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2011.05.16

馬鹿は馬鹿のはずなのに、なぜ滅ばないのか

 環境は、適応していない個体を取り除くはずなんだけれども、自分も含めて「別に環境に適応してないはずなんだけど、どうにかなっちゃってる馬鹿」っていっぱいいるじゃないですか。普通は、環境が影響を及ぼして、競争に負けた個体は死んじゃったりするんだと思うんですが、振り返ってみて「ああ。私って馬鹿だなあ」と思っても、なんだかんだであれこれやらかしているうちに、どうにかなっちゃったりします。

 振り返ってみると、あいつ賢いし、うまく立ち回ってるなあ、と感心してた奴が破産してたりとか。ちと原宿の某一件をさっき詳しく聞く機会があったのですけど、超うまくいってて、会社もガンガン拡大してるのに、著名で優秀なはずの本人がいろんな筋に喰い付かれて身を持ち崩していたりとか。もったいないというか、残念というか。

 馬鹿が滅ばないのは周辺にいる奴らはもっと馬鹿だからだ、というのもあるかもしれませんけど、でも上にいる人とか偉い人とかが、何か変なことしてて「馬鹿だなあ」と思う機会が凄く増えたような気がするんですよ。「何でそこに拘ってるの? もうそれって、現実のルールからすると関係ないでしょ?」みたいな。

 ベンチャー界隈とかだと、起業文化は大事だねという話と、日本産業の伝統的に良い部分を融合しようとか綺麗な掛け声が出てて、日本の産業はモノづくりが大事だ、製造業は日本の宝だとか言うわけですよ。いや、確かに日本の製造業は素晴らしい技術を持って頑張っておられるところはたくさんあります。それは事実です。でもねえ、そういう職人の伝統芸に対する信仰のようなものと、これから頑張っていくぜ的なベンチャー精神とって組み合わせればそれでOK的な話にはなかなかならんのではないのか、と思うわけですね。だって、40年とか時間を掛けて磨き上げた技術をおいそれとその辺の新参ベンチャーが真似できるはずがないじゃないですか。そこに凄い技術革新があって、職人芸がなくとも達成できるモノづくり上の何か、ってのがあるんなら話は別ですけれども、あんまりそういう話は聴いたことがないんですよね。それだったら、技術は歩けど経営が前近代的な中小企業がスムーズに第三者に事業継承できるような税制や投資の枠組みを充実させたほうが、よほどモノづくりの継続には役立つんじゃなかろうかと思ったりします。

 ところが、モノづくりこそ日本の原点だと信じてやまない人が、その場その場の日本経済を語るキーワードに結び付けてそれっぽいことを言うだけで、じゃあどれだけ日本発の技術が継承され、利益を出して納税しているのか、日本の社会に貢献しているのかってことがきちんと検証されないまま方針策定されていて馬鹿なのかと。それって、空母の重要さを認識しながら戦艦を建造し続けてるのと大差ないじゃんとか思うわけです。

 ちょっと前に、そういう不思議な人たちはモノづくりに「グローバルスタンダード」をくっつけてあれこれ語ってたりするんですよね。グローバルスタンダード。確かにそんな単語あったなあと思うんですが、輸出産業に磨きを掛けてコモディティ化に対応したり、資金調達の方法を多様化させて経営合理化を進めていこうという以上の話は何一つなかったりするのですが。

 そういうマインドの人たちが、今度は東北の経済を再興しようとかいって、また工場誘致とかやらかしそうな気配で。いや、いいんですよ、勝算があって、競争力のありそうな会社さんに東北への投資が促せるのなら。でも、話を聞くと東北地場でいて被災して競争力を失った会社への融資を肩代わりして… って、それまんま破綻処理じゃないですか。ある種のゾンビ栽培ですわね。そりゃあ幾らなんでも馬鹿すぎるだろと思いながら、私も会議の置物になってるわけですが。

 まあ、こんなのは一例で、敗戦処理というのは随所に山ほどあって、クールジャパンとか知財の方面もなかなか困難なところに直面しつつあるし、ソフトパワーとか一口に言うのは良いけど東京以外ではなかなか競争力を確保できる企業が育成できないという現実もあります。でも、みんな一枚どうしても噛みたいから、お題を増やして膨らませて、自分の席を確保しようと動くんですよね。馬鹿なのかなあと思いながら見ているわけですが。

 誰が一番馬鹿かって、私なんですけどね。こんなブログで愚痴垂れてないで、とっとと本人に馬鹿なんじゃないですかその政策はと言うべきなんでしょうけれども。敗戦処理って地道に動いてればいつかは消化されるから、私自身が思考停止しているんでしょうね。頑張ってる自分に満足して、全体の利益を見失ってる的な。派手な存在に見えて得意とするのは地味な作業なもんで、どうしても埋没するわけでありまして。

 どうして私はこういうスキルセットで満足してこのスペックのまま生きてきちゃったんだろうね。早く帰って勉強しよ。


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Comments

お花畑のまま逝ってよし

えっと、マジレスすると、
ズバ抜けてて孤高の人より、
パッとしないけどみんなと一緒の人の方が
結果的に滅びにくいんじゃないですか
面白いかどうかは別として

やっぱり隊長は一皮剥けてひとつうえの男になったんだな

馬鹿に馬鹿って言っても分からないから馬鹿なわけで、
馬鹿って言ったら分かるようならすでに馬鹿じゃ無いからなぁ

いつもの軽妙な語り口の中にも微妙に鋭い視点があってそれがウリなわけで今回のエントリーも大変面白く読めて満足なんですが、最近愚痴っぽくてしかも弱気にもなってますねwお仕事うまくいってないんですか?

