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2010.04.26

反論じゃないけど、一応書くお (追記あり、Typo修正)

 なんで私がフォローしてるのかは定かではない。たぶん、徹夜作業で頭がイカレていて、優先順位が一時的に狂っているのだろう。私がまたボトルネックになって待ちぼうけになってる各氏にはまずはお詫びを。

元ネタ:専門学校ゲーム科新入生が誰も堀井雄二の名を知らなかった
http://togetter.com/li/15900

 伊藤さん、何してんだ。働け。それに対する反論。

堀井雄二さんの名前より大切なこと
http://gungurion.jp/blog/2010/04/23/14/50/25

 どちらも一理あるし、どちらが正しいという性質のものでもありません。これは、「その道を目指そうとする者が、本来備えているべき知識や資質」の問題であって、その道を教導する人が「知っていて欲しい」と思ったり、その道にある者が喜んだり嘆いたりするのもまた真であります。

● 結論

 私個人としては、「堀井雄二氏の名前や足跡は知っているべき」と思います。

● 「ドラクエ」の価値とか

 「ドラクエ」といえば堀井雄二、堀井雄二といえば「オホーツクに消ゆ」でありますが、たしかに海外に向けて売れた日本製ゲームの中では知名度、実績共に劣るのは間違いありません。

 一方で、海外のクリエイターが俗に言うウルティマクローン、フィールド探検とダンジョンを組み合わせた広大な世界観で遊ばせるゲームの発展例として、日本のゲームシーンに大きな影響を与えた作品であることも言うまでもありません。

 業界でいうところのユーザーエクスペリエンス(UE)を体現させ、日本のゲーム業界にひとつの時代を作り上げた作品という意味では古典であり、この古典をプレイした人間が、事後海外で売れた各種ゲームのクリエイターとして業界を支えたのもまた事実であります。

 したがって、いまのクリエイションを実現した人が何に影響を受け、何を作ろうとしたのか知ることは、日本的なUEを積み上げる上では悪い話ではない(ベストとは言わないが)とは思います。

● 専門学校で学ぶべきこと

 とはいえ、専門学校はコンテンツ史を学ぶところではなく、制作の最前線を担う人材を育成する施設であり、いま流行していたり、ユーザーを虜にするゲームをたっぷり浴びることが大事とも言えます。であるならば、世界で売れている"Call of Duty"や"assasin's creed"なんぞの表現技法やレベルデザインをまるまる真似ることもまた良いのかもしれません。

 一方で、それは従来の欧米産の洋ゲーが欧米人の文脈に沿ったゲームを作るうえで必要な技法なのであって、私たち日本人が欧米人の文脈を「完全に」理解することはありえません。同時に、欧米人が日本のゲーム会社が持つテイストを模倣することもまた困難であるわけで、日本人が日本で制作している限りは、日本人が固有で持つオリジナリティが欧米人との差異となって価値を持つ(こともある)とも言えます。

 日本人が、日本の専門学校へ逝って、卒業後何らか職を経てEAやABやUBIの傘下のスタジオに入る、という可能性はゼロとは言いません。でも、海外のスタジオにとって日本人を採用するというのは、欧米人では実現できない日本人ならではのテイストを作品に取り込もうという動機もあるだろうと思います(あくまで経験則)。

● ドラクエ以外のブランドが育った

 「ドラクエ」が、メインとする客層と共に年を取って逝った、という意味でもありますが、いわゆる「若者のドラクエ離れ」とは違う文脈で、作品の技法や概観、世界観の構築など、ドラクエを参考としたクリエイターによって制作されたものも多くあります。

 昔は、山口百恵をみんな好きだったけど、文化が多様化し、市場が細分化された結果、ベリーズ工房は好きだがAKBは嫌いといった、細々としたクラスターに別れて客がついている状態は是認せざるを得ません。単にブランドのライフサイクル論として商品寿命が終わりに近づいたという意味合いで「ドラクエ」を捉えがちではありますけど、実際には「ドラクエも咀嚼しつつ、より細分化された表現系が市場に定着してブランド化している」ということではないでしょうか。

● 「いまの人は堀井雄二を知らないのかあ」

 まあ、プログラマ35歳限界説とかいう単語もありましたけど(笑)、そんな言葉自体が失笑されるぐらい業界もおっさんがひしめいております。なんか大手企業では年功序列みたいな感じで、単なる広報担当にもプロデューサーとか名前がついてる場合があったりで、若い人たちの能力を軽視し、企画を通さなかったり邪魔をしたりする人は増えています。

