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2010.02.22

せっかくの「ustream」や「ニコ生」が、制作費の安い単なる地方局未満番組の山で終わらないために

 ネットの動画配信については、もういろんなところが調査発表していて、動態もある程度理解が進んで、携帯向け動画配信も市場性がどこまでなのか、何となく分かってきたところではあるけど。

 先週、在京ネット局さんの研修会でお話をしてきたわけですが、既存の放送業界のネット利用の伸びのほうが、ustreamのような「野良配信」よりも一般客は掴んでおり、そこの心配はあまり要らないと思います。

 むしろ、ニコニコ動画やyoutube、ustream、GyaOと、日本国内では顧客プールをきちんと持っているサービスが次々と立ち上がりつつも、純粋に動画配信のサービスだけ切り離してみると採算面で苦労しており(GyaOが単月黒字化したとか報じられていたけど、信じてる人はどれだけいるのかな)、ネットにたくさん時間を使うユーザーが動画配信の市場に張り付いて先鋭化し、通常の映像を楽しむ客層から離脱して別の山を作り始めているという風に感じてます。

 携帯向け動画配信で言うならば、質疑応答でも問題となったBeeTVの問題はあると思います。私自身は、BeeTVは良い試みだと思っていますし、まだまだ未来はあるのかなあと感じていますけれども、では、モデルとして今後もあのような方向で携帯でのヘビー利用が拡大していくか、番組表が必要なほど各社が参入し始めるか、といわれるとやはり微妙なところです。

 いわゆる「若い人が、テレビを観なくなった」話については、調査の仕方で結果が多少ズレるのは仕方がないとして、ネットをヘビーに使っている人たちがネット利用率の平均を押し上げている状況にあることは、まあ疑いようもなく。ただ、テレビコンテンツに対する評価という点では一貫して若年層は「テレビがつまらなくなった」と言っていることから考えても、制作費の削減がコンテンツ力の低下を呼び、テレビ以外の娯楽に流れていくことを助長している可能性はあるんだと思います。

 では、テレビを観なくなった人が、ネットや携帯の動画を観ているのかというと、これがそうでもないんですよねえ。「観なくなった」人がテレビの前に座っている時間削減総量からしたら、必ずしもyoutubeやustreamが吸収しているわけではない。CSにいったりスポーツ観戦だったり友達との時間だったり… 真の意味で、分散していっているんだろうと思うわけです。

 だから、テレビが駄目になったので映像ビジネスはネットや携帯にシフト、という仮説は、正しくもあり間違ってもいると考えます。むしろ、家族皆が夕食時に食卓でテレビを観ていた状況から、一部はネットに流れたけれども、ほかの残りはもっと別の娯楽に流れていって、それをいま必ずしも皆が追いかけ切れていない、というのが実情ではないでしょうか。

 ネット配信がユーザーを先鋭化させてしまって一般客の入れない敷居の高さになっちゃってる理由は、(もちろん検証は終わってないから正確ではないかもしれないけれども)ライブ感や共有体験を重視するコンテンツを奨励する仕組みになっていて、後から来るユーザーからすると「何が楽しいのか分からない」状況になっているのかなあと。ネットの祭りもそうだけれども、動いているときが実況で一番楽しいのであって、あとから来たらやっぱり分からない。

 ユーザーの質が低い、というと語弊があるけれども、無料でネットで(彼らにとって)楽しい動画が転がっていると、そこに広告などマネタイズの仕掛けがあったとしてもスルーしちゃうわけですね。情強だから。アフィとか間違っても踏んでくれない、と。スイーツみたく、ちょっと泣かせる仕掛けとかないと、割高なコンテンツに金を払ってはくれないのです。

 ネットが便利になったがゆえに、ネット利用者自身が「貧者の楽園」になってしまった部分は否めないと思います。この辺の流れは、自著でかなり書いたので割愛はしますけれども。

 より権利者側の話になってくると、もう少し包括的に金を取れる仕組みをネットに作って、再生産可能なシステムを作り上げないことには死んじゃうよね、という議論になってきます。プロビジネス的ではあるけど、アンチビジネスの総本山になりがちなパイレーツとどう折り合いを付けられるようにするのかというのは、これは制度設計の部分だろうと私は思います。

 最近、岸博幸氏がまた何か仰ってましたけれども… 表現はともかく、お立場お考えはとても良く分かります、という好著に仕上がっていました。

 逆の見地からしますと、三橋貴明氏の書籍なんかも良くまとまってます。というか、千葉で自民党から立候補されるそうで… おめでとうございます。

 通常の産業分析から紐づいて将来収益を考えたときに、従来のマスコミのあり方に生き残るすべはあるのか? という意味合いから読み解くという、オーソドックスだけど非常に有効な知見の得方ですね。もちろん、マスコミ側も経営が苦しいなりに体制を転換し新しい収益形態をどうやって確保していくかについて試行錯誤しているわけで、まあその辺はいろいろあるわけですけれども。

 ustreamやニコ生はともかく、従来のニコニコ動画やyoutube、GyaOがここから飛躍的な拡大をするとは思いづらく、ネット上のライブメディアがネット上のアーカイブメディアを喰っていくプロセスになるのかなと妄想しているんですが、如何でしょう。って、誰に訊いているんだろう。


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Comments

そんなにアフィ貼ったって踏まないんだからねっ!

情強だから。

北朝鮮や中国みたいに規制しまくったら、みんな同じ放送を見るようになるんじゃないですかね。

ここだけの話、インターネットでビジネスぽいことをやってる会社で、100円で買ったものを200円で売るって意識がないところは意外と多いよ。

>>t-murachi t-murachi 動画, メディア, インターネット, 商売, Webサービス, テレビ 最後の段落、ライブがアーカイブを食うという妄想には同意しない。ライブが常にアーカイブに優れるという前提は、動画の送り手と受け手の間の心理的距離の変化を思えば古い考えだと言わざるを得ない。

もうライブが伸び悩んでるアーカイブを食ってるのを知らないんだろうな。
ニコニコ単体ではもう視聴数自体が伸びてないし。

>>chintaro3 chintaro3 ほぼ同意だけど、今貧乏な学生も、やがて就職してそれなりにお金が使えるようになるってことは考慮すべき

20年も通用するブランドとはいえないだろ、ニコニコもyoutubeも。
赤字が酷ければ数年後になくなってるかもしれん。

たぶん、NHKの例のオンデマンドサービスをニコニコ上でシステム借りて民放が真似したら、そう悪いことでもなさそうだけどね。
問題は、欲の皮を突っ張らせてるから利用者の財布なんか(゚ε゚)キニシナイ!!ってなところだけど。

でも、2chはなんだかんだで十年以上続いて、利用し続けてる層がそのまんま十年年取って健在だよ。

でも、2chはなんだかんだで十年以上続いて、利用し続けてる層がそのまんま十年年取って健在だよ。

金になるかならないかの話をしてんのに、2ちゃんがどうとかコメントしてるバカがいるのは何なの?

情報強者ってことなのかな
強情だから。 に見えたw
そろそろ┏◎-◎┓メガネを作り替えないと…かなw
あ。メインへのレスになってませんねw

NHKは変なシステムを作らずに番組をiTunesで売れ

自分の場合はTV→Youtube,ニコ動→ニコ生と流れました。
あの自分も参加している感は視聴者が一定以上増えてしまったら得られないわけで、あのサイズがベストな気がします。だから地方局未満でいいんじゃないかと。

素人っぽさがいいんですよねー。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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