現代はアフリカにでも生まれない限り生きていけないっていうことはないので、
子供をたくさん作るグループが生き残って子供をあまり作らないグループが減っていくっていうパターンですな

沈むこと確実な泥船に載っている状況で、一人だけさっさとヘリ呼んで逃げ出す隊長よりも、なんとかとりあえず沖に向かって猛ダッシュをかけようと頑張る隊長の方が好きです。
まあ、それでご本人まで沈んじゃ不味いですよね。

まず、最近の進化論では、「適者生存」という前提自体が崩れつつあります。
どうも、何か遺伝子が書き換わっても、
「それが決定的に生存に影響する」
レベルでない限り、適当にしてしまうのが本質な用で。
人類がビタミンD生成能力を失ったのも、人が過ごしていた環境では、それで別にあまり問題は無かったから。というだけらしい。

ですので、「バカ」もそれが赤信号をわーいとか言いながら飛び出すレベルでもない限り、淘汰されてしまう可能性は小さいと。
むしろ各個体の能力より運の方が、決定的に重要というか。

切込隊長の様に、慶応出てマルチリンガルな方がスキル不足とか言ったら、スキルが十分というのはどのレベルなんだろうと、私のような高専電気科出は思うわけですよ。

個人に戻れればいいんだけど、日本は個人を軽視しすぎなんだよ。

権力って、実力があるものがもたなければいけないだけどね。

で、実力ってのは、個人なんだな。

とあるもう20年前になるのかなベンチャーというか、3人の個人がはじめた会社が上場されて、それはスゴイいきおいだったんだな。オレも机をおかせてもらえて見て感じたのは、個性的な人で実力がある人もたくさんいたけど、権力構造が動いていたのが、そこの会社が将来傾くって思ったわけさ。派閥を形成していたし、もともとベンチャーみたいな会社なのに忠誠とか。

権力って怖いよね。今、問題のある大企業は、権勢まるだしでしょ。実務を隠して隠して。実際、男尊女卑、学閥主義でしょ。フランスからきた社長だっけ、女だったでしょ。ところが、日本は、優秀な人材をつぶしまくっていたとしか思えない状態に見えるけどね。

とにかく、実力とは、学力ではないことは確かだな。学力しかないものが、権力を手にしているのだから、まわりは迷惑を受けるばかり。

>誰が一番馬鹿かって、私なんですけどね。

分かてるやないかい。己を知るものは百戦危うからず!
馬鹿にも基準はイロエロとあるから落ち込まんように。
つうか、現在がすべて適応状態といふのは誤りであって、適応途上のカオス状態というのが正しい認識。しかも、カオスの度合いが大きいほど将来の可能性も拡がると。全員が官僚のような優等生ばかりの社会を考えてみい!だから、落ち込むなよ!って、落ち込んでる筈はないよなwww

需要と供給かな。
例えとしてはアレですが、ダマされるほうと、ダマすほうとか、バカにするほうと、バカにされるほうとか。
どこに向かうかはさておき、成り立つには、どちらも必要不可欠。
社会の構成要素として、馬鹿は馬鹿同士とか関係なく、みんな補完しあってるという事で、必要だからではないかと。

自分より遙かに無能に見えてもクビにならない人は自分より生存適応能力が高い人間である
と教わりました。
つまりバカでもLUCやDEX、DEFの能力値が高いと1軍キャラとして使われることもある的な

自分は何故この馬鹿に取って代わらないのか?
が答えではないだろうか。
金や権力はただでは得られない。
その地位を求め、維持するのに必要な時間と、
その効果を比較すると必ずしも有利ではない。
頭が良い人間は大金も権力も必要としない。

バカが強いのはバカだからだよ。
憎まれっ子世にはばかると一緒。
人は賢さとバカさを知的水準で考える。
そしてそれだけで強さを語ろうとする。
けど生物学的に見ればバカでもエネルギッシュだったり
余計な悩みを溜め込まなかったり考えない事で生き残ったりする。

そもそも日本だからこそ繊細だが賢いなんて人たちが優遇されるのであって
世界的にみるとバカな方がのさばってる。
衣食住足りてなんとやら。海外の血みどろかつ理性を全く感じない地域が滅ばないのだから
知的かバカかって理由があまり関係ないのはわかるかと。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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