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2010.11.23

橘玲氏が「あちら側」へ逝ってしまった

 まずはじめに、私はこの本や橘玲氏の考え方(あるいはその考えに至った過程)を否定するものではないし、まあそうなんだろうなあと思う。むしろ、ヤコブの手紙であるとか、ひいては故・イザヤ・ベンダサン氏の方面を髣髴とさせる、新しい現実認識の地平線を示すようなものでもあろうかと思う。語ろうとしている内容はかなり違うが。

 ある意味で、知性主義を極めていったら、学術や知識の体系がそれ自体として持つ再現性、自己形成といったものの矛盾にぶち当たっていて、結果として、知性主義を否定したり相対的なものとして扱わざるを得なくなるというジレンマなのかもしれない。

 おそらく本書のエッセンスというか読者に読み解かせたかったものとは相当違う読後感を味わったのだが、なぜか公式サイトにアップされていた週刊プレイボーイのインタビューを読んで、その思いを強くした。

現代社会は不公平。それを受け入れたうえでどう生きるか〈週刊プレイボーイ インタビュー〉
http://www.tachibana-akira.com/2010/11/1269

 現実と向き合う度胸があるのかないのかも遺伝と幼児期の環境であるとするならば、分別がついてから物心に勉学心が芽生えて晩成型の人物が出来上がるのもまた遺伝云々という話になり、まあ確かに脳科学のトレンドの範疇にきちんと納まっている。

 本書で結論らしい結論が最後まで出てこないのも、著者自身がこのテーマを模索する中で、執筆時点での最適解を考えた結果が「才能がない人間」のトリレンマなんだということでしょう。

 惜しむらくは、いろんなところからいろんな知識を引っ張ってきて体系立てて論じているのは素晴らしいものの、そうであるなら原典をある程度の範囲でいいからしっかり掲載するべきだったのではないかと思うわけですね。何を参考にして論じているのか、もう少し詳しく知りたいと思ったので。


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Comments

そうですね。本当にそうです。

インタビューの記事読んでみたけど、最近の脳研究の傾向とかは、きちんと元論文や著作をあげてくれない限り、眉唾なんだけどね。
そもそもどの辺の論文を見たのか? 著作やリンク先、雑誌ならタイトルと掲載月くらい示さないと。
当の脳神経学者達は、注意深く扱ってくれと要望しているはずだ。脳の遺伝的や器質的な影響がどの程度人格や学習能力に影響があるのかは、まだ判らない世界が多いし。
遺伝的な影響を言えば、そもそも遺伝子はあくまでもタンパク質を形成するのみであり、それが大脳の構造にどういう過程を経て影響してるかというのは、見えてきてる世界もあるけど、謎な部分の方が遙かに多いよ。で、最近は器官の発生に関する遺伝子がかなり特定されてきたので、その辺に関した論文が多くなってるという傾向はあるだろうが、これが遺伝子が殆どを決定するというのは論理の飛躍だろう。それはリチャードドーキンス博士が「利己的な遺伝子」の中で、繰り返し注意を呼びかけている。
ひょっとしたら最近大きな発表があって、何かかなり新しい知見がもたらされたのかも知れないが、その辺の評価がどうなのかは、きちんと専門家にインタビューする必要があると思うけどね。
この本をもっと正確を期せば
「努力したってうまくいくとは限らない。」
「むしろ多くの要因は運に左右される。」
「当然、成功(定義にもよるが)の可能性は大きくない。」
のがテーマじゃないのか?
成功が、社会の中で相対的に上位1%を目指すとかだったら、そりゃ可能性は小さくなるよね。

なんとかヨットスクールとか体験してくれば、いいんじゃねの? わからんけど。それに、いったい誰が読む本なんだろう。

人間、やらなければならなくなったら、なんでもするけどね。アメリカの大学生だって、ローンかかえてるから必死に金を稼ぐためにウォール街にいくんじゃねの? 別に才能じゃないよ。

そもそも、天才というのは、コピーできない人をいうんだよ。だから、活字にしてコピーするんだろうけど。でなんでまぁ、コピーの方がエライのかさっぱりわからない。コピーで金儲けとかさ。昨今の金融危機だって、債権のコピーをつくって売ったわけだよ。リスク分散してありますってw

追記すると、なんとかヨットスクールにも、ちゃんと論文があって学術的らしいけどね。

ようするに、危険体験がすくない人はつかいものにならないから、原始の時代から、通過儀礼でとんでもないことをさせられてきたのに、今の日本はないってことでしょ。この点でいうと韓国の方は、軍隊が通過儀礼として働いているし、立派な肉体が芸能界を支えていたりして、すごいなとか思うぞ。

www.youtube.com/watch?v=xbnI4FgpFDQ

ま、どっちにしても、未来は残酷に結果をだしてくるわけだから、ま、ケセラケサラ、なるようになるだw

プチ船井幸雄とか…

山形浩生にかぶれた、というのがわかりやすいと思うよ。
山形が訳した本か書評でほめてた本ばかりだから。

門外漢の体育馬鹿がゲーム脳とか言い出した時は、その非科学性を看破して叩きまくったくせに、同じ構造なのにこういう発達理論的な話になると、大学教養教育レベルで間違ってる珍説を基に勝間とは違う方向の自己啓発宗教を展開している馬鹿本を真に受ける残念な人が多いのが不思議。

私は法学部出身なんですけど、1年生の時にパンキョーで心理学を履修したんです。
その講義で「素朴な生得説も素朴な環境説も、今では本気で主張している学者はいない。両方の要素を加味する輻輳説がずいぶん前に出てきて、最近では(とは言っても、今から10年以上前だけど)相互作用説が主流、というか通説的。」という話を聴いて、自分の経験的認識にも合うし、なるほどな、と納得したのです。
引き離されて育った双子を調査したり、地道な研究の裏付けもあって、説得力あるんですよね。
この本を読んだわけではないので批評できませんけど、インタビューを読む限りでは、前述の学説史とその内容を正確に踏まえた上で書かれたものなのかどうか、若干疑わしく感じます。

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    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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