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2013.05.06

Gunosy炎上事件でその先が霞む向こうに理想のはてなを見た

 Gunosy、それは君が見た光、僕が見た希望

 Gunosy それはふれあいの心幸せの青い雲 青雲

 と、若い人は全スルーという古すぎるネタで衝撃の枕からスタートしたわけなんですけれども、Gnosyが叩かれておりました。

[衝撃]Gunosyはただの「はてブ拡張サービス」だった?衝撃の分析まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2136759618730082401
Gunosyのレコメンドエンジンの仕組み解説
http://angra.hatenablog.com/entry/2013/05/03/Gunosy%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF%E8%A7%A3%E8%AA%AC

 いいですね、この出ようとする杭をネット勢がグイグイ叩くときに響き渡る音が除夜の鐘ライクで108つ鳴らせば煩悩がなくなるのでしょうか。イナゴの王としてはとても良い炭水化物臭を感じずにはいられません。

 で、Gunosyを護れ! と方々から援軍の旗が揚がります。

Gunosy炎上についてvingowの米重克洋社長「API使うだけでこんな風に怒られるんだというのはかなり怖い」
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65746116.html
Gunosyが批判されているのにやや反論
http://fujiriko59.hatenablog.com/entry/2013/05/04/201426
Gunosyの批判はちょっと的外れ多すぎっていう話
http://www.landerblue.co.jp/blog/?p=6678

 いやー、このあたりは魚心あれば水商売あり、もはや巨大団扇を持って紅組頑張れ白組頑張れとやりたいところであります。有力な反論も出たところで話も終わりかなと思ったんですが、あっという間にGunosyの広報さんが出てきちゃったんですよね。

ここ最近のGunosy関連の批判についての所感
http://gunosy.tumblr.com/day/2013/05/06

 なんというか、せっかくリードしているのに西武の中継ぎが出てきたような風情です。言いがかりなんか放っておけばいいのに。しかも、的外れなGunosy批判の記事についてはGunosyには配信しない方針をとっていたようです。「NAVERまとめに関しては以下の理由で配信いたしませんでした」として「そもそも批判に悪意が感じられた」「またアルゴリズム等の実情があまりにも事実と大きく異なっている内容であった」などの理由で配信しなかったってことらしいんですが、炎上を狙っていくのであれば、もっとしっぽまでうんこが詰まっているたい焼きのような風情で頑張らねばなりません。どうも中途半端というか、若いというか。

 かくいう私も、Gunosyは愛用しています。私の周辺ではゴミ呼ばわりする人も多々いるんですけれども、さすがに今回いい感じに炎上していたので近いうち300個ぐらいアカウント作って検証してみたいと思います。

 で、私個人のアカウントで作っているGunosyはクソのような精度でしか「これは良記事」をお勧めしてくれず、何と言う馬鹿記事をレコメンドするんだGunosyはと思ってクリックしてみたら自分のブログの記事だったとかまったく笑えない事態が頻発して悶絶しております。なんてことをしてくれるんでしょう、Gunosyは。良く考えたら、自分のTwitterで自分のブログの記事を毎日告知しているんですから、当然のように私の記事がお勧めされる事態であることを忘れていました。25個のお奨め記事のうち、5個6個が猪瀬直樹バーカという記事なので、あんまり使い勝手が良くないんですよね。

 仕方が無いので、2010年に作ったまっさらな個人のダミーアカウントに、いま話題沸騰のネオヒルズ族の面々がひしめき合う美しいクラスターを連続投稿してGunosyに登録してみました。
https://twitter.com/ralpen

 具体的には、こちらのサイトで掲載されているイケメンなネットビジネスメンの皆様方のサイトのURLを片っ端からTwitterで放流し、このアカウントが凄い勢いで六本木ネオヒルズ族のネットビジネスに超絶関心を持っているユーザーで心の底から与沢翼さんを尊敬し、小玉歩さんを目指して情報収集に励むトレンドに敏感なノマド、という設定にしたら、どんなURLをGunosyは激しく推奨してくれるのか見てみようと思ったわけですね。


【月収100万円も余裕さ】俺たちイケてるしヤバいネットビジネスマン【かっこよすぎる】
http://matome.naver.jp/odai/2136304558344653901

 まあ、このNAVERまとめも相当イカレているんですけれども。
 そんなイカレたURLをたくさん食わせたGunosyちゃんからレコメンドされたサイト群がこちら。

Gunosy_130507

 全然ネットビジネスマン方面の情報がレコメンドされてこねえ!!

 打率0割じゃねーか! 飯原(ヤ)の打率みたいなことになってんじゃねえか!!
 どうなってるんだ説明しろ!!

 結構頑張ってネットビジネスマンのURLを放り込んでも、ネットビジネスマンなど存在しないかのようにGunosyは普通に「岡田斗司夫がいかにダメな言説をしているのか」や「ドボジョ、工事現場駆ける 土木系女子がクール」とか馬鹿みたいな記事ばかりを奨めてきやがります。まあ、一日しか動かしていませんから、このような結果になるのは致し方ないとも言えるわけなんでしょうけれども。

 ただ、ユーザーにそういう記事を嗜好する人が出てこないとアルゴリズムも回らないんだろうなあという予測は立つんですよね。だから、いま現在偏っているユーザーでサービスしている以上、どうしてもはてなブックマーク上位と記事が被るのも仕方が無いであろうし、それ以外の分野の記事の層の薄さというのも理由の想像もつこうというものです。

 結論としては、未来予測を充分に回すための全体のサンプルも、関連付けられるURLの総量も、記事ごとの性質と連関を細やかに検出する技術もまだ発展途上なんだろうなあということで。たとえば、芸能系の記事リンクばかりを用意したり、特定のクラスターだけの情報を食わせたアカウントで検証してみれば分かるんじゃないかと思うんですけど、やっぱりGunosyが認知し更新・追加するフィールド自体、抱えているユーザーの情報クラスターからはみ出していないんじゃないかと。将来はスケールするように設計しているのかもしれませんけれども、現段階では25発/日のレコメンドを求めて25発/日のクソが放たれた状態ですので、サービスの設計や見せ方をもう少し工夫したほうがいいんだろうなあとは感じるところなんですよね。

 むしろ、一般的なサービスにしていこうというよりは、当面は精度を上げるためにもIT技術、ウェブ、ネット社会クラスターに限定して資産をかき集め、うまくA/Bやりながら練り込んでいくしか方法が無いんじゃないかと思います。でも、これって私が思うに「理想のはてな」じゃないですかね。昔、はてなが盛り上がったときに、いろんな奴らがブコメつけていった先に見ていた希望なんじゃないかと。朝起きて、はてなアカウント開くと自分が興味のある話題がすでにブコメついて盛り上がってて、見物にいってまたブクマつけて、みたいな。

 それがある程度、ユーザーの定期巡回のレーダーの中に入っている新着記事がブコメの中で吟味され、質の良し悪しの判断材料になって、賛同はしなくとも人気になってる記事は一通り分かる、みたいな仕組みって理想だったよなあ、はてなの、と思うわけで。それが、あのGunosyの洗練されたUIで25記事ぐらいで多すぎず少なすぎず、ちょっとした電車やタクシーの中での読み物として重宝するという使われ方を目的とするならばGunosyが実現しようとしている機能ははてなでありTumblrでありHootsuiteなんだよなあ、と。

 願わくば、Gunosyに岩崎夏海が訪問してきてもお茶を出さないなどの伝統芸能も駆使しつつ、クソの放出割合を下げていって欲しいと思うところでございます。



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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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