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2009.11.06

スクウェア・エニックスのリストラ話

 もともと、単独での生き残りが困難だったタイトーとか、ブームを起こしたタイトルに依存してて売上の維持が困難だったエイドスとかを買収したスクウェア・エニックスが、そのままの人員を維持して経営を継続できると考えるほうが本来おかしいのだが、事前に噂が出回ったこともあってそれなりの騒ぎに。

スクウェア・エニックス、人員を1割削減--「組織を有機的に動かせるサイズに」
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20403052,00.htm
200人大量解雇の大手ゲーム会社はやっぱりスクエニだった! しかも実際は最低でも倍の400人近くを削減
http://digimaga.net/2009/11/square-enix-executes-restructuring.html

 一般論ではあるけれども、1+1が2にならないのはゲーム会社に限らずどのような業界でも一緒であり、買収して大きくなってはみたけれど弱者の連合とかだと資本を束ねてもスケールメリットが得られないばかりか逆に身動きがとれなくなる、なんてことは容易に想像ができる。

 業界の大きさや成長性に比べて自称大手が多すぎる、だから提供する品数を市場適正数に落とすために業界を再編するというのは製薬業界もゲーム業界もほぼ同じ発想で進める部分ではある。ところが、ゲーム業界の場合はプラットフォーム戦略如何で開発費が何千万ドルにもなってしまうため、世界市場で戦う会社にしていかないと資本市場から駄目出しを喰らってしまう。中堅メーカーという概念は国内市場に張りついて、国内で良作・佳作という評価を貰い続けながら少しずつクオリティを落として頑張っていくしかない。零細は開発のブティックハウスにならざるを得ない。そういう生態系になってる。

 ただ、KDDIにゲタを履かされたGREEの急成長とか、ユーザーのライト志向に乗じて大きくなったオンゲ会社とか、アイデア勝負でゾンビのような製作単価でモノを出してくるインディーの連中とか、基本的にゲーム業界は規模を追えば安定するという世界ではない。ましてや、一社が何千万ドルもの費用をひとつのタイトルを投入するために投資をし、決算年度をまたいでラインごと抱える、というようなビジネスはなかなか辛くなってくる。

 で、島国大和氏がハリウッド方式を提唱しているんだが、まあうまくいかないね。そういう方式にしたら、コストを最初組むときに地域性の優劣が決まってしまう。ゲームエンジン持ってくるのは中国や東欧、アートデザインはマレーシアなど東南アジア、ゲームデザインはドイツやイギリスなど、ギミックは製作拠点を置くカリフォルニアでやろうよとかそういう分業になって、誰がこれハンドリングするんだよ、となると日本人が日本企業で東京や大阪でやるよかアメリカ人が西海岸でやるほうが効率いいに決まっている。

【島国大和】「ハリウッド式」ゲーム制作について考える
http://www.4gamer.net/games/000/G000000/20091001062/

 資金や市場性や効率だけ考えたら、日本でゲーム作りをすること自体がナンセンスになってる。採算に合わないことは、市場見積もりや売上予測などから逆算して計算してみればすぐ分かる、だからタイトルが立ち上がらないんだよね。結果として、日本のゲーム会社がプロデューサーとかディレクターとか金払って雇っておく必要がなくなるじゃん。だって製作する本数が少なくなるんだもの。本数が少なければ、仕事のないPやDがいっぱい出る。そりゃ解雇だよ。要らない。企画書書けます仕様切れます、そういう人を社内で純粋培養しなくても、労働市場で鈴なりになって求職している状況なのだから、コストだけ考えていたら囲っておくのは無用。

 ある意味、出版業界よりも構造不況業種になってしまって、大手でも数年前からずっとリストラしっぱなしなのになかなか浮上しないセガとか、経営陣が相変わらず面白くていろんな方向に走っていって10年おきにホームランを放つカプコンとか、水と油を合併してみたら相変わらず水と油でしたという状態のバンダイナムコとかが業界の直面している現実を表しているわけだ。

 これからはオンラインシフトだDLCだ、と言ってみたって開発費考えたら採算になんかなかなか合いませんよ。作品単体として利益が出るような状況になったとしても、バックオフィスやマーケティングコストやセールスを考えたら産業構造全体が変わってしまって総体で赤字になったりする。

