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2009.11.17

日本の国債は紙くずであるかどうかすら公開された情報からは良く分からんでござるの巻

 今回、isologueで取り上げられていた「日本の国債は「紙くず」なのか?(国の財務書類・貸借対照表編)」は非常に示唆に富んでいたのでピックアップ。国の財務書類ってのは二年前のものが出回っている最新のものなんですってね…。単年度決算でぐるぐる回った挙句に、あまり頻繁にはアップデートできる規模ではないのでこれでええかなということなのでありましょうか。

http://www.tez.com/mag/

 パッと見て思ったのは、やはり「規模が大きすぎて、よく分かんない」。一時期、暗黒卿が埋蔵金だなんだと騒いでおりましたが、一桁兆「程度」の連結と単独の差異なんてゆうちょの数百兆の資産の中に埋もれててよく分かんないし、そもそも全体が1,000兆規模なんで、やはり容易には読み解ける代物ではなさそうなんです。

 さすがに良く分からんので、桁を3つ省いて自分なりに考えてみましたが… とりあえず、赤字時計とかやってる連中は、事業において負債があるのは当然のことという事実を見てから考えるべきなんじゃないのかなというのは思いましたな。

 精査する内容としては、やはり「日本政府は資産より負債の方が300兆円弱多いので帳簿上は明らかに「債務超過」の状態」なのだが「含みがどれだけあるのか帳簿上は出てこないので、何だか良く分からない」という…。

 いや、国の会計が駄目とかいいとかではなくて、皇居なんて今で言えば50兆ぐらいの評価額になるだろうけど、「国有財産としての皇居の価値は、2146億4487万円」だそうで、時価で換算すれば含みの塊のような物件は大量にありそう。まあ、それを各省庁が勝手に払い下げたりしながら還流させてたり、といった事例はあると思うんですけれども、これらの国有財産の含み規模というのはどれだけのものになりうるのか、良く考えないといかんということですね。

 これが、各省庁別の会計にブレークダウンされると、さすがにでかい上場企業レベルの規模に細分化されるということで、それなりに読みやすくなってくるわけですけれども、そうなると「この省庁、凄い決算内容になってて、民間企業だったら身動き取れない状況になってるけど、大丈夫なん?」という邪推も山ほど。isologueの中にリファレンス用のURLも別添されておりますので、興味の向きはご照覧ください。

 まあ、こうやって考えるといまの日本国の財政状況ってのは、実は誰も良く分かってないんじゃないの、試算した結果というのが第三者的にも合理的に分かる内容にまで整理されていないので、財政危機の情勢にあるのかないのか、あるんだとするとどのくらい喫緊なのか、というのがこれらの財務諸表を単純にざっと眺めるだけでは判断がつかないですなあ。そもそも、ざっと見てある程度確かな資料であれば経営状態を一覧できるというのが財務諸表の利点だと思うんですけどね。

 そのぐらい、国家財政の状態というのはプロの領域というか、分かっている人にしか分からないという神学論争もかくやというような内容になってしまっている。良いか悪いかは分からないけれども、少なくとも埋蔵金が見つかったらそれを支出に充てるのではなく、この財務諸表の通りの実情であるならば国債の償還に充てろよ馬鹿、という風には強く思いますね。

 個別の議論については分からんちんです。さてさて。

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Comments

有史以来、国の運営がトータルで黒字だったことなんてあるんでしょうか? いや、わからんので聞いてみたのですが。
少なくとも、現存する国家のさらに先進国の中で比べれば、300兆ぐらいの純債務って多い方じゃなくて、真ん中ぐらいじゃないですか? いや、うろ覚えで言ってみましたが。

つーことは、財務だけでいうなら、このぐらいの債務超過で日本が詰むなら他の国のいくつかは先行して詰むわけで、そうじゃないとしたら、財政赤字や純債務以外の何かが国家の死命を制するという結論になるような。

つーか、「国」として見るなら民間を含めるべきで、政府の帳簿だけ見てもしょうがないんじゃないかと思いますけど。企業や家計といった民間の資産なんて、大雑把に言えば大部分が政府の隠し資産みたいなもんでしょうし。

それはそうと「日本は遠からず破産するぞ」という煽りと「ハイパーインフレがくるぞ」煽りってよく似てますね。どっちもソエジー認定していいんだけど。

「日本国家のバランスシート」
でググれば一発なのに

アルファブロガーのぐっちーさんは、、、

>元本を返す必要がない借金なのです、国の債務は。
>国家財政はいわゆるニクソンショック以来、元本をすべて返済するという概念にそもそもないのです。

http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/6ba9e8bb3b3371660365f82a6b8394fa

