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2010.09.08

TGS&3DSお披露目がもうすぐですね

 新ハードの端境期というのもありまして、どちらさんもフーフー言ってるところだと思うんですが、4gamer向けに書き途上だった原稿が、赤ちゃんのボディプレスによるPC完全破壊により消散して立ち直れないのでブログに手慰みでも書こうと思うわけです。

 正式版は4gamerかどっか別の媒体に書こうと思うけど、もうそこに客はいない現実についてのお話。

 一応、島国大和どんのネタはこちら。

ゲームの長さの問題(美味しいカルピスの濃さのお話)
http://dochikushow.blog3.fc2.com/blog-entry-1689.html

 CEDECの裏トピックスとして、やはりカイガイと国内市場、それを支える開発体制(ライブラリやエンジン、製作技法、制作体制)な内容がありまして。そのカルピスは、誰に飲まれるかって奴ですね。

 例として挙げるには微妙すぎるし、ゲームにファンもアンチもいるだろうけど、国内市場でのネタとしてこんなのがありまして…。

Weekly sales history for Xenoblade (Wii)
http://www.vgchartz.com/game.php?id=42966
Weekly sales history for God Eater (PSP)
http://www.vgchartz.com/game.php?id=35901

 国内でしか売らなかった2タイトル、どっちも某青物横丁、wiiとPSPの市場格差、いろいろいいたいことはあるんだけれども、国内市場目線でみたとき、いまやハーフミリオンで大勝利と思われてる部分があるんですよね… 実際、大勝利なんだろうけれども、顔グラが少し微妙だったことを除けばxenobladeはとても良く出来ているソフトで、広告投下もそれなり以上に頑張って、「良い品質のものを沢山売ろう」という姿勢が垣間見えました。でも結果は。

 たぶん、もうそこには事業をしっかり回していくだけの客はいなくなってる、ということなんだろうと思うわけです。正確には、拡大再生産ができるだけの土壌がどっかに流失してしまい、古き良きヘビーゲーマーが国内400万人前後で滞留しているというような状況ではないかと。

 一方、カイガイ方針については、最近国内ネット世論では叩かれがちな部分もかなりあるけれども、メタスコアが70台でもワールドワイドで100万本売るのが普通の状況になっている以上、きちんとした制作体制を整備しコストを抑えクリエイティブコントロールができればまだまだ充分な利益を見込める方法論が残されている。これは、流通の整備も含めて事業全体の出来を良くしていけば、日本のゲームメーカーも充分利益を上げられる素地が残っているよねという議論であります。実際そうだし。

 でも、それというのは日本のゲームファンにとっては、世界レベルの高いクオリティを目指すような高額開発費のゲームを日本人向けにもう作ってくれないのだということも意味するわけで。実際、それだけの予算をきちんとハンドリングできるクリエイターが世界市場をきちんと見据えようとすればするほど、何だか知らないが日本のゲーマーから叩かれるという不思議な事態に陥る。

 ある意味で閉鎖的な状況ともいえるし、攘夷運動みたいなもんで、日本の伝統的なゲーム内容を支持する(別にそれは間違ってるとも正しいとも言えない)ファンが一杯いて、でもそのファンの財布だけではもう現在のゲーム制作を支えられるだけのPLは引けないので、結果として生き残るためにメーカーの中でも状況が分かっている人ほど海外市場に何とか喰らいついていこうと考えるのでしょう。それは、文字通り「もう日本のコアなゲームファンが喜ぶだけのゲームは作りません」という宣言ともいえるし、とりあえずJRPG的文脈の古き良きラインナップや、ある程度技術的には枯れているアクションエンジンを使い回した中規模予算のゲームぐらいしか日本人向けにはなかなか供給されなくなっていくのだろう。

 だから、おいしいカルピスの濃度を適度に考えていこうと思うと、なぜか消費者は「カルピスを飲む人そのものが少数民族になった」という理由でカルピス自体が提供されなくなる可能性まで孕むという、結構末期的な状況になっているんだと。

 たぶん、これで3DSも駄目だ、あまりソフト装着率が見込めないということになれば、来期またリストラするメーカーや、日本から本格撤退するパブリッシャーが出ると思います。そのぐらい、危機的状況を見据えながら手を打ちつつゲーム作りをしている人ほど、なんかネットから叩かれてて、とても悲惨だなと感じるわけですが。


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Comments

vgchartzのデータはかなり適当なので引用すると見識疑われるお

実は、俺が英語を身につけようと努力している最大の理由はこれ。
面白そうなゲームが、日本語化のコストが高いゆえに日本語版出ないという状況があるもの。
ま、日本人向けのものが割に合わないから供給されなくなってきているという話は、
ゲームだけに限らないんだけどね。

ゼノブレイドは青物横丁ではないのでは?

