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2012.09.25

大沼

 日本全国1億2千万、世界各国73億人の大沼ファンに惜しまれながらも、今年ついに女性スキャンダルに恵まれて一時引退に追い込まれた大沼。その大沼の長年に渡る功績とその歴史的偉業を湛えようと、今年からノーベル大沼賞が新設される可能性が濃厚になって参りました。メジャーリーガーのピッチャーであれば誰もが一度は夢見る栄冠、サイヤング賞受賞者ですら大沼賞の獲得は困難と言われていますが、年度ごとの集計において大沼感溢れるピッチングでスタジアムをいい湯加減で湧かせたり、むしろ味方ベンチが何か沸いたりしたピッチャーに贈られる栄誉ある賞であります。

 それでは、在りし日の大沼幸二の歴史的映像を見ながら、紹介してまいりましょう。

9回裏 西武大沼痛恨のサヨナラワイルドピッチ!! M-L 9月16日
http://www.youtube.com/watch?v=8jsAwldp0js

最優秀大沼賞とは

 リーグを問わず、もっとも大沼な感じの投球をシーズン通して行った投手に対して与えられます。

・大沼賞のめやす

 ドラフト上位であること。ドラフト一位や、逆指名、指名枠(希望入団枠制度)による入団が望ましい。

 荒れ狂う制球であること。目安として、BB/9がシーズンを通してコンスタントに4.00を超えていることが求められる。

 もちろんWHIPは1.50以上。2イニング投げて3人は塁上を賑わす、すなわち確実にピンチがやってきて焦げ臭くなってこそ大沼。

 壊滅的な防御率であること。少なくとも6点近い防御率であることが大沼度を満たす条件となる。

 登板数が多いこと。先発、中継ぎを問わないが、首脳陣に一定の評価をされ、期待されてマウンドに上がっていることが大沼指標の重要なポイントとなる。

 右投げの速球派投手であること。左投げ投手の場合はその負け数に応じて園川賞が与えられる。

 他人のランナーをたくさん返すこと。二死満塁で登板し、初球をホークス鳥越に二塁打されランナーが全員返ってきたり、同じく二死満塁で登板し、初球をロッテパスクチに二塁打されランナーが全員返ってくることを求められる。

 頑丈であること。あるときは先発、あるときは三連投も厭わない中継ぎ、またあるときは早々にノックアウトされた石井貴の後を4回2/3投げるタフネスが必要である。

※ そのうち計算式作ってマクロ組むよ。

■最優秀大沼投手(予想)

 今年まだシーズンは終わっていませんのであくまで予想ですが、当ブログが責任持って見極めた、今年の最優秀大沼投手は恐らく増渕です。
(※ なお、SABR系データはヌルデータさんより拝借しております。ありがとうございます。)

・増渕竜義(東京ヤクルトスワローズ)
http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/Ys/p/22_stat.htm

 何といってもドラフト1位、素晴らしい速球派であるにも拘らず、現在WHIPは1.62とゴミ、BB/9も4.45と、大沼なみに荒れ狂う投球とクソのようなマウンド捌き、それでいて小川監督以下首脳陣からの圧倒的な期待を背負って42試合の登板に5回の先発、ホールドは8しかないのに負け数は6と、彼こそは大沼を継ぐ実力を兼ね備えているものと思われます。何といっても、NHB%が25%を割っており、中継ぎで登板して4回に1回も三凡で抑えないという、タフネス敗戦処理で使おうにも傷口が拡大するのみの状況に涙するわけであります。

 6月に先発に転向するも、あっさりブルペンに戻されるあたり、そしてそれでいて頑丈なのか戸田送りにはならないという微妙なラインをシーズン通して走り抜けるあたり、大沼の鏡です。交流戦は低迷するヤクルトを象徴するよんたまを繰り返し、そして7月には効果的な炎上の数々で神宮の夜空を華麗な花火で彩りました。まさに在りし日の花火師・花田投手を髣髴とさせる投球でした。

