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2010.07.26

交通事故死者の警察発表への批判が奥深い話

 たぶん釣りなんだろうし、アクセスが集まったらそれが批判でも「やったー」という話になりそうなんだが、まあ興味深い話ではあるので軽く。

"交通事故死減少"は真っ赤なウソ!? 軍事国家時代から続く「大本営発表」のカラクリ
http://www.cyzo.com/2010/07/post_5061.html

 この手の議論に「全く意味が無い」というつもりはなく、ある意味で定期的に蒸し返されるものではあるけれども、大本営発表、すなわち公的機関が民衆に向けて情報操作をする行為そのものを指す事例として取り上げられるのは、やはり不本意でありまして。

 もちろん、この「のり・たまみ」なるライターが言う「実は、これらの数字は全くの嘘。あまりにヒドイために、警察庁の発表とは別に厚生労働省も「実際の死者数」を発表しているくらいです」というのは全くの嘘で、24時間以内の死亡者で統計を取ってきた過去からの連続性が必要であるために現在も行っているものです。

 ついでに、24時間というのは「重篤事故」を統計的に考える、すなわち「シートベルトも締めず飲酒して正面衝突して即死しました」という交通ルールを全然守らないようなケースで発生した死者を測定するのに利用する目的で制定されたもので、公的機関か保険会社かを問わず、国や地域全体の交通事故頻度や重篤度を調べる上では国際標準に近いデータになっております。別段、交通死者数をごまかそうと思って24時間限定の数字を警察が発表しているわけでもないし、それが大本営発表、すなわち情報操作をしたくて出しているんじゃないんですよね。

交通事故による死亡者、前年比-10.3%の5155人に
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2009/01/1035155.html

 我が国の交通事故死者や負傷者については、断続的に減少していることは生命保険会社各社の生保・損保の支払い状況から見ても明らかで、むしろ自動車による重篤事故よりも、チャリとかによる事故が伸びてきて、そっちのほうが問題になっています。これらのデータも公表されているんだが有償なので興味ある奴は金払って読め。

 元記事の酷さはちょっとコクがあるので順を追って見ていきたいんですが、例えば「よく問題視されるのは「24時間」です。これは、警察庁が数字を誤魔化すために使用している時間の枠組みです」が馬鹿発言なのは当然として、後述されていた「医療の進歩によって、なんとか1日(24時間)程度なら延命できるようになった。それ以降の死者は頬かむりして、数字に入れない」については、厚生労働省や金融庁、民間だと生保各社が代表社員などに対して発表している数字を元にすると事故翌日没という形で2,000人から3,000人前後毎年亡くなっており、主に事故総数から考えると毎年概ね正相関であることが分かります。なので、警察は事故死者数だけでなく事故発生件数に対してコミットすべき、という主張なら良かったのにね、と思います。

 ついでに、「常に「最悪の年」より、事故は多く起きています。~そう、実は「交通事故は減った」どころか、安全だった昭和50年代と比べて2倍近くにまで事故は増えています」もガセネタなんですが、生保・損保の事故認知件数とカバレッジ率から考えるに、軽微だが怪我をさせてしまった自転車事故は年々増加しているにも関わらず保険でカバーされておらず事故件数にも入らない割合も多いという問題があります。

 「最悪の年より事故は多く起きている」というより、GarbageNewsの主張するとおり、「事故件数は横ばいなのに死者の数が減っている」こと、それは恐らく警察の指導などによりシートベルトの装着率や飲酒運転の傾向減少が複合的に死者が発生するような重篤事故の発生を低減せしめ、結果として死亡率が改善されていると考えるべきです。

 たぶん、書き手は警察不信もあって強く警鐘を鳴らす目的で書いたんでしょうが、結果的にほぼ全面的にガセネタとなって、ありもしない大本営発表にまで持っていってしまうというのは非常に遺憾であり、馬鹿じゃねーのこいつらと思いました。だってしょうがねえよなあ、本当に死者は減ってるんだから。


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Comments

法科大学院試験の論理的思考力を問う問題みたいですな(笑)

馬鹿は死ななきゃ治らない

馬鹿は死ななきゃ治らない

「バーカ死ね!!」で済むようなクソ記事にマジレスする隊長は萌えキャラ。

自動車保険の保険料がデフレ傾向なのは、経営努力じゃなかったのかw

通りすがりの医師ですが。
確かに、最近は交通事故の死亡件数は減少していると思います。特に飲酒運転厳罰化が大きかった印象があります。
その他、シートベルト着用義務化や、車自体の安全性能が向上したためと現場では感じます。

