけ聞いて上っ面だけ見比べ記事にしちゃうタコ記者なのかという選球眼に拠るところが大きくなってきます。

 したがって、このあたりを読み解く手がかりはぷるぷるしながらクレームを入れたランサーズ側よりも、そのクレームにThe Startupがどう対応し、説明をしているのかという点なんでしょうが。

[引用]この記事は私の周りのクラウドソーシング利用者やフリーランスのエンジニアやデザイナーにヒアリングした結果を元に、ポジショニングマップを作成し、その点や私が「クラウドワークス優位」と断言した点に注目が集まったようです。

 ランサーズ側が「お前らはどんな調査したんや?」という質問をする回答が「私の周りのクラウドソーシング利用者やフリーランスのエンジニアやデザイナーにヒアリングした結果」という内容であり、第三者的には「いや、だから何人にどういうヒヤリングをした結果、上記のような微妙図表を作ってランサーズDISったんや梅木! 説明しろ!」という印象を持ちます。要は、実際に梅木さんが応募して単価や仕上がりのクオリティを見比べるなど客観的に見て「やっぱりランサーズはクソだわ」という説明ができなければ、乏しい根拠で一方的にゴミ扱いされ角倉同然の評価を下されたランサーズがまじ怒りするのは当然と言えます。

 しかも、そこで話が終わっておけば、The Startup側も自前のリソースで調べたんですよというやり取りで終了するかもしれなかったはずが、どういう理由か「言論統制」とか「ジャーナリスト」など明後日の方向にネタが飛翔して好感が持てます。結構な飛距離ですよ、これは。「クソ記事書いてクレーム貰っただけなのに言論統制とかアホかよ」って言われかねません。私が言ったんじゃないですよ、私以外の誰かがです。そして、梅木さんの続きの文章を読むと、むしろ「いやいや、これは馬鹿にされたランサーズのほうがひょっとすると大正義かもしれんぞ」と思えてくるから不思議です。

[引用] もはやランサーズに対して云々いうつもりはないのですが、今回のような「自社に不利な記事に対して圧力をかけて修正を依頼する」すなわち、言論統制と捉えて差し支えないと思いますが、メディアと言論統制の問題について一石を投じてみたいと思います。

 いや、もしも「客観的にランサーズが劣っている」という証明がThe Startup側でできなければ、言論統制どころか逆に営業妨害で訴えられて勝てなかろうと思うわけですね。それは過去に名誉毀損裁判で訴えられたり訴えたりと両手に余るほどのワクワク体験をこなしてきた私が力説するのですから間違いありません。

 単純に、主観としてThe Startupが「周辺から聞いたけど、ランサーズよりクラウドワークスが優れていると思う」と記事にしているだけであれば、ああカネでも動いてんのかなと邪推する人が出る程度で「ああそうですか」で終わる案件なんですが、どういう理由か、これがジャーナルであると主張し、その客観性を確認する当事者からの連絡に「言論統制でござる」と反応するのは如何なものでありましょう。激おこランサーズに対してワンペアの手で掛け金をガリガリ上げている状態にしか見えません。

 The Startupがジャーナルを標榜し、ランサーズからの抗議を言論統制だと反論するのであれば、その根拠となったヒヤリングの内容を明らかにするべきです。違法性や公益性を追求するために情報源を秘匿しなければいけないとかいう話ならともかく、「独自に調査しており修正するつもりはない」というのはどうなんすかね。その「独自に調査」の内容に客観性がないのであれば、ジャーナリストを名乗る資格はないであろうし、ランサーズからの営業妨害や名誉毀損等の裁判を本当に起こされた際には、賠償を漏れなく支払い訂正記事を掲載しなければならない立場に追い込まれるでしょう。

 反論するならするで、”都合のいいことだけ書く業界の広報誌ではない”とか、”ジャーナリストは「いい人」には務まらない”など、余計なこと書かなきゃいいのに。

 現地からやまもとがお伝えしました。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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