 そういう状況になるたび、業界最低限の知識は持っていて欲しいと節に思います… 良い悪いは別として。

● でもまあ、知らなくてもしょうがないんですけどね

 ミュージシャンなどと違って、ゲーム業界はプロデューサーやクリエイターがどこからどこまで手がけたんだか分からん世界でもありますし、映画とも違って監督が作品すべての指揮を執ったり執らなかったりついでに広報までやってたり様々なので、よう分からん、というのもありますけどね。

 でも、何を伝えたくてそういう作品になったのか、も含めて、ゲームの専門学校に逝くくらいならその辺の知識は知って入って欲しいというのは教育する側の希望でもあると思います。「お前の好きなゲームの作者って誰なの」とか「メーカーどこよ」以上の情報は持ってて欲しい、頼むから、という感じじゃないでしょうかね。

 というわけで、お粗末さまでした。

(追記 11:58)

 徹夜状態で精神的にゆらゆらしてるところで書いたので、何とも厨房臭い意見となってしまい… いろんなメールも頂戴しましたが、ゲーム専門学校は入学してもかなり辞めてしまう質の微妙な生徒さんが多いとか、PGとして採用して使えたためしがないとか、さまざま別の問題があるようで…。

 まああれだ。みんながんばれ。

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Comments

揚げ足で申しわけないけど
assasin cleed x
assasin creed o

今の学生らは堀井雄二よりも小島とか洋ゲーならCliffyBとかじゃないのかね
名前がでているからといってかならずしもいいゲームとは限らないし、CoDシリーズだってIWの名前こそでてたけど個人がフィーチャーされてたわけじゃないしね。

おっさん世代のドラクエは1,2年のスパンで発売されてたけど、
今ではオリンピックの感覚になってるし知らなくてもしょうがないと思った。

アメリカ人なら、大学で研究してゲーム史の論文ができて、誰もが目にすることができるようにするし、面白ければ本になって売れるのだよ。日本には研究課題の貴賎があるのが最悪なだけ。アメリカ人は、マヌケなことでも、真剣に研究しているぞ。それをバカにしたりしないし。

ま、日本の場合、ぜーーーたく病なだけだよ。好奇心がなくななってしまう。だいたい、死ぬほどゲームしている連中が少なくなった。アメリカなんか、薬をやりながら、クソゲーとかするだろ。なぜか、不幸だからだよ。逃避かもしれないけど、やりつくさなければ、前から抜け出せないのだよ。

ま、いいや、今日は、パーティーだぁ。招待されているから、無料だぁ。宮も来られて、わかっているのかわかっていないのか、ま、総裁だし。

そうそう、昔だけど、ゲーム編集におじゃましていたとき、オレはゲーム部門じゃないし、体が弱いから観察者みたいだったけど、ゴジラとかすごかったな、死にそうなほど仕事をこなしているのに、ゲームもガッチリやっていて、みんな、ゲームしているわけだし、原稿が机にないときは。ま、今は、情熱がないんだろ。あれば、別に知らなくてもいいけどさ。体系だった論文も本も、いいものがないんだし。

表向きは「ドラクエ知りません」な風にアピールして、
その実詳しく知っているとしないとね。

下手に知っているとアピールすると、じじいの昔話に延々と付き合う羽目になるし、
かといって、知ってないとじじいに仕様の理由を説明するときに昔のゲームを
持ち出せるか出せないかで通り方が変わったりしがちだしね。


あー、めんどくせ。。

>私個人としては、「堀井雄二氏の名前や足跡は知っているべき」と思います。

同意。やはり彼…とゆーか、彼が中心となった当時のDQチームが20年以上前のACT主流のコンシューマに新しいジャンルを投下したチャレンジ精神や、すぎやまこういち氏、鳥山明氏等の作家を使うというプロデューサー性導入等のその後の業界に果たした功績は大きいと思います。彼と彼の仲間のコンピュータゲームというエンターテイメント・メディアに対する「考え方」は、今でも色あせないゲーム作りのお手本でもあるので、そういう意味でも専門学校の生徒は「基礎」として学ぶべきだと思います。後、講師も知らない生徒がいたら嘆くのではなく(確かに気持ちは分かりますが…w)、講師がきちんと教えてあげればいいだけの話だと思います。問題は講師がどれだけ正確に伝えられるか? システムとか仕様という表面的な方法論ではなく、RPGのコンセプトレベルから説明してあげないと、生徒達には何も理解されないのではと思います。

PS:私は当時のDQ関係者でもあり、現在専門学校の講師もやっており、思うところありコメントさせていただきました。失礼いたしました。

犯人はヤス。

でもさ隊長。ネットよりの世代(35以下ぐらい)だと「そんなもん、ググればいいじゃん」っていう感覚じゃないかな?