 事業性の観点から言うならば、ゲーム業界は濡れ切った雑巾も同然。まだリストラの余地は山ほどあるし、分業する方法や大手同士がバックオフィスを共通化するような流れなんて当然考えなければならない。スクエニがリストラした、というあたりで驚いてちゃ駄目だ。あっと驚く中堅か準大手がコケかねん。作品を作りたいけど企画を社内で通せなかったクリエイターやPやDが山ほど労働市場に出てくる。そっからが本番だと思うけどね。


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Comments

ゲームは鳴かず飛ばずでブランドというか流通的な意味合いで買ったんだろうけどEidos、
バットマン当たって良かったね

まぁ一息しかつけないんだけどさ

島国大和氏は楽しそうに書いてるけれど、ハリウッド式の一番重要な点、組合について全く書いてない。ゲームが産業として映画産業並みに成熟する(多くの人を雇えるため)には組合がちゃんとした力を持たないと、現状と変わらない、負のスパイラルでむしろ衰退する、と思うけれど…

ですよねー

アイドスじゃなくてエイドスて読むんだ・・・まいっか。

例のボードゲーム研修やらワークショップやらをもちっとやってアイディアを練る方法や過去作からうまく換骨奪胎出来るようにするのが吉?

でもここは楽しく順調に作品を発表してるぞ。
http://ancient.co.jp/

エインシャントは開発専業のブティックだろ

天才にしか作れないようなものは、外注にして、利益を折半にするしかないのだよ。日本は、外注に対して、ケチすぎる。それで利益を上げたようにみせて、結局、後で痛い目にあうわけ。これは、どの業種もそう。こんなことをやっているから、創造的なものができない。

ゲーム業界だったら、日本語化するのが簡単な部品というのかな、これはオープンソースにして、これを組み込んで作るよう海外に外注にだして、そして、日本国内で日本語化すればいいんですよ。日本国内での利益は、5対5、海外での利益は日本は3で、外注先は7かな。

ちなみに天才というのは、たいてい個人だから、一生のうち一個しかヒットして売れるものはつくれないのだから、利益が大きくなければ、食べていけないわけだし、それに人間が変であって当然なんであって、こういう人を会社組織の中に安く組み込むために、そりゃぁ、誰が天才かわかればいいけど、わからないから、大勢をスタッフにしなければならない。で、みんな、変なやつだったら、いがみあっているだけだろうし。

だって、アメリカのITベンチャーは、天才が小さい会社を起こして、ヒットがでれば、会社ごと買い取って、その天才は経営者になるわけでもなく、たくさんの金をもって、好きなことをまたやれるようになってるんでしょ。で、会社ごと売り買いされるから、ヒットを出す前でも金を貸す連中もいるわけで、やっていることは、外注だよね。

日本は、天才を安く囲おうとしすぎ。それと、困ったことに、オレ様は天才なのに、囲ってくれる会社がないと不満に思っているネットゴロ巻きも多すぎだな。新撰組をつくってしまうぐらいの力があるならわかるけど、浪人の遠吠えが多い。あと、囲われた身でしかないのに、窓際族みたいなもので、ぶーぶー言うしかできないやつとか。

もう、こうなったら、徹底的に、腐っていくしかないのだろうね。

最近は景気の悪い話ばかりだねえ。。。。

なんか90年代製造業みたいな話だな。楽観的に見れば業界の構造改革がこれから始まる、日本のゲーム業界はこれからだ!(未完) なんですかね。

資金や市場性や効率だけ考えたら、日本でゲーム作りをすること自体がナンセンスっていうのは、それは言っちゃおしまいなので賛同しかねますけどね。だってそれゲームを適当な言葉に入れ替えればあらゆる産業に当てはまるじゃないの。

なんか90年代製造業みたいな話だな。楽観的に見れば業界の構造改革がこれから始まる、日本のゲーム業界はこれからだ!(未完) なんですかね。

資金や市場性や効率だけ考えたら、日本でゲーム作りをすること自体がナンセンスっていうのは、それは言っちゃおしまいなので賛同しかねますけどね。だってそれゲームを適当な言葉に入れ替えればあらゆる産業に当てはまるじゃないの。