選挙の出口調査で結果が予測できたりするとか、このへんの知識があればいいだけのような。この方法って、考えてはダメなところがミソ。

ところで、ネットの言論って薄くなってきていないかい。書き手の実力が向上していないってことをいってるのではなくて、読者側が減っているような気がしてならない。自然なのかもしれないけど。

20歳前後の人とコミットしていて、とても面白い。あとネット言論とぜんぜん関係ない層もいいな。

考えないのがミソなような気がする。というか、考えているような人の方が、思想のコピーをしているだけで、脳で汗をかいているわけでなくてさ。その20前後の若い人にしても、ネット言論でない人たちも、失敗することで汗をかくなかで、成長しているみたいだよ。

自殺者が三万人カンストについても色々と言われてますね

本当ですか?死亡者や関係者に対して無神経ではないでしょうか?
" ついでに、24時間というのは……交通ルールを全然守らないようなケースで発生した死者を測定するのに利用する目的で制定されたもので、"

>みかん
はっきりしたデータは解った上で、バーカシネで済ませられる人間がどれだけいるんだろう。
件の記事の、情弱はてな村ブックマーカーの脊髄反射コメントで酷い事になってそうだけど未確認。

死亡率低下の原因で車の安全性能の向上はでかいでしょ。フロントぐちゃぐちゃなのにサイドガラスが割れてもいない事故車見ると何てインチキな技術だとか思ってしまう。

携帯電話で救急車を呼べるようになったことが交通死亡事故減少の一番の理由でしょ。
交通事故の死者数と携帯電話の普及率には相関関係があったはず。
もちろんこの数年の携帯普及率はほぼ100%で横ばいだけど、カバーエリアの広がりと相関関係があるはず。

自殺統計も2004年あたりで「全年齢層でこの年だけ一様に自殺発生率が一律に上昇、それ以後また横ばい」というデータの断絶があって、それ以後がよく言われる「毎年3万人」になってるから、実は「ずっと前から3万人だった」というほうが正しいんちゃうかと思ってるがな。

自殺統計も2004年あたりで「全年齢層でこの年だけ一様に自殺発生率が一律に上昇、それ以後また横ばい」というデータの断絶があって、それ以後がよく言われる「毎年3万人」になってるから、実は「ずっと前から3万人だった」というほうが正しいんちゃうかと思ってるがな。

> gonzales氏
>本当ですか?死亡者や関係者に対して無神経ではないでしょうか?

たぶん、隊長がみたデータはこれだと思う。

交通事故統計 > 月次 > 2010年5月
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001064923
 これの10ページ目あたりかな。
これだと即死者の基準が「乗車中」がベースになってるっぽい。あとは「自動車か自動二輪車か自転車か」という分類。
 まぁPDFでA4用紙23ページのちょろいデータファイルだから、のんびり見るのもええんちゃうか。

年代別交通事故件数で、若者の交通事故が多いって統計が教習所でよく使われるが、それって単に運転初心者(免許取得者)が若者に多いってだけの事じゃないか?って思ってた。 また、観光地北海道の死亡事故件数の中に、北海道外からの観光客の事故がどの程度含まれているのか? 北海道は確かに平均速度が速いけど、それに順応出来ずに飛ばして事故を起こす観光客が意外と多いと思う。 居住地別の事故件数をちゃんと発表して欲しいね。

厚労省の統計も一部だがここにあるけど
http://ow.ly/2gNri
明らかに減っている。釣り確定っていうか、アホかっていうか

まあ減ったとはいえ毎年5000人が死ぬのが普通の商品ってのもすごいけどな。
こんにゃくゼリーは3億人に1人の事故で販売停止になりそうだけどな。
今一番怖いのは化学物質でもCO2でもなくて、ストレス(からの自殺とか食べ過ぎ)で、2番目が自動車かな。

前に隊長が統計がわからねえ奴にキレてたけど、そういう人種が書いちゃった記事じゃね?
いろいろあって運輸系の仕事に関わるようになったけど、すんげー法律で縛られまくりだもの。
死亡事故とかやっちゃったり、アルコールが出たら営業停止で会社アボンだからなー。
もらい事故なのに、トラック相手だと、トラック側が悪いように言われるしなー。
みんな神経ピリピリさせてるよ。

自殺者数も大本営発表・・・・でしょ?
誰か自殺者数が本当に3万人いるのかわかりますかー?!

>携帯電話で救急車を呼べるようになったことが
>交通死亡事故減少の一番の理由でしょ。
てはっきり言っていて、

>交通事故の死者数と携帯電話の普及率には相関関係
云々言っているあなたは間違いなくおばかちゃん。

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