ちなみに僕は同じクリエイティブでも広告制作で食べてるけど、サブカル系産業は象徴的な人物を知っておくことがそんなに重要なのかね?

というのも誰が広告祭で賞を取ろうが大勢に影響ないし、映画際だって誰(タレントなど他のところでポートフェリオがある人は除く)を賞をとったとしても、イベントコンパニオンの目録に書いてある「地方でミスコンとりました」レベルの話題にしかならないしね。

そんなに重要なことには思えないな…まぁ、ただのプレイヤーなのでゲーム業界のことは知らないから…。

>>平野文鳥さん
>講師がきちんと教えてあげればいいだけの話だと思います。

ハードとしての学校は「習う」ところであって「学ぶ」ところじゃないという意味で…ちょっと同意

長文ごめんね。

ゲーム業界の明日を背負って立つような担い手は
そもそもそんな所にゃ居ないので
正直、論ずるまでも無いお話です。

ゲーム専門学校のレベルの低さは有名だからなあ


入社面接で同じ質問をしたらどうなるんでしょ

「温故而知新、可以為師矣」ってやつでしょうか。

僕らからすると、そんな必要最低限のことも知らないのかと驚くけど、若い人から見ると、年寄りの繰り言としか思わないんだろうなぁ。

UEと書かれるとUnreal Engineを先に想起するな。

ドラクエもオホーツクも知らん。ファミコン持ってなかった。

堀井雄二が長期連載していた「ゆう坊のでたとこまかせ!」を知る者もいまはいないか…

教科書に「ドラゴンクエストへの道」を使うとか。
ああいうのは文化だなあ、って思うけどねえ
キャラがけっこう美形なので本物見てからマンガ読んだほうがいいけど。

ゲームを作ろうと志していたのなら、知ろうとするのはゲーム史より、作り方の方が多いでしょ。あこがれのクリエイターが居る人も居るだろうけど。それよりも頭の中にある物を表現したいという欲求が多い奴の方が良いんじゃないですかね。
体系立ててゲーム創造を独学で学べるんならそれに越した事は無いですから、その過程で堀井氏等を知ったりするような人物が居たのならそれは結構な事ですが。
それほどまでの人物を専門学校に置いておくのは勿体ないですな。

精神論など。どうでもいいです。
面白いゲーム作ったやつの勝ちです。
現役ではない専門学校のやつごときが(ry

べーしっ君の

私はマンマンマンドリル

も知らないんだろうな。

単純に、堀井雄二氏を知っている人が「ひとりもいない」という、悪い意味で偏った状況を問題視しているのであって、堀井雄二氏を知らない人が「数人」居たというだけなら別に構わないんですが。したがって、例の反論は反論になってません。

実際は、知らないふりをしているだけかもしれませんが、それは物を教えてもらう者の態度としては、不誠実であるとしか言いようがありません。

単純に、堀井雄二氏を知っている人が「ひとりもいない」という、悪い意味で偏った状況を問題視しているのであって、堀井雄二氏を知らない人が「数人」居たというだけなら別に構わないんですが。したがって、例の反論は反論になってません。

実際は、知らないふりをしているだけかもしれませんが、それは物を教えてもらう者の態度としては、不誠実であるとしか言いようがありません。

>まめ
>精神論など。どうでもいいです。

これを精神論だと思っている時点でアンタの底が透けてるよ。歴史は学ばない奴がくり返すんだ。

「節に願う」じゃなく、「切に願う」だよ>隊長。「切実に願う」わけだし。

 まぁゲームもめったにやらん、ほんとに有名どころのタイトルをCMでしかみかけん、というようなオイラからすると、「まぁドラクエと堀井氏の名前をどう使ってゲームクリエイターを育てるか」っていう教材として考えて教えたらいいような気もするんだけどね。
「ドラクエを作った堀井って職人がこういうコンセプトで作っ
たゲームはこの時代のこの感性のど真ん中だったんだよ」とか「だけどそのあとこのおっさんが作ったゲームはこういう切り口じゃ世間受けしなかったんだよ」とか。プログラムテクニックも含めてね。

>これを精神論だと思っている時点でアンタの底が透けてるよ。歴史は学
>ばない奴がくり返すんだ。

ドラクエ自体の話と堀井の名前を知っているか否かを混同するから精神論だと言ってるわけで。堀井の名前を知っていると良いゲームが作れるんですか?

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