4ゲマの島国氏の記事って、隊長が言ってるようにハリウッド方式マンセーだったっけ?日本で流行らない理由を箇条列挙してただけで、ただひたすら「ゲームでは喰ってけない」と叫んでたような気が。。。

と思ってたら本人がブログでコメってた。

スクエニのクソゲーを仕入れないとFFやDQを仕入れさせないというのは独占禁止法に違反するんじゃないか

ビジネスの仕方でゲーム業界がどうにかなると考えていらっしゃるようじゃ、だめでしょう。

UKTI(英国貿易投資総省)がアイドスって書いてるしエイドスって読みはどうかと。
http://www.ukinvest.gov.uk/OurWorld/4043095/ja-JP.html

UKTI(英国貿易投資総省)がアイドスって書いてるしエイドスって読みはどうかと。
http://www.ukinvest.gov.uk/OurWorld/4043095/ja-JP.html

共通項目はあるけど、映像とゲームじゃ
工程が全然違うから無理だろ色々。
 
ゲームなんて無くなっても、客が餓死するわけじゃないから
大規模産業にしようとする事自体ナンセンスなんじゃないのかねぇ。
 
せいぜい一発当てて引きあげるくらいで
継続投資で大金ウマーとはいかないでしょうね。
 
 
 
今までの、リストラ→独立→撃沈パターンを見るに 
労働市場に出てくるPやDは使い物にならんのが殆どだろう。
appstoreでゴミ撒き散らすのが関の山。
   
大局に影響無し、でしょうね。

むかしはトーセがつぶれないのが不思議だったんですが、こういう会社のほうが実は長く続くのかも知れませんねぇ。

エインシャントが安定しているのを見るだけで、
あんたらが心配する必要がないことぐらい分かるだろう。

エインシャントなんて年間利益10億もない個人商店に毛の生えたようなもんだろうが

↑のようなクズ信者がついて褒め殺ししてるようじゃ古代さんもかわいそうだな

ゲーム会社で年間10億も利益出せる会社がどんだけあるんだよ

それは一例であって、君らが心配するほど大変なことはないんだよ。

他人が不幸であって欲しいという妄想もいいかげんにしろ。

>他人が不幸であって欲しいという妄想もいいかげんにしろ。

株価がこれだけ下がってリストラしてんのに、現実が見えてないのか?
実際に仕事を失ってる連中がいるんだぞw

>他人が不幸であって欲しいという妄想もいいかげんにしろ。

株価がこれだけ下がってリストラしてんのに、現実が見えてないのか?
実際に仕事を失ってる連中がいるんだぞw

業界全体が沈没して合併したりリストラしないと立ち行かないってみんな困ってるのに、単品の作品で利益を出せてる会社を例に出して「業界は大丈夫だ」とコメント欄で力説するバカが出るのはなぜなんだ?

ガジェ通の中の人がスクエニ株で一儲けしてないか。

しかしヲタ関連のエントリはコメ伸びるなw

海外だって出血しながらゲーム作ってるしねぇ
自分とこの売りもん価値ほったらかして
技術追いかけてりゃどこだってそうなる
もう全部任天堂の下請けにしちゃえばいいよ

海外だって出血しながらゲーム作ってるしねぇ
自分とこの売りもん価値ほったらかして
技術追いかけてりゃどこだってそうなる
もう全部任天堂の下請けにしちゃえばいいよ

コンピューターゲームは、ほかの映像コンテンツとはちがって、バグ対応や、OSやハードの世代交代への対応といった工業製品的な性格がありますからね。

>水と油を合併してみたら相変わらず水と油でした
>という状態のバンダイナムコ

ライバル関係というわけでもなかったのでスクエニよりはましだとおもいますが。

コンピューターゲームは、ほかの映像コンテンツとはちがって、バグ対応や、OSやハードの世代交代への対応といった工業製品的な性格がありますからね。

>水と油を合併してみたら相変わらず水と油でした
>という状態のバンダイナムコ

ライバル関係というわけでもなかったのでスクエニよりはましだとおもいますが。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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