どうなんでしょうか?
それから気になるのは「国債を刷れ!」の廣宮孝信氏。
今取り寄せ中でまだ読んでないのですが、アマゾンの著者紹介には「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」であるという考えを普及させるべく鋭意活動中とのこと。
ブログでも吼えてます。

http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp

というのも、近々借りようとしている住宅ローンを35年固定にしようか10年固定、のち変動にしようか迷っているからなのです。
下世話な話で済みません。

アルファブロガーのぐっちーさんは、、、

>元本を返す必要がない借金なのです、国の債務は。
>国家財政はいわゆるニクソンショック以来、元本をすべて返済するという概念にそもそもないのです。

http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/6ba9e8bb3b3371660365f82a6b8394fa

どうなんでしょうか?
それから気になるのは「国債を刷れ!」の廣宮孝信氏。
今取り寄せ中でまだ読んでないのですが、アマゾンの著者紹介には「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」であるという考えを普及させるべく鋭意活動中とのこと。
ブログでも吼えてます。

http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp

というのも、近々借りようとしている住宅ローンを35年固定にしようか10年固定、のち変動にしようか迷っているからなのです。
下世話な話で済みません。

正直プロですら分からないんじゃないですかね
含みはどうでしょうね・・・含み損の方がしゃれになってなさそうな感もありますが
全部綺麗に蓋を開けてしまうと省庁レベルではオワタ状態のところも出てくるでしょうから一致団結して蓋は死守というのがコンセンサスなんじゃないですかね
誰もリスク判断できないのに「判断できないからセーフ」の方に倒してるのでどんどん上積みし放題状態というのが現実と思われ

直接に国債の話ではないですが、年金なんてパンパンに膨れたマンホールを野党(当時)にせっつかれてちらっと覗いたら間欠泉のようにうんこが噴出してたりしますし

正直プロですら分からないんじゃないですかね
含みはどうでしょうね・・・含み損の方がしゃれになってなさそうな感もありますが
全部綺麗に蓋を開けてしまうと省庁レベルではオワタ状態のところも出てくるでしょうから一致団結して蓋は死守というのがコンセンサスなんじゃないですかね
誰もリスク判断できないのに「判断できないからセーフ」の方に倒してるのでどんどん上積みし放題状態というのが現実と思われ

直接に国債の話ではないですが、年金なんてパンパンに膨れたマンホールを野党(当時)にせっつかれてちらっと覗いたら間欠泉のようにうんこが噴出してたりしますし

>皇居の価値は、2146億
なら、皇居(新宿の分も)を京都に移転した方がいい。前々から思っているが、一般市民が丸の内のビルから皇居が見渡せるって状況を都知事は何とも思わなかったのか。
京都は建築制限が厳しく設定されているので、皇居を京都御所に移して民間に払い下げてそのお金を償還に回した方がいい。(築地市場をもってきてもいいかもw)

今がそういう状態だということは将来この状態がずっと続くという想定と、やはりいずれどこかでメルトダウンが起きてしまう、と。
システムとしてはとっくに破綻しているという自覚と、だからっつって対案もありそうにないということで。
大金で飼い慣らされた国民がそれを失ったときどうするんでしょうねえ。まあ心配ごとはそれだけっちゃあそれだけ。

今がそういう状態だということは将来この状態がずっと続くという想定と、やはりいずれどこかでメルトダウンが起きてしまう、と。
システムとしてはとっくに破綻しているという自覚と、だからっつって対案もありそうにないということで。
大金で飼い慣らされた国民がそれを失ったときどうするんでしょうねえ。まあ心配ごとはそれだけっちゃあそれだけ。

インフレがなかった分、実質課税は低いわけだし
借金の帳消しが出来ず、実質利子が高かった分
日本は積みやすい状況が継続しすぎたのは事実だと思います。
これだけデフレが継続した国は他にないでしょうから。

含み益なんて、売れなければ存在の意味がないように思いますね。負債は、資産をどのようにファイナンスしているかを表しているに過ぎないのでしょうが、通貨発行権のある政府と一般企業のファイナンスとは質が違うことと思います。そういう意味で、日銀によるCP買い取りは問題があったのでしょう。

>「日本国家のバランスシート」でググれば一発なのに

三橋さん試算のやつは、残念ながら見当違いで不正確な内容なので、資料としての価値はない

国債が幾らって問題より、国債を誰に握られるかは問題でないんかね?