 残念なのは、顔はいかついけどマウンド捌きが少し神経質で、凄く善良な人なのだろうなあと思われる仕草やエピソードでありまして、ネタとして扱うには少しいい人すぎるのではないかと考えられる点であります。ヤ戦病院と揶揄されるヤクルツにおいて、打の田中浩康、投の増渕竜義として「なんかしらないけど故障せず一軍でプレーしている」という状態を来年もキープし、大沼度に磨きをかけて欲しいと願っています。

■大沼賞

 増渕ほどじゃないけど大沼っぷりが認められる次世代の大沼系プロスペクトを紹介してまいります。

・渡辺亮(阪神タイガース)
http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/T/p/12_stat.htm

 49回しか投げてないのに31個も四球出して大沼ファンを歓喜させた渡辺。本来こんなところに名前の出てくる選手じゃないのですけれども、今年は夏場にかけてチームの失速とともにぐんぐん大沼化していき、他人のランナーは返すわエラー絡みで失点するわで防御率に傷をつけずに大沼感を満喫させるおとなげない老獪プレイでベテランの味を感じさせました。

 四球が多いのも一昨年、去年に比べてなかなか決め球で空振りが取れなくなってきているからなんでしょうが、ある種中日金剛にも似た「通用するようで通用しない感じ」を来年はさらに促進してくるものと考えられます。

 逆から言えば、そろそろトレードの出し頃ピッチャーなんでしょうが、来年は阪神もブルペンの計算をするにあたって渡辺を枠に入れるかどうか微妙なところなんでしょうねえ…。

・福井優也(広島東洋カープ)
http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/C/p/11_stat.htm
・岸本秀樹(広島東洋カープ)
http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/C/p/48_stat.htm
・梅津智弘(広島東洋カープ)
http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Central/C/p/39_stat.htm

 広島からは、何と三人も大沼にピックアップ。まあ梅津は速球派ちゃうやろと言われればそれまででございますが。この三人に共通しているのは、もはや美学とも言えるカープ采配の犠牲者であり、うっかり好投を二試合すると、好調と野村監督に見極められて、その日から連投連投アンド連投とか、福井も先発で機能したのは春先と8月だけなんですがとっくに力尽きてるのに続投させられて四球四球二塁打とか、何とも残念な感じなのであります。

 岸本とかいって被出塁率が363、BB/9が6.38、変化球のストライク率に至っては.233とか実に大沼で、それでもたまに好投するとすぐ間をつめて登板させられるので、すぐに調子を落として夏場に姿を見ることはありませんでした。

 カープは明らかに采配において駒不足に伴うコンディショニングが困難という、大沼量産球団になろうかといったところでしょうか。福井とかマジ期待しているんですけどねえ…。なお、江草はこのままいきますと青木高広の後をついで園川賞最有力候補になれると思います。

・吉川輝昭(福岡ソフトバンクホークス)
http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Pacific/H/p/00_stat.htm

 2003年、あの横浜ベイスターズの自由獲得枠で入団。2011年は好投しました。しかし今年は惜しくも最優秀大沼投手を逃しましたが、この吉川の四球力も侮れないものでした。32回投げて、四球は18、BB/9はなんと5.01と5点台。まさに歩かせる機械。本当に全盛期の大沼もかくやと思わせるドーム戦専用大沼という感じで、コンディションがいいはずのドーム球場でストライクが入らず猛り狂う姿はとても印象的です。

 ただし、空振りを取る力は優秀であるため、被打率231、被出塁率341と、比較的小じんまりと落ち着いてしまっているのは大沼的にはむしろマイナスでしょう。キレのある荒れ球投手って感じでしょうか。もっと真ん中に投げ込んで大やけどをして欲しかった。交流戦では阪神相手に犠打ワンアウトを取るだけで2被安打2与四球2失点と完璧な投球を見せ、未来の大沼の片鱗を見せたことは記憶に新しいところです。毎月満遍なく失点しているのもポイントですね。

 ホークスは大沼界未完の大器と噂される甲藤が故障もあってなかなか上で投げられない状態で、また巽がサンドバッグとしてブレイク途上であります。さまざまな条件の中で、吉川にはどうかパリーグの火を消さないで欲しいと思っているところですね。

・斎藤佑樹(北海道日本ハムファイターズ)
http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Pacific/F/p/18_stat.htm

