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2010.06.13

池田信夫、金融庁の処分内容も読まずに木村剛を擁護

 近年、単なるビューワーを電子書籍だと言い張る面白ベンチャー企業を立ち上げるなど波に乗る池田信夫氏が、木村剛と日本振興銀行の問題について処分内容にすら目を通さずにこれを擁護する渾身のエントリーを書き上げ話題になっています。

日本振興銀行事件への疑問
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51432252.html

 まあ、理由は自分が企画する「アゴラ起業塾」というセミナーで、うっかり木村剛を講師で呼んじゃったから、引っ込みがつかなくなってるんだろうなあとは思うわけですが。脇が甘いねえ。

アゴラ起業塾 第3回 木村剛氏「官製不況を打破しよう」
http://agora-web.jp/archives/726235.html

 今回の池田氏のエントリーを読むに、全体の中で否定できなくもない部分だけを全面的に取り上げ、だから全体的に否定なのだと結論付けるという、「部分による全体否定」という古典的な詭弁を華麗に活用した池田信夫ならではの内容に仕上がっております。

 なお、2010年5月27日に金融庁が日本振興銀行に下した処分内容は次のものであり、「重大な」法令違反と見られる7か条のうちのひとつ、第5項についてしか池田信夫氏は言及しておらず、他の内容については処分内容を池田信夫氏は知らないか、知ってても金融庁に問い合わせて確認すらしていない可能性が高いです。さすがです、池田氏。

日本振興銀行株式会社に対する行政処分について
http://www.fsa.go.jp/news/21/ginkou/20100527-1.html

 で、池田氏の論旨となっている部分については、「強制捜査が貸金業法の総量規制が始まるタイミングと重なっている」とかいう話をしておるわけですが、検査開始は去年の5月であって、検査局から監督局に本件事案が申し送られたのはその後であります。貸金業法の総量規制を睨んで同タイミングで処分しようとするなら、まず先にSFCG債権の確認のところからやらなければ本末転倒なんですが、そこは歴戦の勇者である池田氏、自分で分からないことは論理的にスルーしておられます。

 要するに、池田氏は「問題のコアである出資法違反については疑問が多い」というけど何も知らないからそりゃ疑問も多かろうと思うわけですけれども、出資法違反と銀行法に対する重大な法令違反については上記金融庁の処分内容を読めば一目瞭然です。

 単純にいえば、木村剛が指示をして、日本振興銀行が日本振興ネットワークなる一次融資先・出資先のグループを形成し、そこから本来の顧客である二次融資先の集団を作って、本来の銀行与信が通らない不振の中小企業や回収の見込みのない債権などを膨大にこしらえておりました。返済されないのだから、本来なら不良債権であり引き当てを積まなければならないのですが、一次融資先から振り出した貸し出しや出資なのですから日本振興銀行にとっての不良債権にはならない、という木村剛のゴールデンロジックであります。まあ、見ようによっては二信組同様の不良債権飛ばしと同等ですね。ただ、グループになっているので見えにくいというだけで。

 当然、至誠監査法人としてはそういう方法は違法性が高いと
いうことで、監査意見の中にそれらしきことも盛り込んで注意を喚起しております。しかし、(引用)「中小企業保証機構㈱が転根抵当権付求償権を譲渡(約200億)することにより保証を行うという全体ストラクチャーのスキームの普遍性と「飛ばし」行為とみなされるリスクは乏しい事については金融専門コンサルタント」が語ったということであるわけですね。

 で、その金融専門コンサルタントって(笑)、という話になるわけですけれども、スキームの違法性とその設定に伴う異常な高金利(これも違法だが)のことより、池田信夫氏の目には「似たようなことは誰でもしているのよ」という少女Aの論理@中森明菜にすり替わっていて微笑ましいわけです。

 別に個別の金融行政に詳しくなければ経済を語るべきではないとは言いませんけれども、銀行免許でノンバンク業務をやらかして、引き当ても積まずにネットワーク先を作って債権を飛ばして、それを指摘されそうになったら証拠を隠して検査忌避なんだから、法令違反のオンパレードでしょう。幾ら何でも当局批判はおかしいわけでね。

 これから仮に破綻処理になって、不良債権額が明らかになって、預金保険機構の世話になってペイオフ第一号となり、2,000億円ぐらい税金が投入される可能性が高まるわけですが、そのとき池田信夫氏が何を言うのか、いまから期待しながらウォッチを続けたいと思います。


