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2010.09.28

中国政府がおかしい

 まあ簡単に。

 極東ブログでも多少解説があったが、少し動きがあったので補足など。一応、本来日本が目指すべき解決方法は、現代型アジア版ウィーン体制らしきもの(長い)を構築することです。リーダーシップがないとかいろいろ言われるけれど、利害はよそ様と一致していることもあり、まずは今後10年ぐらいの安寧を図っていこうとするならば、この方法ぐらいしかないでしょう。

 で、この方策、言い方を間違えると麻生元首相が在任中に提唱していた「自由と繁栄の弧」に酷似しています。知らない奴はぐぐれ。普遍的価値を軸とした緩やかな協調関係を作るドクトリンなのであるが、いまの日本政府にそんなリーダーシップは取れるの? と言われる向きもあるものの、実際には中国政府との腹芸がある程度できれば、紛争の槍玉に挙がるのはまず日本、という図式を作ることで結構なもんは回避できたりするんですよね。

 この辺のブレーンは谷内正太郎さんですが、三顧の礼とかしても戻ってこんでしょう、いまの政権のコミット力では…。とはいえ、結構決定的な事案が起き始めていて、もういろんな人が指摘している通り「どうやら中国軍閥は、中南海の意向を聴かなくなっているようだ」という話でありまして、これは少々ヤバイ。

尖閣、ガス田周辺に中国調査船続々 10隻以上が示威活動か
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100928/plc1009280101000-n1.htm

 ソースが産経で、追随情報が関係機関からあまり出ないことを考えると、ガセなのかフライングなのかといったところです。ただ、中国国内の報道ではエスカレートした民衆向けに強化した船団を送る決定を下したというような話がちらほら出ているのを見るに、あれだけ掛け金を上げておいて、しかもクリントン国務長官が日米安保の対象の範囲内と明言したことの意味も踏まえず勇躍船団を出すよと語るのは、発言上は外交圧力を減じてきている中国政府のコントロールが効きづらくなっているか、和戦両様で領土問題については攻勢に出ているかの二択でありましょう。

 その場合、「軍閥を引っ込める方向で努力するから、信頼関係維持のためにも日本政府も譲歩を」という飼い犬理論で外交をして来るのかなあと思うわけですが、日中政府が本件事案収拾のために話し合っている内容が漏れたりするとお互いの国内威信が傷つきます。

 たぶん、中国の中でも比較的まともな知識人層は頭を抱えているように見えるので、状況が有利な方向に転んだとしても掛け金が返って来ないことを知ったうえで落としどころを申し入れてくるのでしょう。それのカウンターパートになる前原外相がどういう受け取り方をするかは分かりません。ただ、中国の膨張志向がたいした問題でもないレアアース禁輸問題も含めて風評拡大、喧伝されたというのは非常に大きく、日本はいつもの調子なので、敵失で勝手に日本の安心感が世界的に向上したという感じなのでしょう。

 願わくば、100点の外交を志向しなくても良いので、今後も中国が冒険的で挑発的な外交を進めてくるのは当然と考え、我が国がかかる事態に再び遭遇したとき「どこまで譲歩するのか」「何を主張するのか」の下限線と上限を用意しておくことだろうと思います。

 今回、日本政府の失態だ、と主張するのもまあ一理あるし、感情では「弱腰とか以前に政府交渉になってねーじゃねえか」とも思うんですけど、何よりも大きいのは、繰り返しますがクリントン国務長官の尖閣諸島は日米安保の範囲内と明言され、日本国内の安全保障の枠組みにおいて普天間移転問題などで揺らぎがちだった日米安保の存在価値を否定する向きがいなくなり、満を持してアジア外交で「中国の危険」を公言できるようになったというところじゃないかと。

 あとは、ちゃんと仕事をする政府をどう組成するかなんですけどねえ。本件ではもう遅いので論じても仕方がないんですけれども。


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Comments

広島長崎を訪問したルース大使のことも、たまには思い出してあげてください。

そろそろ、中国に英雄の登場でしょ。中国が安定するには、貧乏になるしかない運命でつ。中国内で一番ひやひやしているのは、日本といっしょに、中国内で大儲けしている中国人でしょうね。文化革命をやった国だから、革命は起きて、また10年ぐらい、ぐちゃぐちゃで。幕末の攘夷と同じで、日本とはつきあいたくねーとかやるんでしょうよw

そろそろ、中国に英雄の登場でしょ。中国が安定するには、貧乏になるしかない運命でつ。中国内で一番ひやひやしているのは、日本といっしょに、中国内で大儲けしている中国人でしょうね。文化革命をやった国だから、革命は起きて、また10年ぐらい、ぐちゃぐちゃで。幕末の攘夷と同じで、日本とはつきあいたくねーとかやるんでしょうよw