隊長的には、世の中の単純な日本財政破綻論はそもそもおかしいけど、三橋さんほど楽観的にもなれないから、国債は減らせるモノなら減らしとけ。
くらいしか読み取れないという感じですかね。確かに簿記上の国有資産を全て現在の価値に算定し治すなんてそれこそ何年もかかるでしょうし。
>それはそうと「日本は遠からず破産するぞ」と
>いう煽りと「ハイパーインフレがくるぞ」
>煽りってよく似てますね。
>どっちもソエジー認定していいんだけど。
最近は私も同感ですね。いや、こんな低金利なら直にインフレが始まるなんて、1995年頃から言う人は居ましたし。こう煽ることで儲かる方々が居るのでしょう。
2006年~2007年初め頃、日本はもうじき破綻するから、$に換えて高利息、ユーロに換えて高利息、オージードルに以下同文、と煽っていた本もありまたし、有利な外貨預金をするための香港ツアーなんてもののありましたが、それに乗った人々は今どうなってるのか、他人事ながら心配であります。

やはり財務体質改善は資産の売却しかないと思います。
天皇陛下も京都のお帰りいただいてついでに政府もどっかの山奥にでも引っ越してもらえば大量に売れる不動産が・・・

やはり財務体質改善は資産の売却しかないと思います。
天皇陛下も京都のお帰りいただいてついでに政府もどっかの山奥にでも引っ越してもらえば大量に売れる不動産が・・・

>2009.11.17 at 14:24

はいはい、印象操作乙。

>2009.11.17 at 14:24

はいはい、印象操作乙。

企業会計でやっていないことが問題かどうかってことにつきますねw
そこを明確にできないなら、やっても詮ない問題ってことだと思います。

売れなければ意味が無いのが含み益だけれど、国レベルになると通貨の信用の対価として含み資産を保有して置けばよいだけなので、含み益を洗い出しバランスシート改善を行うべきですね。

国レベルになると借金=悪と考えてしまうと大変な事に。国の債務超過は国民の資産に移転したに過ぎないので(現実には天下り団体にプールされているのが大半なんだけれど)国が税金を徴収してバランスシートを改善するほど国民の側がやせ細っていく事になります。

実際には国の債務超過は簿外の資産があるために作り出されているものなので、国民から巻き上げると国民はどんどん貧しくなり債務超過になります。

ちなみに皇居の価値ですが、50兆はさすがにないです。

皇居は115万平米。平米100万として一兆円になります。

あのあたりだと平米500万ぐらいで行けそうですが、皇居をぶっ潰してオフィスビルを建てるとして、かなりの面積を公園だとかの公用施設にしないといけません。多分オフィス供給のバランスも大きく崩れます。

価値としては堅く見積もって2兆円、最大5兆円ぐらいでしょうか?赤坂御用地などすべての皇室財産をあわせると5兆円ぐらいは行きそうですね。

まずは日比谷公園を売りに出さないと。あれは平米2000万ぐらいでも行けますから。霞ヶ関に近い最高の立地です。

国債で、国内の企業が儲かっているなら、問題なし。


でもな、どうも、日本の国債が増えると外国が儲かっているような予感がするのだよ。それは、そうだよ、国債は日本人しか買えないというらしいけど。それは、日本人名義であって、結局、国際収支の漬けが国債なんじゃないの。国際が国債ならばだ、これは、困ったことなんだよ。絶対に、日本の庶民が豊かになれないってことだ。


ま、どっちにしても、富の偏りがある国では、革命やら戦争が起きるもんで、これはどうにもならない。こうなってはじめて、清算できるチャンスがある。ま、それまで、役人と政治家は、倹約してもらわないとな。


ただね、国債というのは、証文でしかないのだよ。紙なんだよ。破ってしまえば、いい。誰がやるかってことだね。自己犠牲できる政治家がいれば、これで解決。

隊長におかれましてはこの件のついでにそろそろ東亜板から生まれた経済評論家三橋貴明についても論評して頂きたく。
あの何とも言い難い胡散臭さの正体に迫っていただければ幸い。

賛成>経済評論家三橋貴明についても論評して頂きたく

きちんと論拠を示して議論していただきたい。

賛成>経済評論家三橋貴明についても論評して頂きたく

きちんと論拠を示して議論していただきたい。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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