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2011.06.09

パーツと起業

 イケてる人にはどんどん起業して欲しいと思いつつ、大企業の金看板の下で輝いていた人が、勘違いして独立して仕事が取れなくて燻っているのを見ると、起業にはやはり向き不向きが大きいねという当たり前の結論に。

 というか、大企業の事業責任者や、下手すると経営トップやった人ですらスピンアウトした瞬間に輝きを失って連絡すら取るのが億劫になるケースもままあるもので、義理人情とはまた違った何か別の力がやはり起業には必要なのだなあと再認識。

 もちろん、大企業にいた人は中小企業に来た瞬間にサービスの悪さに必ず気づく。給与明細を自分で発行しなければならないとか、経費表を自力で作成しなきゃいけないとか、保険は自分で申請するもんだと知らないとか、予実管理は事業責任者が自分で作成するもんだとか。ベンチャー経営者になったら、利益を出すべき仕事ばかりではなく、つまんない雑用や時間ばかり喰う書類作成なんかをせっせとこなさなきゃいけない。

 そういうオールラウンドの手続きを全部やってみて、小さな経営管理すら実は大変だったということや、資金繰りの苦労、大企業にいたときは経験したこともない屈辱的な契約書での攻防を、世間に出て初めて知るわけです。ベンチャーは楽しい、面白い、スピーディだと思える人は、とても起業に向いていると思うんですけど、残念ながら大企業とはまた違った新興零細企業の現実に気づいて日々の業務に埋没する人も多数見受けられます。

 出来上がったばかりの会社は、初年度の決算すら満足に出来なかったり、月次決算って何だよ的なことが必ず起きるんですけどね。そこで折れるような人たちってのは、そもそも組織から出ちゃいけなかった、ということですよ。

 というわけで、また新しい合弁会社設立の事業計画とか書いてます。それはもう、せっせと作ってます。小さく産んで、大きく育てると一口に言うとかっこいいけど、泥臭い仕事の塊でございますよ。ええ。まあ、楽しいからやってるんですけどね。


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Comments

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そうですなぁー、雑用の塊ですよね・・・
で、飯塚さん、どうしているかご存じですか?

つまり将に将たることはできても、将とはなり得ないんでしょうね。
起業したてで担保物件が無くて自宅を担保にせざるを得ない時なんか、これまで経験のないような悲哀を感じるのでしょうか。

理想ばかりだと、どんなことも息詰まるでしょ。恋愛も結婚も同じ。

なにか、決行する前に、底辺の人と働いてみるとかした方がいいんじゃない。そして、ペコペコ仕事をもらったり。底辺であればあるほど、結局日雇いだから、口約束とかだけであったりするから、会社に籍をおいたままでも、できるんじゃないかな。

単純に、勉強ができる人ほど一流企業にいるわけだから、在野は、勉強できない人ばかりだよね。人集めや、大変だよね。そうそう、日本の一流企業が利益をだしているようで、実は出にくいのは、丸投げなんだよね。無駄な仕事を増やしてるから、結局利益があがらんのだよ。それに、会社全体が傾く危険を重ねることになるし。丸投げされた底辺で働くと、よくわかるよ。途中の無駄を、現場で働いているものに払うか、じゃなければ、頂上で自前でやればいいのにとか。

とにかく、理想という思想でなくて、自分の目でしっかり見てきた方がいいでしょ。

泥臭そうなお仕事ですね。

私も、将来起業したくてベンチャー企業に入社しましたが、入って一番思ったのは、あんなに面倒くさそうな社長業はやりたくないなぁでした。

楽しそうなサービスの企画とか、どうやって儲けようか考えるってお仕事と、
財務諸表や人事、総務でめげないのは、やっぱり違うんだなぁと。

士官学校…じゃなくて起業・経営維持のノウハウを教える学校が大学とか、若いうちに教えられるところがにあんまりなくね?>日本

>初年度の決算すら満足に出来なかったり、月次決算って何だよ的なことが必ず起きるんですけどね。

ベンチャーの2期目で管理部が肥大する最大理由だね。

神は細部に宿る!

ベンチャーにいたときは、何でも自分でやらないといけない代わりに、自分のやりたい事がどんどん通り、ちょっと焦りました。

今は、普通の会社勤め、時間の余裕はあります。

ただ、営業系の方々で結構大会社から来た方が腰が重くて、仕組みをつくるんだとかで、なかなか客先周りをしてくれなかったり、使える人が少なかったですね。

どちらもどちらということで。

>>零細企業の現実に気づいて日々の業務に埋没

これが得意な日本の高学歴連中はこぞって公官庁や大企業。余計に零細に人材が集まらないわけで、戦国シミュでいうと関羽レベルがなぜか内政で開墾や建設に振られるわけですね。んで一方の魯粛が外交や戦闘にあふれているから、大企業や公官庁なのに停滞するんですかね。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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