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2012.04.06

岡田斗司夫氏の議論がいろんな意味で面白い

 『ぼくたちの洗脳社会』を12年ほど前に読んだメモが残っていて、エッセンス的には思考実験としての面白さに酷く感心した覚えがあったのだが、岡田斗司夫氏が良い意味でその思考枠から一歩も出ることなく同じことを喋っていることに興味を持った。

「僕らは評価経済の高度成長期に入った」 週刊東洋経済インタビュー ノーカット版掲載!
http://blog.freeex.jp/archives/51322180.html

 基本的には与太話のレベルであり、煽りにある「さらばGDP」どころか評価や評論が蓄積されることで貨幣の代替ではなく狭い世界での自己満足を促進するだけというありふれた結論に達する陳腐な話に過ぎない。正直、議論としては素人を騙す程度の価値しかない。それはいいのだが、正規就労がだんだん狭き門になり、雇用調整としてのフリーターの割合が増えていく途上で「会社社会は終焉を迎える。若者はやりたいことを見極めどんどん手がけて行動すべし」みたいな無責任の極みのようなエールを送っていたのと似ている。やはり、一定の層を捕まえるにはこういう議論がやはり有効なのだろう。

 と思ったら、批判としてこのサイトで言いたいことをあらかた言われてしまった。

衆愚経済社会という絶望~評価経済社会はもう既に始まってる~
http://d.hatena.ne.jp/TM2501/20120406/1333663289

 ある種、これを言えばまだ人が納得してくれる、という岡田さんの読みのようなもんがあって、それに一斉に釣られているというイメージ。何より、例示されている評価経済の帰着点が、結局マーケティングであり結果としての売上に過ぎないという点でも、既存の経済の枠組みから一歩も出ていないんだけど、AIDMAのようなメソッドで否定し得ないひとつの段階をさもそこの中で完結しているかのように掘り下げるものだから、お金を触ったこともないような人だけが釣られて賛同してしまうのは狙ってやっているだろうということで。

 同じように、ちきりん女史の大企業関連の言説も似たような感じではないだろうか。

2012-04-04 大企業を辞めるという合理的な選択
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20120404
2012-03-21 間欠泉的キャリアの薦め
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20120321

 理知的な判断では、大企業であるかどうかに関わりなくどこかに勤めて報酬を得る勤務体系が合理的かどうかは、その人の抱えるスキルやその業界、あるいは扶養家族の有無など別の要因が大きく、一概に合理性は判断できないとしか言えない。その辺をひっくるめて価値観と言うと思うのだが、ノマド議論同様、その人個人の前提条件の咀嚼なしにキャリアを語ると必然的に煽りになってしまう。同じ経理をやるなら保障の多い大企業のほうが合理的という判断もありうる訳だし、家族を抱えて大企業を飛び出すリスクやら何やら様々あるしね。

 もっとも、私は自分自身で資産を持ち経営をし、家族を養っているので、比較的そういう議論からすれば中立の立場にあるはずなんだけれども、岡田さんが評価経済や! と言ったところで「まあ、岡田さんはやりたいことをやるための金があるだろうから、そういう言いたいことも言えるんだろうけどさあ」みたいに思ってしまうわけで。それでも、岡田さんの書くものは刺激的で面白いからみんな見てしまうんですよね(フォロー)。

 まあ、社会的文化人は忘れ去られないために、煽るのも必死なんだなと斜に構えた感じで現場からの報告は以上であります。


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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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