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2010.12.22

週刊ポスト「水嶋ヒロ(本名:齋藤智裕)受賞は八百長」の余波が面白い件について

 小説本編よりも周辺事態のほうが格段に面白い本件でありますが、表題週刊ポストの記事に抗議し拳を振り上げたはずのポプラ社で社員の民忠が下がって叛乱、受賞レースでっち上げ&八百長のネタを各所に持ち込んで炎上という二次災害に発展しております。

 本件の何が面白いのかというと、まず小説がどうしようもないほど面白くないこと、その割に舞台装置が豪華で、しかも本がしっかり売れてしまったので、貧乏純文業界の声のでかい人たちが激怒して騒ぎが拡散しているという状況そのものがコメディであり、まさに時事アートだともいえるクオリティの高さにあります。

Hoichoi
 純粋に商売で言うと、ポプラ社は騒ぎがここまで大きくなるとは思わなかっただろうけど売るための仕掛けとしては非常に効果あったというところでありまして、本屋にモノを押し込む経緯といい美談のでっち上げ方といい、巧さを感じさせる素晴らしいビジネスモデルだったと思います。

 売れればいいのかという批判が一杯出てますけど、売れればいいんですと言われたらそこで終わりであり、ディスカヴァーだろうがハリーポッターだろうがケータイ小説だろうが”「パッケージ」や「メディア」としての本というマテリアル”と”「知識」や「格式」としての本のあり方”とは違う以上、別にいいじゃねえかそういう世界で生きてるんじゃないんだからという話であります。

 基本的には、本を売りたいのであり、その本の中身がいかにクズであろうともマーケティングさえしっかり立っていればモノは売れるという覇道を突き進んでいるという点で、売れない本を出している凡百の出版社や著者は遠吠えに過ぎないよねえという。

 問題は、この手のマーケティングを「騙し」と感じて不快に思った人がどれだけ多く、その後のポプラ社のビジネスにどれだけ響くのかということでありましょう。水嶋ヒロが類似の小説を書き続けて大作家になるという可能性がミニマムであることは、一発屋の人生という点でもしドラ級の成長曲線に思いを馳せざるを得ないんですが、ポプラ社としては商売を続けていくわけで、むしろそっちに興味あります。

 普通、あのレベルのものを純文として出して、仮にも大賞の本として世に出すのは抵抗あるでしょう。常識的に考えて、編集者が思い切り赤を入れるなりゴーストを立てるなりして、最低限の品質を担保しようという行動に出るのが出版社本来の流儀だろうと思います。今回の騒ぎだって、そこそこの品質で、賛否両論が出るレベルの作品であったならば、ここまで叩かれることもなかったでしょう。

 しかし、現実にはトイレットペーパーにもならんような壊滅的クオリティを隠すことなく盛大に露呈し、残念を通り越して途方に暮れるほどの破壊力を持つ呆然コンテンツをありのまま世に出したという偉大な判断が行われ、しかも忠実にそれは実行されたということを考えると、むしろポプラ社は水嶋ヒロという素材に対して実は誠実だったんじゃないかという感想さえ抱かせます。だって、普通は書き換えちゃうよ。

 ネタとして、最高級だったからみんな満足しているんじゃないですか。楽しかったですよ。まだいろいろ起きて欲しいし、騒動はもっともっと広がって、mixiやDeNAを巻き込んでみんな共倒れして欲しいと願っています。


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Comments

どんだけmixiやDeNAが嫌いなんだよ

最後に、mixiやDeNAに対して「氏ね」で〆る隊長にシビ憧。

つまり、堀井雄二賞などというものを創設し、毎年受賞作を発表していれば、マーケティングに失敗した名作が再浮上するということですね。

> mixiやDeNAを巻き込んでみんな共倒れして欲しいと願っています。
不意打ちすぎて吹いたwww

最後のヒトコトが意味分からない
なんでもかんでも関連付けて攻撃すりゃいいってものじゃないだろ

>mixiやDeNAを巻き込んでみんな共倒れして欲しいと願っています。

けっきょくはソコで落ちるという。

大カトーみたいにどんなエントリーも「mixiやDeNAを巻き込んでみんな共倒れして欲しい」を
入れてください。

まぁヤフオクで腐るほど出てる割には、公共図書館がガンガンとポプラから仕入れまくってる件。

コミック誌、カードゲームと近年、
積極的にズッコケまくりのポプラ社さんが、
出版社としての矜持をかなぐり捨てて
大儲けなさったのですから、生暖かく見守りましょう。

>とおりすがりの。
公共図書館は、ズッコケ3人組からの
ポプラ社のお得意様ですから、
そこはそれほど不思議じゃないです。

ようするに、ポプラ社末期ってことか

商売として正解だから赤貧著述業のカス共は黙ってろ。いいから次の水嶋ヒロを連れてこい。ということですね。分かります。

うちの社長と言ってること一緒やね。
売れる物なんか無い。売った物だけがある。

売れないから必死になったし、さらに必死がかかるからいいんでないの。

どっちかというと、パチ業界に、ちゃんと馬や船や自転車やクジと同じ割合で国庫に治めてもらえば、経営が難しくなって自然に減るんじゃないかな。

そうそう、オレは売れている本ってほとんど読まない。だって、数年たつと、何これって本ばかり。まったく理解できない本を鼻くそほじくりながら、なんだこれってわからないまま読むのが好き。で、突如として理解できたときの楽しさって。