隊長の目にも今回の事案は結構まずい事態、ってことでしょうかね

でももしかしたら今の国内世論を作り出すことが日本政府~アメリカ政府の目論見だったとみると結構面白いところはあるのかもしれません。

おそらく普天間とか先島諸島関連もすんなり決まるでしょうし

小沢政権だったら、田中真紀子などがさぞ売国で賑やかだったでしょうねえw

最後に強調してある部分なのであえて書きますけど、そもそもクリントン国務長官は「尖閣諸島の日米安保の範囲内」なんて『明言』してませんよ。日本の報道は前原さんを引用しているかその辺ボカして書いてますけど、海外の主要メディアはほとんど前原さんの発言としてしか報道していませんし、そもそも公式会談なのにその原文からの引用がいっさいありません。

というかそれ以前に今年8月中旬の時点で、アメリカは既に安保理の解釈から『尖閣諸島を日米安保の範囲内とする』認識の名文を削除していて、それを日本の外務省にも伝えてます。ソースは共同通信

http://www.thefreelibrary.com/LEAD:+U.S.+not+to+state+security+pact+with+Japan+covers+Senkaku...-a0234565244

他のどの国から見てもこれはアジア圏内(というかアジア対日本)の問題なので、『「中国の危険」を公言できるようになったと』というのも少し楽観的な分析に思えます。何はともあれ、今の日本には交渉する力も材料も国力もないのは確か。ほとぼりが冷めるまでは様子見をしつつ、国内のメディアに向けて『色々考えてます』くらいの発言を繰り返すだけになるでしょう。

>中国政府との腹芸

小泉

>>すずき | 2010.09.28 at 11:54
今年8月って、どこに書いてるの?
俺は英語わからんが翻訳サービスで訳した範囲では見つからんw
それに書かれていることは「日本の領土とは言ってない。そのへんで何かあったら援護射撃してもいいけどね」的なテキトーな約束しかしてないとしか書いておらず、これは既にマスゴミが報道済みの話。

それにしても、その後の展開を見る限り、finalvent氏の「船長釈放で中国が軟化する」という読みは完全に外れましたね。日記のほうでは、「もう終わったこと」だとまだ強がっているようですが・・・。

いまどき、孫崎某のボケ論説を聞いてクリントンが明言してないと勘違いしている馬鹿がいるのか。

フィナンシャルタイムズぐらい読んでおけ。
安保対象に尖閣は入るが領有権問題は未決着というのは、どういう意味かぐらい考えてもらいたいものだ。

>というかそれ以前に今年8月中旬の時点で、アメリカは既に安保理の解釈から『尖閣諸島を日米安保の範囲内とする』認識の名文を削除していて、それを日本の外務省にも伝えてます。ソースは共同通信

そんなの先日の前原外相との会談で言明してて、国務省の公式声明にも加わっているんだが。
「安保理の解釈から『尖閣諸島を日米安保の範囲内とする』認識の名文を削除」もガセネタな。安保理範囲を一方的に変更とかなら大騒ぎだから。

http://www.youtube.com/watch?v=g9KQ4sSGyik

おおむね隊長の言っていることが正しいが、はてブを観ていたらとんでもないバカがたくさんいるのな。

>> ArtSalt いちおう言っておくと、「クリントンは尖閣は日米安保の…」のくだりのソースは前原外相。米国務長官が本当にそう言ったのかどうかは不明だよ

外相会談で一方から声明が出て、即座に否定していないのは発言の経緯が客観資料に残っているからなんだが。。

この手のいろはを知らないで語る奴が多いから、中国問題は訳の分からない論説ばかりになるんだよね。

日本が実効支配している範囲内が日米安保の範囲って事ですよ。米国の言うことが今一曖昧に聞こえるのも、今は尖閣諸島は日本が実効支配しているから日米安保の範囲内だが、もし中国に奪われちゃったら、それを奪い返すと言うことまでは出来ないよと。気分次第(というか米国の国益次第)ではやるかもしれないが、やるかどうか保証は出来ないと。そう言うことでしょ。

お二方の仰る
>安保理の解釈
>安保理範囲
の「理」って何ですか?
お一人なら安保条約のtypoかと思ったけど、二人が仰るなら何か意味があるのかなと。

お二方の仰る
>安保理の解釈
>安保理範囲
の「理」って何ですか?
お一人なら安保条約のtypoかと思ったけど、二人が仰るなら何か意味があるのかなと。

日本側の強硬姿勢を引き出したくて仕方の無い方々が
出張って来られている印象。

日本側の強硬姿勢を引き出したくて仕方の無い方々が
出張って来られている印象。

ほんと、皆さん冷静ですよね~
俺なんてすぐに「中国人なんて全滅すればいいのに」とか思ったり言っちゃったりするし。
でも、もし「よい未来」があるとするならば、そこに中華思想や中国人は存在する余地はないと思うんだよね。だから、段階的にでも中国や朝鮮的な方々は死滅させるべきなんだろうなあ、と思います。
どうでもいいですかそうですか