 言わずと知れた、持ってる佑ちゃん。どうしてこうなっちゃったんですかねえ…。もはやカリスマ性のあるネタ度マキシマムな大沼ワールドのスターと言えるでしょう。STATS的にも、もうろくなもんじゃありません。打たれる、ストライクが入らない、空振り取れない、セットになってさらに崩れるといいところなし。援護率だけは4.41と高いんですけど、お前の能力とは根本的に関係ねえ。

 被出塁率が367、BB/9も4.07で、出塁されるに関して死角なし。ただ、シーズンを通して働き続けるにはちょっとスター過ぎて残念な感じでしょうか。
 もはや大沼のベクトルとは違った感じの愛され方をしている状態でもありますので、どうか早く二軍の帝王になるなどして早期に首脳陣の信頼を獲得し一軍で元気に炎上して欲しいと思います。

・ゴンザレス(埼玉西武ライオンズ)
http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/Pacific/L/p/50_stat.htm

 大沼の産地、ライオンズの助っ人外人。実力のある投手と見られながらも、なかなかその本来の姿を見せることなく大沼と成り果てました。8月に先発して以降行方不明でありまして、イースタンでは防御率2.47と好投、上では炎上と、むしろ大沼の化身として君臨しておられました。

 被打率474、被長打率475、BB/9も4.70にWHIPも2.26と、数値的に見るべき部分はまったくなく、ほぼ大沼完全体の再現と言えます。何のために来日してしまったのでしょう。

 なお、ライオンズは一時期のブルペン全員完全崩壊の状態から復活を遂げてしまいまして、炎上投手という名産品の生産に苦労するぐらいにまで再建を果たしました。これはこれで凄いことだなと思う一方で、今年これだけブルペン使って来年無事で済むはずないぞ、そうだ無事で済まされるはずがない、そうだそうだといった状態でございます。

■総評

 やはり統一球が日本野球に与えた影響は大きいということではありますが、統一球の影響を最も受けない投手指標とは何か。それは与四死球であります。もうね、ストライクが入らなければそれだけでまずは大沼の始まりなのですよ。歩かせる。これこそが、新たなる時代を受け継ぐ大沼系投手のアプローチだと思うのですね。

 それは古き良きパリーグのあり方であり、ひいては球界全体、さらには人類すべてに対する責任なんだと考えられます。

 今回、最優秀大沼投手の栄冠に輝くことは間違いないと思われる増渕投手が、来たるCSで万一登板することがあったとしたら、どんな投球を見せてしまうのか、あるいは吉川投手が、そして、新たなるパリーグにおけるネタ投手のホープ斎藤佑樹投手は別の意味でどうなるのか…。

 思えば、私にとってのパリーグのインチキ左腕といえばロッテ園川でした。何か8回途中で川崎球場のマウンドを降りるまで7失点とかしているのに涼しい顔で投げ続けている園川が印象的で、その年は南海ホークスがダイエーに身売りした初年だったこともあり、これが新時代のパリーグなのかと、目に焼き付けていたわけですね。

 やがて、ホークスにもラジオが入団し、そしてゴセージ、バティスタ、グーリン、今年はペニーと、ネタには事欠かない選手が山と入ってきて、パリーグらしさにも一段の華やぎが肌で覚えられるようになったわけですが、やはり必要なことは「真剣に、全力で取り組んだ結果がネタで終わる」という事態であります。逆に言えば、ネタありきであってはならないということでもあるんですが、この真剣勝負であるからこそ生まれるネタの美しさが大沼なるものであり、初芝であると言えるでしょう。

 打撃においては大松がその地位を着々と固めつつありますが、投手においてはなかなか偉大すぎた大沼の穴を埋められる好投手になかなか恵まれないというのが実情ではないでしょうか。最近では、大リーグで斎藤隆や松坂が大沼的アプローチでアメリカ人どもを驚愕せしめ、一時期はダルビッシュもまたその身を惜しまず大沼化せんという模様でありましたが、何といってもやはりまずは挨拶代わりに四球を与えることから始まらねばならぬということは力説せずにはいられないのであります。

 残り少ないシーズンを、最後の一滴まで絞りつくして楽しんでまいりたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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