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2011.01.11

就職活動の大変さと、思い切って採用する勇気について

 常見陽平氏のブログであれこれ就職活動についての話を読んでいたら、池田信夫が出てきて「学生がバカなことが就職難の原因」と馬鹿そのものの発言をしていたのを観て和んでいました。

池田信夫先生の「学生がバカなことが就職難の原因」発言で考えた、人気企業ランキングの構造
http://blog.livedoor.jp/yoheitsunemi/archives/51269117.html

 でも、昨今の常見氏の本を読んだりしていると、企業の採用のあり方が徐々に変わってきている中でのある種の生みの苦しみなところもあるのかなあと感じるわけですが。

 で、大状況は分かっても自分のところは新卒採用は第二新卒も含めて年間二人程度の採用しかしていないので、じっと手を見るところではあるのですが、新卒で定着して戦力になっている社員を見ていると、インターンのような形で在学中からお仕事を手伝ってくれている人か、こっちの業界に入りたいと強い願望を持って門を叩きに来る人かのどっちか。でも「やる気だけあってもねえ…」というケースも多くて、やはり新卒に求める人材像というのがはっきりとある以上、そのラインに届かないと社員として雇うことはありません。

 一方で、じゃあ新卒時代の自分はどうだったのだろうか、と思い返してみる。まあ、顔が真っ赤になりますわね。あのころは、就職氷河期と言われ始めたころで、バブル入社組の先輩がたがいっぱいいましたけれども、新卒採用というものは文字通り人生を決める最終関門のような言われ方をしておりました。もちろん、いまでもそのような傾向はあるのかと思いますが、いまの学生を採用しようとすると、もっとあっけらかんというか、きちんとスキルをつけられるかや、弊社を通じていかに良い仕事や取引先と巡り合えるか、といった目線で観ている学生が多いように感じます。

 常見氏の本では、「就職活動をする側が受ける格差」にクローズアップがされておりますが、実際のところ「採用活動をする側が受ける格差」というものもかなり厳然とあります。いや、正直新卒採用をしたくても就職活動をしている学生にまで辿り着かない。

 就職フェアとか自治体が開催しているイベントにブースを出しても、必死そうな学生はたくさん来るんだけど、面接にやってくるのは本当に「どこでもいいから、とにかく就職したい」という人で、スキルが求められる職場を提供するにあたってある程度の素養はやはり必要なこちらからすると採用のラインにまでは届きません。そういう採用ラインに届いている人がどこに就職しているのかというと、何故か旅行社に入っていたりするわけですね。その勉強して得たスキルを旅行社でどう活かそうと思っているのだろう。

 なんで、必然的に大企業にそういうスキルフルな学生が流れていってしまうのは仕方がないので、少しでも業界に関心のある学生にバイトやインターンであらかじめ慣れてもらい、仕事のいろはを学んで他の社へ飛び立つなり弊社に残るなりという方法を思い切って使うほうが、変に人材会社にお金を払うよりも私ら企業側も就職活動に悩む学生側も良いのではないかと考えるようになりました。弊社の場合は一度開発部門を売却してしまったので、ノウハウをいちから組み立て直さなければならなかったのですが、いろんな会社から経験者を呼んできて発想を固定化するよりも、全体の年齢構成を考えたチームを作って試行錯誤したことで、より弾力的な組織に出来たと考えています。

 弊社グループの場合は、とにかく定着率が良いので新卒でも中途でも他の会社と随分風通しが違うのかもしれませんが、その目線で感じることは就職難というよりも採用難であって、根本は学生が考える「企業の求める人材」と実際に企業が「採用したい人材」のミスマッチに尽きると思います。

 一部の上位大学と大量採用をする大企業のマッチング機関であるほうが人材会社としては経営効率が良いのでしょう。そこから零れ落ちている、大多数の大卒見込み者からすると、就職難が肌身に沁みて当然です。でも、そういう人を受け入れたい、採用したいと思っている中小企業や中堅企業、職種というのは厳然としてあるのであって、変に就職失敗を受け入れすぎて派遣社員でいいや的な諦観にならないことを祈るのみです。

 余談ですが、企業としては、というか、経営している私としては、いまいる社員にどういうスキルアップをさせるべきかや、事業の将来像から導き出したあるべきステップアップというのは、実際良く分かりません。「会社に頼るな」というより、本当に数年後の動向ってのが読めないのです。なので、給料同様、「この会社で無難に勤めれば何年後にはどのくらいの地位になって」という勤続右肩上がりというのはまずあり得ないと思います。

 まあ、うちは給料が安んですけどね。


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Comments

自分の周りの人間は池田信夫に馬鹿にされてその通りと思ってる人が随分と多いのですが、取り敢えず偉い人になじられたいマゾ気質な人が多いのですかね。私は、バカだとしか思えませんが。