だいたい、世界から見ると、日本人って、なんて考えない国民たちというか、考えていないのに、エリートだったり知識人だったり風情でさ。で、困ったことに、芸能のことが全然わからない堅物バカばっかで。別にクラシックコンサートとかいけとはいわんが、歌舞伎ぐらい年に4回ぐらいいけばいいのに。いかないから、役者の技量は落ちるは、とんでもないことをしたりするわ。

結局、日本経済の衰退は、金の使い方をしらんやつが、子供相手にそこからむしりとっているから、いつまでたっても、景気がよくならんのよ。

この点、イギリスはおもしろいよな。景気が悪くなるたびに、大貴族がせっせと芸術とか芸能に金をつかって、生活保護で金をばらまくと、金回りがにごるだけだし、芸術家に金がいったら、芸術家たちはせっせと金を使うから、貧乏人も仕事が増えるって。だいたい、どこの国もやるよね。アメリカのハリウッドセレブへの金のあげかたとかさ。どっちかというと、芸能にまったく力をいれてなくて、金融的に成功しているのは、もともと歴史がなくて、国民もガマンできているけど、そのうち爆発するんじゃないの。

ま、しらん。必死になれば、人間強いから、ほっておくしかないわな。必死な状況にならない限り、考えるということなんかできるようにならん。

クソワロタwwww

なんか水島なんとかさんがテレビで
なぜ小説を書かねばならないのか
とかそんなことを熱く語っていてめっちゃ腰が砕けた

なぜゴーストライターを立てなかったのか・・・

そもそも素人賞ごときで大賞とって
即発刊すらねえわな(^w^)
ジャパンドリームならぬジャパンファンタジーをありがとう!!
ポプラ社もそんな否定しなくても(^w^;)
2000万辞退したんだから選考異議と取って落とせばよかったんだよ
アフォだな、今後良い作家が寄り付かなくなったら出版社として終わるぞ

>現実にはトイレットペーパーにもならんような壊滅的クオリティを隠すことなく盛大に露呈し、・・・

ははは。読んでやんの。というか、読まされてやんの。

どうせなら「俺がゴーストやったんだよ」ぐらい言ってみたら。

読んだけど面白かった
けなされてる作品は120%面白く見れるの法則だね
ありがとう

クッソワロタ
辻親八に淡々と朗読して欲しい。
「だって、普通は書き換えちゃうよ。」で確実に吹くわ

こういうの見ると、本は第1章だけでも内容を買う前に読める仕組みが必要だと強く感じるね

民忠じゃないだろ。ここは兵忠だろ

でも実際にmixiやDeNAが無くなったら寂しいよん><

追記をいちおうしておく。

なんか気にしている人の書評ツイートみて、本の凄さに思わず、ふきだしたけどーーー、


こういう本は、もっともっと、売れてほしいと思っていることは、念のために追記しておく。

だって、オレの読みたくなる本が出版されなくなってしまうから。実際、どんどん減っているようだし。図書館に新しく入ってくるのも、どうもつまらないのが多くて。


ついでに、日本映画界は、それなりに順調なんだから、変な映画もつくってほしいよ。映画館で上映できなくて、DVDだけになってしまって、お金はしっかりかけてさ。この点アメリカはすごいよな。ハリウッド版「猟奇的な彼女」は、それなりに金がかかっているのに、ボツで公開されず、DVDだけだって。


あとね、本が売れなくなった秘密はね、文字が大きくなったからだよ。www

水嶋ヒロの一件は、嘘をついたことが悪いのではなく、嘘のつき方が下手すぎたことが問題なんでしょうね。
昔「嘘つくんならバレないような嘘をつけ!タコ!」と恩師に叱られた時のことを思い出しました。

締めの一文、故淀川長治氏の「さよなら、さよなら、さよなら」や、故水野晴郎氏の「いやー、映画って本当にいいものですね」のような味わいが出つつあって、私は好きですよ。

きれいな出来レースだな

>最後のヒトコトが意味分からない
>なんでもかんでも関連付けて攻撃すりゃいいってものじゃないだろ

こーゆー脊髄反射的痴呆的厨房的書込な方がポプラ社やmixiやDeNAを支えているんだなぁと実感しました。

脊髄反射的痴呆的厨房的書込な方を含め共倒れ希望です。

http://gree.jp/maeno_shigeo/blog/entry/514525850

水嶋ヒロ同情論です。
第三者が客観的みて、結構、納得の内容です。

もし、彼が冤罪だったら、君は彼に謝罪のブログ記事を必ず書きなさい。

君は、面白くないとこきおろしても
私の周囲は面白かったと評価は高いです。
ひとそれぞれですよ、小説の感想など。
自分の感想とネット住民の感想だけが
すべてだと思うのが、稚拙で驕りです。

反論してこない人を叩くのはたやすく面白いでしょう。

>キジさる犬

お前ってバカなんじゃね?
出版の会合とかでもポプラの奴らが謝罪して回ってたというのに。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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