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2010.08.03

GIGAZINEの「人間宣言」に対する共感と懸念

 出張でへろへろになっていたんだが、その間に死人は出るわ某シャブ関連で大物の逮捕者は出るわで散々になってるところでGIGAZINEネタが。

【求人募集】GIGAZINEのために働いてくれる記者・編集を募集します
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100802_gigazine_job/

 これは… ブラック企業としてのカミングアウトだとか、経営者としてどうなんだとか、さんざん言われているけれども、この編集長の言う「志」ってのが明文化されてないということを除いて死ぬほど正直なマネージャーなんだろうと思った。ことのついでに、何故かナタリーまで叩かれていて何だろうと思ったわけだが。

 もちろん、「経営者たるものそういうことは言うべきじゃない」とか「マネージャーとして失格である」とか「それはブラック企業志向ではないか」とか叩かれるべき要因を併せ持つので、正直すぎる発言は禁物なんだろうが、ネットでの活動で一定以上にインディーから大きくなるとき必然的に持つある種の「壁」のようなものは厳然とあると思う。

 ネットで人に読まれるものを書くと、多かれ少なかれ叩かれるんだけれども、ネットで叩かれずに無難に大きくなるというのはなかなか困難で、ある程度のところまでくると「ここの客層は捨てよう」という判断が働いてくる。迎合しても無駄だからだ。何にとって無駄かは、媒体によって異なる。ある人は商業誌へ執筆する際に良い読み手を持っていると思われるためのブログだったり、ある会社はメディアとして価値を高めたいのでPVを稼ぎつつお金を持っている人に影響力を与えてアフィリエイトで稼ぎたいと思っていたりする。だから、保守系雑誌に書きたい人は急進系の読み手の批判は屁とも思わないし、メディアとして広告主に良質なPVを売りたいと思っている会社は2ちゃんねるで批判されてもクライアントに対する風評が出ない限りは何も感じない。

 ある程度、ネットも成熟してきたのでメディア側も読み手側も距離感がだいぶ分かってきて、いちいち釣りに反応しなくなったばかりか、一定の「島」からサーフィンして泳ぎ出ることも少なくなってきた。SNSやらソーシャルやらが流行しだすと、その傾向は顕著になった気がする。メディアと読み手の距離が近づいた分、読み手がメディアの出す情報の鮮度や質に敏感になったし、メディアも主要の客の嗜好をはっきり認識するようになった。これはウェブメディアに限らず、ウェブで顧客反応を知ろうとするあらゆるビジネスに共通して起きるジレンマになってきた。

 今回のGIGAZINEの一件で山崎氏がキレたことは、GIGAZINEが成長するにあたって発してきた情報の熱量をより高めるどころか維持もできない状態に対する危機感を背景にしていると感じるし、それ自体は、私は健全なことだと思う。というか、意外と客の反応を真剣に感じていたのかなGIGAZINEと少し見直した。赤字のくせに。彼らが経営や組織論の理想と現実の乖離に身悶えしているログを見て、少なくとも私は共感した。社員って、経営者の思い通りには働いてくれないし、幹部ってものは仕事がうまくいくとだいたい裏切っていくんだよね。

 だから、今回の件に触発されてGIGAZINEの古来から持つ熱量をより高めてくれるような書き手が現れることはGIGAZINEにとっても読み手にとっても良いことだと思うし、この際だから記事を書く際はちゃんと引用元を明らかにして、不確かなものはせめて電話取材して、専門的でないことは参照リンクをつけて、クソのようなPV稼ぎ釣り記事を減らして欲しいと願っています。

 で、ウェブである程度仕事をしている人なら良く分かっていると思うけれど、GIGAZINEというのはこの手のブログカテゴリーでは上位3位に入るPVを誇る大型メディアになってる。某セプテーニとか某DACとか経由で広告だそうとすると、結構な費用がかかるわけだね奥さん。当然、広告主としてはGIGAZINEを選択する場合に、ウェブ界隈で話題になったりマーケティング上バズ的に有利な仕掛けを考えるか、実際に財布を開いてくれる読み手に直接情報が届くかといったアプローチで考えるわけだ。ところが、比較的親和性が高いと思っていたデジタルコンテンツ系や、ジャンクフード系の情報提供といったところでご一緒した限りにおいていうと、mixiやニコニコ動画同様、大量のアクセスはやってくるんだけど実際の購買には何一つ結びつかない事例だけが残った。少なくとも、GIGAZINEの読者は、GIGAZINEの情報でモノやデジタルコンテンツを買う判断は下してないってことだね。

 GIGAZINEにとっては大きなお世話だと思うのだが、どうせ今回人を入れ替えて大きな改変をやるのであれば、膨大なPVはそのままに、もっと読み手のクオリティに訴えかけるような仕組みを何か考えたらいいんじゃないかと。赤字を憂えているようだけど、メディアシートに書かれているPVが正しいのなら、間違いなく日本有数の大ウェブメディアであって、しかもブログ形式のメディアに今後大きな伸びしろは残されていないようにも見えるので、正直この手のメディアはラストチャンスだと思うんだな。

 最近採算が合わなくてしめやかに事業譲渡されるウェブメディアが多い中で、インディー系成り上がり媒体としてのGIGAZINEは貴重だと考えているので、頑張って欲しいと。もう広告出さない私に応援されたくないだろうけど。


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Comments

で、All Aboutは何時死にますか?