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Comments

さすが我らが池ピー、ガチだぜ。

いや、破綻処理してペイオフ一号の金字塔を打ち立てるだろうっていう、隊長とまったく同じ結論じゃないですか。

お金の回りにクッションをいれて、そこから利鞘をぬくやりかたって、日本はたくさんあるから、鈍感になりやすいんじゃないかな。よくわからんな。

そんなことより、なんか、街頭では、FXの講習会やら、お得なサービスだとか、庶民を巻き込むようなやつが目にするようになっていて、心配だ。

あと小企業も、決算を年4回~6回行わないところに、金を貸してはいけない法律をつくった方がいいんじゃないか。担保があろうが連帯保証人がいようが、回収できなくなってしまうのに、貸しっぱなしにするのっておかしくないかい。

それにサブプライムだってアメリカだけの話でなくて、住宅ローン組んだら、1年ごとに、納税証明書と勤め先の再審査ぐらいした方がいいんじゃないかな。あとこれ以上に、気持ちわるいほど、賃貸住宅がここらでは建築されていて、空き部屋がうまらない物件も目に付くようになっているけど、家賃相場の下落は借りる方にはいいことだろうけど、地価にまで影響でそうだけどな。すぐには現れないだろうけど、10年後はすごいことになるような?

なんか無駄に仕事をして儲けようとして失敗して、この失敗はつもりにつもって税金で補填するしかないような状況って、どうなのよ? 人間、農業だけやってほったて小屋に住んでも、一生のんびり生きていける可能性が高い日本なのに、なんかねーー。

ま、世間は広いもので、昨日は、その日だけ競馬で50万すって、年間1000万ぐらい買って、ちゃんと破産せず遊べている人の話を聞いて感動した。ま、金は、そういう使いかたもあるんだなと、あらためて確認できて面白かった。ネットはいいのぉ。

銀行員もギャンブルの研究をした方がいいのかもwww

実体経済には、クソの役にも立たないハイエク研究者が
金融事件にどうしてクビを突っ込みたがるのかな?

日本振興銀行「検査妨害」木村前会長を任意で聴取(10/06 /12)
http://www.youtube.com/watch?v=Q11bt3L4V8A&feature=fvst

日本振興銀行への強制捜査で、夜を徹して膨大なダンボール詰め業務資料が詰め込まれて
いる様子が撮影されてますが、これらの業務資料は富士通の「クラウドコンピューティング」
でサーバ側にアップロードしておき必要に応じてダウンロードというわけにはいきませんか?

もしこういうのが一般的な事例だとすれば、例えば富士通本社でもああいった膨大な
ダンボール詰め業務資料が富士通ビルの地下倉庫・屋上倉庫に保管してあるのですか?

そうだとしたら業務資料はクラウドコンピューティングで出し入れラクラクというのは嘘ですか?

富士通 クラウド推進室の土江と申します。
このたびは、お問い合わせいただきありがとうございます。
掲題のお問い合わせについて、回答いたします。

弊社サービスにご関心をお寄せいただきありがとうございます。

ご指摘のとおり、業務資料をスキャナデータで読み取ってデジタル化し、
ストレージサーバに登録しておき、必要に応じてそのデータを引き出す
というのは、ITの利活用のひとつのあり方と存じます。

ちなみに弊社におきましては、紙の書類につきましてはスキャナーで読み取って
電子データ化して保管しているものと、そのまま紙で保管しているものと2種
類ございます。
契約書等紙で保管することになっているものは、当然ダンボールに入れて
社内倉庫、社外倉庫に期限をつけて保管しております。ご指摘のとおり
相当数の量になりますが、今後は少しづつ紙での保管義務対象をへらし
ていく方向性になるかと存じます。

当該紙データの保管方針につきましては、法律的な拘束もありますので
日本において全ての紙データが電子データ化されるのは、もう少し時間が
かかるのではないでしょうか?

なお、回答内容についてのご不明点や回答に関する再質問などございましたら
お手数ですが、再度、お問い合わせいただきますようお願いいたします。
今後とも弊社製品・サービスをお引き立ていただきますようお願い申し上げます。

このメールは送信専用アドレスを利用しています。
返信はお受けできませんのでご了承ください。
---------------------------------------
富士通株式会社 クラウドビジネス推進室  土江 晃

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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