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2013.01.22

インターネット税(リンク税)はヤバい

 某特定方面で話題沸騰状態になっておりますが、リンク税を含むいわゆるネット税は租税マニア界隈で非常にソソる議論であるらしく、政府とプライバシーポリシーといった「個人情報」をベースとした緩やかなテーマセットからいきなり「税の対象としてのネット」と「特定事業者への課税議論」という死ぬほどシュールな方向に進化しております。もう国民背番号とか言ってる場合じゃないぐらい強烈でビビります。

グーグルと仏メディア各社、「リンク税」をめぐる交渉は進展せず--仏政府は強硬策を示唆http://japan.cnet.com/news/business/35027180/

 フランスでの議論が先行しておりますが、何が微妙かって「Googleをはじめ、フランスのメディアが生み出した『情報』から同じく『利益を得ている』企業に対し、メディア各社の財政に貢献させるための『法律または課税による対策が実施される』ことを認めた」という事例そのものが乱暴であると同時に画期的です。

 もはやオプトインだアウトだという議論ですらなく、またこの議論というのはそこの国民がネットに何を投げ込んだのかを政府が管理し、そこから利益を上げている企業に対して税金の支払いを求めているという時点で「道路と自動車と税」の体系の未来予想的な相似形です。分かりづらいかもしれないけど、ビッグデータや未来予測市場といったものだけでなく、ネットに投じられたメディアからの情報も租税の対象とするのだとすると、それを実現するために相当な政府のネットへの介入と、それを可能にする法律と組織と予算ってことになるわけですよねえ。

 単純なフランス政府によるアメリカ企業に対するエンバーゴーとは脈絡が違うのは、おそらく近い将来ネットでの国境を越えた通商についても課税がなされるであろうということです。我が国においても、amazonが日本に本社を持たない機構であるとのことで日本に納税してなかったので云々とか、そういうレベルの議論を大幅にカバーアップする抜本的な対策であります。

 ドキュメントを読むごとに、関連記事の熱量が高くなっているのが大変楽しいわけでありまして、これが欧州のネット対策のひとつのパターンになるのでりましょうか。本当にやるとは思ってなかったので、とても興味津々です。

 一方、我が国の新聞業界は政権与党に対して真正面から軽減税率を要求する事態となり、こっちはこっちで別の方向から大変なことになっているのも興味深いです。

軽減税率 「消費税8%」で導入すべきだ(1月19日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130118-OYT1T01544.htm
新聞協会、石破氏に軽減税率適用を要請
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130117/stt13011700500000-n1.htm

 本来的に言うならば、フランスの議論と同様にネットで無料で新聞記事を読める状態を改善するためにも、ネットの情報を提供している会社に対しての租税強化→メディア企業に対する還付という立て付けを検討すべえという話になるのでしょうが、さすがは新聞協会、ど真ん中を進んでいっております。大丈夫なんでしょうか。欧州のネット政策や租税体系のように、抜本的で選別的だけどマイルドなほうが安全だと思うんですが…。

 まあmixiにはあんまり関係ない話なんですけどね。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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