是非とも頑張って欲しいですね。

媒体が囲い込んでいる読者(ユーザ)と商品のマッチングの理屈は隊長に禿げしく同意するんだけど、そもそもWEBメディアでの商品の露出方法が某セプテーニとか某DACがプラニングがクソなこともままあるよ。

例えばなんだけど「エヴァって面白いよね」的な読者を大勢を占めているサイトに、同じ和製アニメだからという理由で「ジブリの新作借りぐらしのアリエッティ! ○×公開!」みたいなティザー案件をもってきたりとかね。

そりゃCTRとかコンバージョンとかの以前の話ですよ奥さん!

※サブカル系媒体の人間ではないので「エヴァ≠ジブリ」ではなく実際の読者は「エヴァ=ジブリ」だったらごめんなさい。ものの例えとしてでお願いします。

比喩でなくてインチキ詐欺会社のパブ記事とか書いちゃダメだと思うんですよね。インプレスもやっちゃってるんですけど。

冒頭3行ほどしか読んでませんが、あっしも隊長と同意見でやんすね。
「あまりにも馬鹿正直に本音をぶちまけてしまった」ってとこ。
(求人への応募者のハードルを上げるために、あえて、ってのも多少は有り得る)

ただねぇ。「ホンネ」って言っちゃイカンでしょ。
どこであれ、誰であれ。

全員がホンネぶちまけたら日本から夫婦が消えるですよw

意外と日用品とかはいけそうな感じするけどね。
ガジェットやコンテンツはよくいえばターゲットが成熟してる、というかしすぎで裏読みされるから効かない。

記事の質が一定水準を維持し続けていたら俺もこの言い分には多少は同情的だったかも知れないけどね…。

人事は難しいよね。メディアの人事が一番難しいんじゃないかな。そもそも、何もクリエイティブしていないから。

アメリカの話をするのはなんだけど、ある程度大きくなったら、さっさと譲渡して、2,3年遊んで、まったく新しい事業を始めるって感じじゃないかな。

ある程度、休みがないと、うまくいかないような。小さい企業は。隊長は、隊長一人でもやれる分野があるからいいけどさ。

あとは、宝塚方式に、売れっ子はどんどん卒業させることだよ。スターシステムをつくらんと。囲い込みはコストが高いんだよね。失うとき。

人事は難しいよね。メディアの人事が一番難しいんじゃないかな。そもそも、何もクリエイティブしていないから。

アメリカの話をするのはなんだけど、ある程度大きくなったら、さっさと譲渡して、2,3年遊んで、まったく新しい事業を始めるって感じじゃないかな。

ある程度、休みがないと、うまくいかないような。小さい企業は。隊長は、隊長一人でもやれる分野があるからいいけどさ。

あとは、宝塚方式に、売れっ子はどんどん卒業させることだよ。スターシステムをつくらんと。囲い込みはコストが高いんだよね。失うとき。

インディーズから大きくなるときの壁は、あたりまえですがネットに限らずです。初めは仲間と始めたビジネスが大きくなるにつれて、初めの志や情熱が失われてしまうのは、良くあること。でもそれ、半分は自分のせいなのですよね~。

 あそこ、勤務地が大阪ですね。初めて知った。

よくGIGAZINEの試食記事見て腹減らしてコンビニに行ったりするもので、ジャンクフード系でも購買に結びつかないというのは少々意外でした。
が、考えてみれば私も、コンビニに駆け込んで何か買うという行動は起こしても、広告から公式サイトに行こうとか通販で買おうとはならないし、新製品なんかは記事に関係なくともどうせ購入してますね。
あと、ああいうさまざまな事柄を取り扱って写真も多めというサイトを見るときは、スルー力を高くするというか見たいものしか見ないゆえに広告の印象って本当に無いですね。

GIGAZINEておいらは引用されたときにしか除かないんだが、編集長の苦労にほろりとしたよ。
 手伝ってやろうかと一瞬考えたんだが、勤務地が大阪ってのがちょっとなあw
 東京の山手線の中だったらまだ考えても良かったんだけど。

これって単に、電波少年的な体当たり企画を顔出しNGで継続的にやってくれる人材を編集部員の名目で募集してるだけに見えるんですけど、そんなことはないですかね?

業務外のプライベートなイベントに対して、業務命令でネタ化を強制(これは程度の差はあれ、どこの編集部でも同じでしょう)され続けるが、その分賃金が高いわけでもない上に、顔出しNGなのでステップアップに全く繋がらないという話だったのではないか?と思ったのでした。

しかしよく考えたら結果オーライ大成功だよなぁ。
・残留社員の引き締め
・あちこちで取り上げられることにより、億単位にも換算できようかという求人広告費を無償に
・ブラック臭を漂わせることで冷やかし応募の足きり

こんだけを自社の記事一本で済ませたってことだもんね。
東京支社作るんなら自分も応募したかも、だな。

しかし はてな の暴露増田は便乗しただけのカマってちゃんにしか見えないんだけど。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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