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2012.08.03

ダルビッシュのSTATSが大沼化し、チェンが通用しているこの現実

 つらつらとSABR系のデータを眺めておったところ、鳴り物入りでレンジャースに入団したダルビッシュの成績が順調に大沼指標に近づいてきているので、激しく警鐘を鳴らすべくエントリーを書いてみようと思う。

 分からない人は置いていくよ!(キャプテン渡辺風)

 日本のデータはヌルデータ置き場さんの数字を一部引用。もっとも、元解析は某有料サービスを利用しております関係で、当ブログでは引用できませんのでご容赦ください。

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/2008/Pacific/L/p/15_stat.htm

 こちらは、ほぼキャリアハイの08年大沼幸二投手のSTATSです。いやあ、フォアボール出してますねえ。この2ストライクに追い込んでからの与四球の多さといい打順のどこからでも歩かせる公平さといい、まさに歩かせる機械といっても過言ではありません。

 このBB/9が4近い、NHB%も2割を切るなど、ランナーを出さずにはいられない、在りし日の大沼の投球が目に浮かぶようです。

 この大沼の配球とリザルトデータをしげしげと眺めますと、被打率、被OPS上昇要因は他の凡百の投手同様、打席内にあってはまずカウントを悪くする→ストライクを取りにいった変化球を痛打、またはカウントを悪くする→ストライクを取りにいったはずの変化球が入らず与四球という美しい大沼投法が見て取れます。また、イニング投球の失点構成も大多数が被安打や与四球でランナーが出る→被安打や与四球でランナーがさらに出る→ストライクを置きにいって長打を打たれるという定番で、この踏ん張れなさ具合が革新的です。速球が速いのが売りの投手でありながら、速球で空振りが取りづらい、速球も変化球もストライクが入らない、ストライク欲しさに置きにいくとスピンが減ってさらに打たれやすくなるというジレンマを抱えています。

 参考までに、ダルビッシュ投手の2011年データを置いておきます。

http://lcom.sakura.ne.jp/NulData/2011/Pacific/F/p/11_stat.htm

 この通用してるっぷりが凄いんですけど、隙のない好成績の中でも一際目を引くのが0ストライク、1ストライク時の変化球のストライク率が低いところです。K/9が10点台は立派なんですが、配球の問題もあるのかセレクティブヒッターの上位15%の打者から奪える三振が一際低くなっているのもダルビッシュの特徴でもあります。

 そのダルビッシュ投手の今年のメジャーでのSTATSです。

http://www.fangraphs.com/statss.aspx?playerid=13074&position=P

 各論でいうと、試合を経るごとに研究され、あるいは暑い野外球場やデーゲームなどとの愛称からか、どんどん成績を落としていき、空振りを取りづらくなっていくダルビッシュの苦闘が分かるわけなんですが…。

 一番大きいのは大量失点の傾向が強い投手のようである、ということが分かってきたことです。もちろん、要因は変化球でストライクが取れないことです。これによって、待球作戦をされるか、ファーストボールを積極的に狙っていく打法に切り替えられて、pitch f/x提供しているsports visionのSTATSにおいてもシーズン当初からスピン数の減少が確実なものと見られております。

 要するに、ダルビッシュがメジャーで大沼化してるさまをみるわけであります。

 おそらく、チームからもストライクを入れて欲しい、与四球を減らすコンディショニングを、と要求されているんでしょうが、それ以前の問題としてスピンが下がって空振り率が大幅低下しつつある現状ですので、急速が93マイルから95マイルあったとしてもこれはもう大沼です。右バッターのE5ゾーン、っていうか外角低めのストライクゾーンに投げ込まれたファーストボールの空振り率がリーグ平均を下回っているようではよろしくありません。

 もともと球の勢いで抑えられる投手ではないと見られているだけに、結構このあたり深刻な感じがします。ぶっちゃけトレーニング加重が大きすぎて筋力が過大なんじゃないかとか、いろんなことが考えられると思うのですが、少なくとも最新のダルビッシュの成績数値だけ見ると完全に「先発する大沼」です。それも、大金がかかってる感じの、凄い大沼なんです。

 なお、チェンに関しては抜群に通用しています。ダルビッシュとの違いはもう単純にファーストボールが通用していることが大きいんですが、同じ左腕同じオリオールズでも投手としてのタイプの違う和田が予後不良で成績が比較できないというのはまことに残念なことです。岡島、高橋、チェンと、日本球界出身で通用する左腕のサンプルが増えたのは大変喜ばしいことで、もう少しデータが集まっていくと日本プロ野球界で通用する投手とそうでない投手の予測はもう少し正確にできていくんじゃないでしょうかねえ。

 最後に、我らがアスレチックス、今年はまた無駄に夏に強く、ワイルドカード争いも一時トップに立つぐらい好調でありました。なんかヒックスやノリスがサクラメント送りになってしまいましたが…。久しぶりにポストシーズンでリーグ制覇目前で敗れ去るアスレチックスが見られるかと思うとわくわくしますね。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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