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2012.09.17

中国に対して理性的な態度を取るといっても、どう取ったらいいのか分からない人のために

 最初に述べておくべきは、尖閣諸島は日本の領土であり、領土問題は本来なく、日本の実効支配下にあるという従来の主張を是とすることです。ネットの情報を見て右往左往している人は、外務省のこのサイトを百回読んで、落ち着きましょうね。

尖閣諸島に関するQ&A
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/qa_1010.html

 で、語るべきは三点です。

■中国人が尖閣諸島問題で怒る理由をよく理解すること

 中国が後から領有権を主張した尖閣諸島問題が、中国国内のプロパガンダの材料となり、政府への不満のガス抜きとして反日行動が当局管理の下で行われてきている話は一般的に日本人も良く知るところとなっています。

 ただ、今回中国の当局の承認のもとで香港活動家が船舶で尖閣諸島に上陸した背景には、日本政府が最終的には却下したものの日本の一部有志が尖閣諸島の既存施設管理・補修のために上陸申請をしたという話が中国側に伝わったことが主たる理由です。

 馬鹿馬鹿しい話ですが、毎度一連の日中間の尖閣諸島を巡る衝突の原因は些細なものです。しかし、中国からすると日本が先に尖閣諸島への上陸を認めた、また、日本政府が尖閣諸島を国有化する、という情報が、非常にセンシティブに伝わってしまったのも事実です。なぜなら、中国における「国有化」と日本の「国有化」とは、受け取るニュアンスがまるで違うからなのです。

 一連の尖閣諸島での衝突の前から、日中間では相応のコンタクトが続けられてきていました。
 バックグラウンドについては、警察庁、海上保安庁、内閣官房いずれから出ている話も共通しているので、恐らく事実だろうと思います。一部詳細は、先日の『安全保障なう』で語られております。

国内海外安全保障なう 第三回 「日本は領土・領海を守れるのか」
http://blogos.com/channel/47/

■中国の破壊的な反日デモと同じ民度で日本が反中デモをしないこと

 中国人が激昂する理由は理解したとして、我が国も中国に対して積年の不快が溜まっていることもあり、場合によっては反原発運動と似たような流れで、中国の反日デモと同様の破壊的な反中デモのようなものが大規模に組織される可能性もなきにしもあらずです。

 何より、現段階では死者負傷者は出ておりませんが、漁船が千隻だ何だと本当にやってきて、双方無事で済む可能性は微妙なところだと思います。ただ、たとえそういう事態に陥ったとしても、日本国民は誇り高く冷静に、武力に訴えることなく中国に対して抗議を続け、あくまで経済面での離脱を進める程度の動きにしておいたほうが望ましいものと思います。

 友好も抗議も国益を推進するための手段であって、手段を目的化させることがあってはなりません。
 大きいデモを打つことは目的ではなく、それは単なる無責任な煽動に過ぎません。

 間違っても、政治的なアピールをする以外の破壊的なデモに発展しないよう、留意する必要があると考えます。

■尖閣諸島を守り抜く民主党・野田政権の国防政策を支持すること

 民主党は気に入りません。本当に馬鹿ばっかりで困ります。

 ただ、いまこの時点で、尖閣諸島を守り、日本の主権を護持できるのは野田政権だけです。民主党が如何にクズだと思っていようとも、野田政権には仕事をしてもらわなければ日本人が困ります。また、一口に領土を守ると言っても、実際に身体を張って守っているのは海上保安庁であり、警察庁であり、場合によっては海上自衛隊となります。ほかでもない、日本人が尖閣諸島を守っています。

 そういう人たちの足を引っ張るような話は、少なくとも事態が緊迫している状況では控えましょう。

 終わってから、さんざんああだったこうだったと馬鹿にするのはいいでしょうし、選挙で民意の鉄槌を下すのか、野田さんが仕事できて頑張って支持率回復してどうにかなるのかは分かりませんが、いまは、野田さんしかいないのです。鳩山さんや菅さんじゃなくて良かった、とあとから思えるような、決断をして欲しいと切に願うところです。

 いずれにせよ、官邸であり外務省であり、また海上保安庁、警察庁、防衛省といった各省庁が連携して確実にこの局面を現状の法整備、装備の中で進めなければなりません。国内が無用な混乱を起こして、活動を阻害するようなことにならないようにしたいと思います。

■何より考えるべきこと

 血が流れるかもしれません。

 もう、中国本土で日本人が怪我をしているようですが…。

 さまざまな情報が流れて心が揺さぶられ、無力感に苛まれたり、無思慮に行動したくなる衝動に囚われるかもしれませんが、主権を守る、領土を守る戦いは局地戦が間違ってでも発生してしまったらそこで終わる可能性はむしろ低くなります。

 戦争にならないように願いましょう。外交や、国民としての態度をもって、領土を譲る以外のあらゆる平和的、外交的手段が講じられるように、礼を失さず日本人として然るべき態度で中国人と接し続けることを誇りとしましょう。

 危機が去ってから、教訓を得て国民全体で議論しましょう。
 それまでは、これは有事であると弁えて、問題に対処する人たちの妨害とならぬよう、国民一人ひとりが考えて行動しましょう。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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