野田首相、消費税増税は「公約違反ではない」はさすがにちょっと…
ピンで政治活動をしているときは切れ味良くても、役職に就いたらその立場の持つ慣性が働いて、言いたいことも言えず、昔の発言との整合性が取れなくなってしまうケースはとても多くあります。出世の罠って奴でしょうか。
でも、仮にも一国の首相まで出世し尽した人が、その出世までの道のりで行われた選挙での公約を事実上撤回したも同然の発言をしてしまうのは、吐いた唾をドリンキング行為と批判されても致し方ないのかなと思うところでもあります。
野田首相、消費税増税は「公約違反ではない」 衆院本会議
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120126/plc12012614150006-n1.htm
もちろん、いろんな立場がある以上、その調整の結果として漸減を撤回しなければならないことは往々にしてあるとは思いますよ。ただ、谷垣さんから「マニフェスト違反。だから総選挙を」と言われての応対ではありますけれども、その強弁は如何なものだろうかと。
その趣旨替えといいますか、無理を承知で消費税増税に漕ぎ着けるための基本的な事実関係の報道というのは、11月ぐらいにとっくに出ているものでもあります。
消費増税分、来年度予算編成に織り込み 官房長官見通し
http://www.asahi.com/politics/update/1104/TKY201111040146.html
要は、埋蔵金だ何だといっていた財源も使い果たしてしまい、歳入の不足を補うために増税を行わなければ予算を作成する根拠が失われているので、必然的に財源確保のための増税はやむなし、という判断をしているわけです。
つまり、実際問題として政権運営を行い予算を策定する上での原資がすでに枯渇してしまっているので、政権を奪取した際のマニフェストよりも、そういう現実的なところを優先しましたのでそこんとこヨロシク(死語)という話なのでありましょう。多少状況を理解している人であればそのぐらいのことは思い至る部分でもありますし、そもそもそういう財政的な行き詰まりを起こしてしまったのは小泉政権以降の成長戦略やら財源確保やら歳出削減やら構造改革やらといった財務的なバランスを保つための活動をさぼったり、国民からの反発を怖れて着手を先延ばしした結果だとも言えるのです。
そのあたりを、堂々と谷垣さんに説明し、与野党一致して財源問題の確認を行っていかなければならないはずが、何故か「公約違反ではない」というところで論陣を張ってしまうので、いやそうじゃねえだろという反発が出てしまうことを抑えられないことになります。ダメージコントロールの失敗というか。
で、今回は消費税の問題が大きいから必然的にこの論争が目立つのは仕方がないのですけれども、実際問題としては民主党が前回の選挙でマニフェストとして公約したことの結構な内容が政策実現できていない事案がぼろぼろと出てくる事情もあります。
http://chaosseed.qlookblog.net/2011/01/19.m.html?guid=ON
政策的な目玉となるべき各省庁各方面の事案でことごとく後退するか政策撤回しているように見えてしまうため、どうしても残念な政権に見えてしまうのは仕方がありません。事実、そうなんですから。ただ、現実の問題として増税が行われないと予算の策定をしても執行が出来ない歳入不足が止まらない、というのはよろしくないので、政権運営がかなり本気で行き詰った結果として矛盾を承知で強弁しているのだろうなあと思う次第です。
個人的に思うのは、野田佳彦首相というのは、人格的にも政治家としての能力としても決して不足がある人とは感じられないという点です。異論はあるかもしれませんが、少なくとも、民主党関係者や官邸の人たちで野田さんの人格や能力を殊更に悪く言う御仁はいない。ただ、鳩山さん、菅さんと、これまた政権を放り投げた短命政権が続いてきて、民主党やそれを取り巻く環境というものが、平時の秀才である野田さんの高い調整能力を軽く超えてしまっている、というのが実際ではないかと思っています。
もっとも、鳩山さんや菅さんと政治家としての能力を比べた時点で下駄を履いてしまう、という錯覚のようなトリックはあるのかもしれませんけれども。
まあ、増税は規定路線でいくのであれば、自民党も解散の約定だけは取り付けておいて、3月か6月に予算と引き換えに党を割らせるなり何なり揺さぶりをかけるのでありましょうが、私個人の考えでは安定した政権は国益に資すると思っていますので、あんまり揺さぶりすぎるとわけの分からない地域政党や面白新党が出来て収拾がつかなくなるんじゃないかなあと気を揉む次第であります。


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