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2010.10.06

荒れてない経営会議は甘え

 将来性のある技術を持っているのに、イマイチ羽ばたけない投資先の取締役会にあわせて紙爆弾を送る準備をしていたわけです。武器に磨きをかけるのはいいけど、武器を振るう修練もしなければ武器を試す機会も探さないのでは意味を持たないのでねえ。

 仲良くやるな、ギスギスしろ、というわけではないんですが、ちょっとした利益で満足して、初心を忘れそこそこの成功で良しとするようなスタイルはあまり好きではありません。私は。株主だから、関係者だから、社外取締役だからというようなステークホルダー故のなんちゃらでもなく、「お前の部署、もう少しこうすれば、もっと結果が出るんじゃねえの」と一言言えるかどうかは「関係を壊すかもしれない」という恐れ以上に仕事人として大事なことなんじゃないのかと思うわけで。

 もっとも、例えばファクトリー部門や研究部門とセールス部門は往々にして仲が悪くなりやすいし、責任の押し付け合いになりがちで、セクショナリズムが強まると自然と対立するものではあります。だけど、意見対立というのは相互の無理解だけが原因ではなくて、より良い企業活動を行うことでお客様の求めるコンテンツの提供が可能な可能性を増し、結果として企業利益をどう増大させるのかというアプローチをするにあたって避けては通れないものでもあります。まあ、誰かが指摘するなどして、外部チェックを行いながら改善を求めていかないと良くならないわけですよ。

 これが百人千人と大きい組織であれば、中にはそういう睨まれる役割を買って出られる人徳の高い人や志のある人、性格的に自然にできる人ってのがいるので彼らをピックアップできる管理者が居ればいいんでしょうが、ベンチャーをはじめそんなに人数はいないよという企業になるとそうも言っていられなくなります。

 また、ベンチャーで第一線でやっている人ってのはいろんな意味で独特な人が多いんですよ。組織に合わないけど技術は凄いとか、一癖あるけど企画提案力は高いとか。どうしても、どっかしら才能を発揮しようとすると何か起きずにいられないような人が、大手の組織から抜け出て業界のイノベーターとなるべく自然とベンチャーを興す。

 個人的には多少言い合いになるぐらいが経営会議として健全だと思います。各部門責任者が報告して、ふーんとなって、まあうまくいってるし利益出ているからOKとかで終わるような、会議というより報告会みたいなスタイルの穏やかな雰囲気に埋没してはいけないと思うんですね。現状に満足せずに、もう一歩でも二歩でも前に踏み出せるような仕事の進め方を考えることが、本当の経営なんじゃないでしょうか。


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Comments

以上、株主様よりもっと働けとのご意見でした。

毎月そこそこ暮らせるならぬるま湯の方がいいもんなー。楽だし。
ハングリーさを持ち続けられるためのやる気スイッチというのは、人間、どこにあるんでしょうね。

批判すると、受け取る人が全否定されたと感じる人がおおいんですよね。結局、良くしようとして言っていることも、聞けない。
会社を育てるという目標が共有されていればいいんですけど。意外と多いですよこういった人。

う~ん。部門のプロフェッショナルとして組織のグランドデザインのディティールを詰めることに意見交換があることは賛成(?)。

ただプロフェッショナルでない他部門がディティールをアレコレ指摘するのはどうかなと思うよ。

特に写真のコンテンツ(紙やらWEB)だとデジタル化した頃から「そんなのPhotoShopでなんとかなるんじゃないの?」とか真顔で言ってきたりとかね。NHKの「リレーって何ですか」でギスギスしちゃうことだけはカンベン。

やっぱ経営会議は吉牛コピペくらいじゃないとダメだな。

>>これが百人千人と大きい組織であれば、中にはそういう睨まれる役割を買って出られる人徳の高い人や志のある人、性格的に自然にできる人ってのがいるので彼らをピックアップできる管理者が居ればいいんでしょうが、ベンチャーをはじめそんなに人数はいないよという企業になるとそうも言っていられなくなります。

私はそういう人間でした。
小さい会社ばかりでしたが、役員で無い時期も経営幹部会などに同席させられ役員としても幹部会や役会に出席し会社の基幹部門の代表として発言してきましたが、お蔭様で自主退社するように何度も追いやられ、5回以上会社を転々としました。
(役員時代は上場企業が親だったので、役会には親のCEOも毎回出席してました。)
日本の土壌には会議と役会と総会は”しゃんしゃん”手打ちがMUSTなのです。
寝言を言って貰っては困ります。

日本の失われた20年は伊達ではありませんよ。

まあ、日本の会社風土で言うと、そういった角の立つ話をお酒の席で無礼講を利用してうまくこなして、関係者に完璧に根回しした上で、会議ではきれいにまとまったものをさらっと流すというのが理想なんでしょうけど、そんな神様みたいな人はそうはいない。。。

ブログを通して手札を切る度胸にいつも感心する。根回しってより、根っこをぶん回しているイメージ。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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