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2010.08.16

金と人事と読みと裏切り

 傭兵は「あくまでもお金を払ってくれる人が主人」ってのと「勝ち馬に乗らないと次がない」ってのと「いずれは良い主人を見つけて信頼されて最後まで仕えたい」ってのがあります。全部相反することですけど、そういうもんなんで。

 昔、ソフトハウスを買ったときのこと、進駐軍のように幹部社員を送り込もうとしたら、羊のように従順だったはずの開発者が次々と辞表を出してきて、買った意味がなくなりかけたことがありました。買ったんだから、会社は私のもの、という意識は、そこで働く人の民忠を下げて一揆が起きて干上がるわけですね。教科書どおりに「1+1は2」とはならないのが仕事であり、戦力だろうと思うわけです。

 では、思ったとおり動かなかった人は、私を裏切ったのか? といわれると、思うところがあります。最近では、用意と根回しと段取りが大事なんだ、資金が幾らあっても、これを仕切るだけの組織がなければうまくハンドリングできないんだということを知るようになりました。

 信頼していた先の謀反というのは、負け戦が見えたときと、勝ち戦後の処理を誤ったときに起きるもんだと思います。逆に言えば、100%頼らせることの難しさ、相手が有能であればあるほど、先を読む能力があればなおさら、いつまでも仕えてくれるとは限らない、という問題を孕むわけでして。

 また、傭兵というのは戦局が悪くなれば真っ先に切られることになります。これほんと。前の年、うちらの担当のとこだけが黒字だったのに、翌年は更新減額とか。先方からすれば良いように使っているのだが、こちらからすれば裏切りと見えなくもない。この辺の機微はむつかしいところです。

 だから、いちいち腹を立てないようにするには、裏切る口実を準備しておいて複数君主候補の保険をかけておくか、本当に優秀だと思う人に忠節をきちんと誓うかの二つしか方法がないんですよ、残念ながら。また、裏切られて困るということのないように、こちらも保険をかけておくか、人はいずれ裏切っていくものと観念、諦念を持つかぐらいしか方法がない。

 傭兵稼業って、どっちかというと信頼してくれる人は裏切らないでおこうという原理で働きやすい分だけ、宮廷政治にエネルギーを割かれる正規兵幹部より忠実なもんです。きちんと経費と敬意が払われれば、値段分以上の働きはしよう、と考えるわけですから。

 何事も相手に納得してもらえるための交渉が必要なのであって、そのためには準備と根回しと段取りが必要なんだ、というのが今の段階での私の結論ですね、はい。


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Comments

チェ・ゲバラも、キューバにとっては傭兵みたいなものだろうね。映画の中で、やたらハグしているのが印象的だったなぁ。隊長も、ハグすればいいかも、笑。ハグしたら辞められたとかなるかなぁ。

人間、自分の実人生の事情があるからね。

亡くなった、ツカさんが、書いていたはずなんだけど。炭鉱で、5人チームに、一人怠けものがいて、ただ、他の4人にバカにされつつ笑いをふりむけていて、そのチームの仕事が他より優れていた。で、オーナーが、その怠けものを普通の人と入れ替えれば、もっと効率があがるだろうということで、結果は、職場は暗くなり、能率がぐっと悪くなってしまった。ライブである演劇って、そういうものだって。

まぁ、結局、真面目に働かそうと思えば思うほど、宴会が重要だったりするんだよ。

たぶん、隊長の親衛兵たちはさ、仕事よりも、ブログを優先しているのをみてだな、クスクスって笑いつつ、安心して働けいるんじゃないの。

でもま、ゲリラ養成には、愛と読み書きだと思うよね。この両方がなければ、脱落するか裏切るだけだろうな。あとは、運がいいやつがいるかだろうな。運は理屈じゃないし、ただ結果にはでてくるから。

たしかにIT業界は人がすぐ動きますね。優秀な人ほど不満を持ったらすぐですね。私は業界全体で一つの会社で、転職は部署異動くらいに思ってます。いつも興味深く拝見しております。ではでは。

寝床のある奴は詰まるとすぐにキャンと鳴く
部屋に蚊が飛んでるだけで飼い犬の腹を蹴り上げるよ
ブレない人間なんてどれだけいるんだろうね
つうか居ないんだろう

金払ってやってる、って態度の経営者が給料遅配とか爆笑もんだった。
 
いや笑えないんだけどさ。
 
 
兵隊とはいえ、そういう連中は微塵も信用ならんわ。

なんか納得

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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