犬が宿題を食べちゃった並みにいい言い訳が出来ましたね!

犬が宿題を食べちゃった並みにいい言い訳が出来ましたね!

>vgchartzのデータはかなり適当なので引用すると見識疑われるお

流通と実売を分からない人しか文句言ってないと思うけど

vgchartzは昔から比べればだいぶ良くなったと思うが、どうしても正確なこと知りたければ半年待ってNPDの数字をみるしかないんじゃなかろうか

> 犬が宿題を食べちゃった並みにいい言い訳が出来ましたね!
「何だか知らないが日本のゲーマーから叩かれる」の見本ですか?

> 何だか知らないが日本のゲーマーから叩かれるという不思議な事態に陥る。

そりゃあ、「もうお前ら向けのゲーム作らねえよwww」と言わんばかりのニュアンスで当人が発言しているわけですから、反発を招くのは当然かと。
それでいてそう言う人が仕込んだタイトルほど日本の売り上げの比重が高かったりするわけで。

うーん、今の二十代以上はゲーム買っているけど、
十代は買っているのかな??
と言いつつ、僕もレトロゲーの移植しか最近買ってないな。

ttp://www.choke-point.com/?p=8409

> それに、保守的な人が多い。360が最高のゲーム機だと認めながら、アメリカのゲーム機だから懐疑的なんだ。Sonyの製品と比較して、海外の製品に乗り換えようとはしないんだ。そういう姿勢は欧米のゲーマーにも当てはまるだろう。

カイガイ病の典型的な症例。こういう物言いが反発を招くんだよね。

ゲームの文化はそれ単体で存在しているわけじゃなくて、
アニメやマンガなどのオタ文化の流れの一つに属している。
その流れを汲まないで外人マッチョだされても美味しく頂けるわけがない。

金がかかりすぎてて力んでるのか海外意識しすぎなのかはわからが正直、暑苦しい作品が多すぎ

PS2で出せばいいようなモノでも
sceiの規制(?)でPS3で出すかPSPにするしかないという話を聞きます
PS3でPS2の成功体験みたく儲けるとでも思ってるんだろか・・・
とりあえずPS3が高くて買えないので
ガンズオブパトリオットは知らんが
ピースウォーカーはすばらしく面白い。
でもメモカにデータダウンロードしてもロードは遅いんだよなあ・・・

> sceiの規制(?)でPS3で出すかPSPにするしかないという話を聞きます

市場的に完全に終結してるPS2で今更何か出そうと考えてるメーカーなんて地球上に存在すんの?

>市場的に完全に終結してるPS2で今更何か出そうと考えてるメーカーなんて地球上に存在すんの?
PS2を市場的に完全に終結させたのが当のSCEなんですが

PS2って市場的に完全に終結してるんだ、そら知らなんだ。
マシンパワー的に桃鉄もガンバトもPS2で十分なんじゃねー
でもsceiが完全にPS3に移行してるからPS2で出せなくて
頑張ってPS3で出しても儲けが出ないどころか赤字確定なので
PSPで出さざるをえないと思ってましたわー

まあ単なるゲーム好きなので
「市場的に完全に終結してるPS2」言われても
具体的にさっぱりわからんのですがね

> 円
> PS2を市場的に完全に終結させたのが当のSCEなんですが

そりゃ次世代機出してるんだから前世代機は自然と終結するでしょ。終結させちゃ駄目だったの?

> fz
> PS2って市場的に完全に終結してるんだ、そら知らなんだ。

今週のファミ通買って来て、PS2用ソフトの発売予定見てみれ。見終わったら各次世代機の発売予定と見比べてみれ。PS3発売からそろそろ4年経とうとしてるんだけど、まだPS2が終結してないと思ってるの?

> でもsceiが完全にPS3に移行してるからPS2で出せなくて

別にSCEIが他社に規制かけてるわけじゃないでしょ。各メーカーが勝手に他ハードに移行してるだけで。

> まあ単なるゲーム好きなので

それって単に、PS2時代から取り残されてるだけじゃね?本当にゲーム好きならPS2が終わったハードなのは感覚的にでも理解出来ると思うんだが。ちなみに最近どんなゲームソフト買った?

噛みついてる奴がいるけど

桃鉄のさくまあきらがHPで「PS2で出せない理由」としてSCEが出させてくれないといっているんだが

そもそも自称海外向けゲームの内容自体が微妙だし、海外といっても欧米先進国だけだし

2DSTGや格ゲー等の日本では一部のマニアだけのジャンルが海外で人気再燃なんて事も起こってるわけで

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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