>finalvent氏の「船長釈放で中国が軟化する」という読みは完全に外れましたね

少しづつですが収拾に向けた動きになってきてると思いますが?冷静に状況を見るようにしないとね

えーと、某巨大掲示板で拾った報道。産経だけど。

「沖縄県と一緒に返還した」 米国防次官補が日本の立場全面支持 
産経新聞 9月28日(火)19時27分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100928-00000619-san-pol
*****
訪日中のグレグソン米国防次官補は28日、尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件で「日本政府の立場を全面的に支持する」と言明、同諸島について「1972年の沖縄返還の際、沖縄県とともに日本に返還したのが事実だ」と強調した。

 米政府は領有権紛争一般について「一方に肩入れする立場をとらない」との原則を掲げているが、同次官補の発言は、尖閣諸島の領有権を主張する中国に対し、一歩踏み込んだものとして注目される。

 同次官補は都内で行われた一部メディアとの懇談で「われわれは日本政府のとった立場と行動を全面的に支持している」と述べ、「中国の強引な海洋活動の拡大は地域の多くの諸国の懸念を高めている」と最近の中国の行動を批判した。

 その上で「日本政府は事件に適切に対処し、行動した。これ以上の行動は必要ない」と語り、尖閣諸島については「72年に沖縄県とともに日本に返還した」と繰り返し強調した。

 同次官補は米軍と自衛隊の基地共同使用問題などで日本政府と協議のために来日した。
********

 ってところで、

>日本国内の安全保障の枠組みにおいて普天間移転問題などで揺らぎがちだった日米安保の存在価値を否定する向きがいなくなり、

が、肝心の足元の沖縄でプロ市民が騒いでるようだけどな。
アメリカ海軍の艦長さんの休日の浜辺の清掃ボランティアに嫌がらせしたり。

http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5ir_4TwRS2t5rbIc8_xcgYjzxvoCw

を見ると、ヒラリーが言ったのは

・尖閣諸島は現在日本の管轄にあるから安保の対象
・主権問題は日本と中国で勝手にやって。

という感じでしょうか。

"We do believe that, because the Senkaku islands are under Japanese jurisdiction, that it is covered by the US-Japan security treaty. That said, we also stressed that we don't take a position on the sovereignty of the Senkaku islands."

まあ、日本が頑張る限り安保が適用されると言った、として問題ないのでは?

http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5ir_4TwRS2t5rbIc8_xcgYjzxvoCw

を見ると、ヒラリーが言ったのは

・尖閣諸島は現在日本の管轄にあるから安保の対象
・主権問題は日本と中国で勝手にやって。

という感じでしょうか。

"We do believe that, because the Senkaku islands are under Japanese jurisdiction, that it is covered by the US-Japan security treaty. That said, we also stressed that we don't take a position on the sovereignty of the Senkaku islands."

まあ、日本が頑張る限り安保が適用されると言った、として問題ないのでは?

台湾基本法と同じ扱いで、安保対象になると明言したことで日本側の見解に寄ったというのが大きいわけで、それをアメリカが日本主権を認めないとか言ってるアホは国際法の基礎からやり直せと思うんだ

御意。>今回、日本政府の失態だ、と主張するのもまあ一理あるし、感情では「弱腰とか以前に政府交渉になってねーじゃねえか」とも思うんですけど、何よりも大きいのは、繰り返しますがクリントン国務長官の尖閣諸島は日米安保の範囲内と明言され、日本国内の安全保障の枠組みにおいて普天間移転問題などで揺らぎがちだった日米安保の存在価値を否定する向きがいなくなり、満を持してアジア外交で「中国の危険」を公言できるようになったというところじゃないかと。

>もし中国に奪われちゃったら、それを奪い返すと言うことまでは出来ないよと。

それ、安全保障条約になってない。

まあ、結局お金が守ってくれるよ。
世界第2位の経済大国が僅差の世界第3位の国と戦争おっぱじめて誰得よ。
それこそウィーン体制をぶっ壊したお金の問題が現代版ウィーン体制を作ってくれるよ。
問題は中国人民の中流層が今現在産業革命期の人間だと言うことなんだが。
あとさ、日露戦争の時に講和の条件を不服として暴動が起きたんだけど、今の日本も今回の件でぜんぜん詳しい情報は知らされていないのに、「傀儡になった」「腰抜けだ」とか言う奴が多くて、結局日本国民は、アホな上に血気盛んな民族だなぁと安心したり心配したり。

仕事ができていませんね、今の政府は。
本当にしんどいです…。

http://twtr.JP/user/nishijimakinji/status/25472837095
こんな怪情報で国民感情煽るマスゴミ関係者とかいたりして、Twitterユーザー釣られまくってたり、報道を信じられない場合何を信じていいのやら。

報道を信じられないなら普段からいろいろ情報入れて勉強するしかないっしょ。
2chだのツイッターだので楽して情報手に入れたつもりになって踊らされてパニくっている人たちを見て思うのだなw

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