« 大沼 | Main | 『月刊Voice』2011年6月号に寄稿しました »

2011.05.08

【告知】福島原発事故等における海外報道問題に関するサイトを立ち上げました #facts311

 告知というより報告って感じではありますが、福島原発事故における放射性物質漏れなどに対して、海外の報道機関が日本の事故内容について事実に基づかない報道をするケースがままあり、企業、個人に対する風評被害らしきものが広がっております。

 これへの反証・反論をするサイトを有志で立ち上げてみましたので、よろしければご協力賜れますと幸いです。

fukushima_factcheck
https://sites.google.com/site/factcheck311/

 最初は「さぞやたくさん酷い報道があるのだろう」と思いまして、各社新聞ほか報道を取り寄せて眺めてみたんですが、意外なほど冷静というか、原発が爆発した=死みたいなパニックを誘発するような記事は少ない印象でした。むしろ、日本にたまたま居合わせた外国人ジャーナリスト自身がパニックになって東京から出て行ってしまったりとか、原発問題で名前を上げたい日本人が海外メディアに対してインタビュー上で根拠なく面白おかしいことを言う、といった事例のほうが多いように感じられます。

 一番問題なのは、問題が大きすぎて海外のメディアがあまりきちんと日本の福島や宮城・岩手の問題を咀嚼しきれていないということでしょう。インフラ会社が原発にダメージを食らって汚染を広げてしまったので、認可を出している政府が当然収拾に責任を持つんでしょう的な、結構あっさりとした解説が多くて驚きます。いや、東京電力って上場会社なんですが。

 また、お国柄というのも比較的ありまして、ロシアなどは日本の事態には凍てつくほど冷静です。津波とカップリングされているので、どうしても事態の全容が外国からは見えにくい部分があるのですが、概ね事態の状況や解決方法について、あるいは日本政府の対応といったところを淡々と報じるのみであって、韓国のように「我が国にも日本の放射性物質が来る」的な不思議論調は見られません。

 一方、フランスの場合はやはり原子力大国ということもあり、Le mondeのような元々反核な論調をしている仏字紙は今回の事態を悲観的に見ているようですが、それとは別に原子力推進派からも日本の状況は芳しく思われていません。すなわち、原子力の活用自体は本来問題ではないが、日本固有の地震・津波といった現象や、緊急事態に弱い日本型組織の問題が事態を悪化させたというような、仏エネルギー政策への波及を止めたいということで日本を否定するという論調が強いようです。

 中国の商業誌なんかでは、韓国の部品メーカーが「日本製部品には放射性物質が混じっていて危険」という風評を積極的に流しているとかいう話があるなど、アジア圏はマジカオスです。いちいち見てられないので、微妙なんですけれども。

 少しずつ記事や反証ものを掲載していくなどしてゆるゆると充実させて参りますので、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。


« 大沼 | Main | 『月刊Voice』2011年6月号に寄稿しました »

Comments

どのくらいのガイジンがこのサイトを読んでくれるでしょうか。

日本から記事内容の調査が入っててだるいって本国の連中が言ってたけど、このサイトのことだったか

日本のメディアが倒閣の政局的コンテキストでパニックを扇動しに掛かっているので、日本駐在の外国メディア記者がそれに扇動されてパニック持って帰っちゃってるケースは一部であります。それを日本のメディアが「外国メディアの声」として取り上げるループになっているので、英文直接見て回るとアレ?思ったより外人冷静?って感じはしますね
ただ個別にみるとドイツの友人は結構パニック気味の報道多いよとは言ってました。ドイツも原発が政局的な問題になってるせいでしょうか

イメージはここみたいな感じでしょうか。
http://factcheck.org/ask-factcheck/
3行で打ち返しとって,できたらいいですよね。factcheck.orgは,今のところ福島関係ゼロみたいですが,いくつか入れさせたりできないんでしょうかね。

いまトルコなんですが、sites.google.comが規制されていて読めませんね。
まあこっちでは特に放射能差別はうけてないので、特に啓蒙する必要はないのかもしれませんが。

ていうか、ここでもいいけどtwitterの英文エリアでアナウンスしないとだめじゃね?

報道は市民の関心度を現しているだけで、事実調査はそれぞれの国でしっかりしていると思うよ。困るのは、日本側が調査しないで、妄想に基づいて無邪気に自滅へのカウントダウンをしている点じゃないかな。まぁ、外国のメディアを収集することで、日本との違いが事実として現れてくればいいんじゃないかな。よくまとまってれば、ちゃんと外人は見るんだよね。頭がいい人たちや、大人が。数は少なくても、いずれ大きく影響していくと思うし。隊長自身が時間を多く割くのでなく、若い人を巻き込んで、外国を学習する機会にしてくれ。

放射能は時間とともに値がゼロになりますが、2週間ほど時間を置いて数値を調べて輸出するといいかと思われます

危険とわかっていても、自然界には普通に放射能が存在しているので私はほうれん草を食べますよ
水道水も飲みます
竹炭で蒸留装置が造られるといいですね

立ち上げたサイトが昨日の報道で陳腐化した(?)件

The comments to this entry are closed.

« 大沼 | Main | 『月刊Voice』2011年6月号に寄稿しました »

メルマガ

  • メルマガ広告
    やまもといちろうによる産業裏事情、時事解説メルマガの決定版!ご登録はこちら→→「人間迷路」
    夜間飛行
    BLOGOS メルマガ

漆黒と灯火バナー

  • 漆黒と灯火バナー
    真っ暗な未来を見据えて一歩を踏み出そうとする人たちが集まり、複数の眼で先を見通すための灯火を点し、未来を拓いていくためのサロン、経営情報グループ「漆黒と灯火」。モデレーターは山本一郎。詳細はこちら→→「漆黒と灯火」

プロフィール

  • Profile

    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

My Photo
無料ブログはココログ