ぐだぐだ長く書いてるだけで、要旨は池田信夫の「学生がバカなことが就職難の原因」と一緒じゃん。

 おいらはぼーっとしてるほうなので、最初に入った会社の営業補助の仕事はのんびりやってすめばよかったんですが、社内は成績伸ばすのにギスギスしてましたね。時代がバブル前で、給料やボーナスの大半が勤務先の某金融大手の商品に化けました。けっこう社内の人間関係とかに疲れて3年しかもたず、そのあとの仕事は10年単位とかでやってますが。
 まぁ大手でなくてもいいのはわかりますが、中小は人使いがヘタなのも事実。ブラックかと思うようなとこもままあります。工場系は昔ながらの「技は盗め」式で的確な教育研修もなく、それゆえ挫折する若いのは多いです。
 実際学生の学力が落ちてるのも事実ですし後輩連中も旧帝大でも常識なかったり向上心がなかったりも事実です。
 あと、親もなんでもかんでもレジャーランド化してる大学にいかせるからね。職業訓練には専修学校とか専門学校とか高等専門学校とかあるのに、卒業証書のブランドに惑わされる親が多すぎです。子供は親に反対されると迷いますからねえ。今はもう卒業証書=就職確定書じゃないんだけどさ。ホワイトカラー願望大杉。ブルーカラーの上位層目指す方が食べていけると思う。

そりゃどこでも良いから就職したいなんて学生を
採りたいという企業も無かろうに、
そうしたら一回転してのぶちゃんがバカと言っているのも
その通りじゃないのかと思ったけど。

なんだかんだ言ったって結局バカは雇わないんだよね?

就職するなら海運でしょう。穴場だと思います。船社やオペのIT部門とかたまらん。

あと、当然といえばそうだが雇用のリスクというのがあるということをお互いにもっと正確に意識する必要があると思うなあ。
この意識の差はいつまで経っても埋まらないねえ
今のところ別にいいけど

もともとの池田ブログも学生がバカなことが就職難の原因って話じゃなくて、
ホワイトカラーの就職なんて大学卒業生の数ほど無いよって話だったと思うんだが。
まず歪曲して参照されてるんじゃないでしょうか。

また、今回のエントリは中小はバカ学生しか来なくて困るって話だから、

優秀な学生→大手ホワイトカラー
あんまり優秀じゃない学生→中小しかないけど、ブラックだといやだからあぶれる。
また、中小も別に誰でも欲しいわけじゃないからやっぱりあぶれる

という状況を中小側から見た感じで、述べている事象は池田ブログと同じと思います。


身の程をにあった相手で満足できない→選ばない
という流れは晩婚化も就職難も同じ思考の結果なんですすかね。

就職を希望している学生は現実問題として「就職しないと飯が食えない」のだから、志望動機として「どこでもいいから、とにかく就職したい」は十分すぎる理由だと思うんだけどなぁ。

処世術的な意味でナンセンスな回答なのはわかるけどさ、自活するためにアレコレ理由をつける社会っていうのも面倒だよな。

>もともとの池田ブログも学生がバカなことが就職難の原因って話じゃなくて、
ホワイトカラーの就職なんて大学卒業生の数ほど無いよって話だったと思うんだが。

そうだとしても、池田信夫の論旨はおかしく、学生がバカという結論に落ち着くあたりは池田のどうしようもない部分を示してる。

http://labaq.com/archives/51572075.html

これ面白いよ。。。

損益計算を教えた方がいいのに、これをやっていない。まるで損益計算できる人材は、組織の敵になるかのように。

まぁ、ネットでも、なんの益になるのかわからないけど、情報を噛み砕いて見せる快感に酔っている人が多いけど。いい加減、赤ちゃんじゃないのだから、自分の歯をつかわせないと。

そもそも、生活上の損益もわからないから、結婚しなかったり、オレはモテないって開き直ったりとかもしているんだけど。

世の中が損ばかりになれば、計算力もつくかもw

>そういう採用ラインに届いている人がどこに就職しているのかというと、何故か旅行社に入っていたりするわけですね。
つまり一定水準に達しない人は大企業も中小も採用しないってことか・・・
五体満足ならできたしごと(公共事業とか)が減ってる昨今、残った学生はどうすればいいの・・・

仮に採用ラインにとどくようなスキルフル学生というものが実在したとして、スキルフルつまり技能なのだからそれは身につけることが可能ということだから、じゃあ採用ラインに届くように自助努力すればいいとはなるけど、資格でなくスキルを身につけるにはそれはたいそうな時間がかかるわけでございまして、その間には生きるためのコストがあり、つまり金は出ていくばかりでございまして、まあ鳩山由紀夫殿のようなご実家を日本の若者全てが持ってるようなら、あ、はい、すばらしい御意見かと存じ上げますのでござーます。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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