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2013.07.02

【書評&告知】『未来予測 ―ITの次に見える未来、価値観の激変と直感への回帰』(湯川鶴章・著)

 湯川さんの新しい電子書籍が発売になったようです。
 どういうご意向かは分かりませんが、私もあとがきか何かに寄稿した雰囲気です。自分の目で見ていないので、現段階ではまだその存在は確認できていませんが、きっと入っていることでしょう。

 本書、あらゆる意味で「湯川的」です。一個一個の企業のエピソードや、関わった人物の実像を点として見出しながら、これを紡いで精神世界や倫理、森羅万象といった普遍的な大原則へと遡及し論じていきます。

 読み進めるうちに、いろいろな疑問は湧くかもしれません。でも、それでいいのです。湯川さんの広大な精神世界に観光に来たのだぐらいの勢いで読むことをお奨めします。一言で言い表すなら、思想における異国情緒。まずはその主張をありのままいったん受け止めてみるという度量が、読み手に求められています。


 そんで、やっぱりここちょっと変じゃないの? ということがあるならば、湯川さんにぶつけてみればよろしい。私も、原稿を寄せるにあたって本書を先読みさせていただいたんですが、一読して変わった雰囲気のところを湯川さんに真意など伺いつつ原稿を書き進めました。湯川ワールドの精神を一番理解しているのは湯川さんであることに間違いはありませんから。

 強く印象に残ったのは、必ずしもデジタルネイティブではない湯川さんが現状のIT世界をきちんと理解しようとしたときにこういう景色になるのか、という点でした。よく勉強もされているし、多くの方とお会いになり、見聞も広い。その湯川さんがさまざまな活動の果てに見えたIT世界の境地はこれであり、その未来に起きるだろうと予測したものはああいうことだったのかと。詳しくは本書を読んでください。心の中に、かなり本気で賛否両論の葛藤が芽生えます。

 実例からの敷衍は4章が、そして全体の構成は読み進め後ろに行くに従って登山のような盛り上がりを示しています。問題は、降りられないことです。なので、あとがきか何かで私が私なりの湯川ワールドに対する理解と、その咀嚼のあり方を論じておいたつもりなんですが、蛇足になるかもしれないので、その辺はお好みで。

 その意味では、癖のある電子書籍だと思います。先発に帆足を送り出すホークスファンの気分です。
 ご関心のある方は、ぜひどうぞ。この辺の界隈にご関心があるならば、読んで損はしません。たぶん。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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