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2009.10.21

PHP新書『ネットビジネスの終わり』を上梓しました

 来週から本屋店頭に並ぶとのことですが、表題『ネットビジネスの終わり』という微妙に後向きな本を上梓いたしました。

ネットビジネスの終わり (新書) 山本 一郎
http://www.amazon.co.jp/dp/4569771785/

Voice+ Web連載:情報産業に明日はあるか
http://voiceplus-php.jp/web_serialization/information_business/001/index02.html

 前著『情報革命バブルの崩壊』よりも、もう少し業界事情と金融サイドの話を詳述した内容にはなっていますが、実際にコケちゃったアメリカの新聞社の話や、もうすぐコケてしまいそうな欧州の雑誌社の話など、従来型メディアの苦境に関するメカニズムにより多くのページ数を割いております。改めて、バブル産業を総括する必要があるかな、と。

 本書では、主に産業を3分野に分けて取り扱いました。

・ 通信事業におけるベンダーファイナンスが枯れてきて大変だなという話。もうモノ作りという単語で産業政策を語るべきではないよ。
・ 出版社と新聞社は、ネットが興る前から細ってたけどもうお金も集まらなくなったという話。
・ アニメとゲームなどポップカルチャーに期待を抱きすぎて過剰投資が起きてネットと関係なく勝手に潰れてる話。

 これらの縦軸に、情報化社会とは何だったんだろうねという総括の部分も含めて横串をまとめてみました。取材先に原稿を見せたところ「カネだカネだと書いてあって煩い」とお褒めの言葉をいただきましたが、いやでもみんな金がなくなってるから困ってるわけだからねえ… みんな大好きソフトバンク救済の周辺事情や、ベンダーファイナンスから勝手に脱却してがん細胞化している中国通信業界事情も(一応)網羅しております。

 ネットバブルがどうなるかに関わらず、出版社や新聞社が経営を改善する方策は二つだけで、片方はレガシーコストの削減すること、もう片方は新聞救済法などの公的枠組みによる報道業界の新しい規制を実施することの2つという実もフタもない結論になっています。だってビジネスから考えるに、売上が回復しないのは分かってるんだからそれしか方法ないじゃないですか。

 動画サイトを含むアプリケーションレイヤーの話や、インフラ部分の話は改めて別の新書としてまとめる形で執筆を開始しています。新書だとグラフが入れづらいので、微妙なところではあるのですが…。

情報革命バブルの崩壊 文春新書 山本一郎
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166606672

 ご関心の向きがございましたら、諸氏諸兄ご笑覧賜れれば幸いです。


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Comments

結局、NTTグループの一人がちということですな

ttp://www.youtube.com/watch?v=vNBLOAsIzcw&hl=ja

YouTube自体は儲からないかもしれないが、Youtubeからブレイクすることもある。。。。

隊長だってブログ書いているから本を出しませんかという話がくる

ネット上の報道で黒字にするには、基本的にコストをかけて取材網を持って一次情報を集めたりせず、個人もしくは数人で、ネットでネタを拾ってきて記事を書く、
有名アフィブログを法人化したようなgigazineみたいなモデルしか生き残れないのかな?

そんなことよりネコのこと書いてほしい。

そんなことよりネコのこと書いてほしい。

面白そうだから買ってみた
隊長の新作ゲームとか期待しとるわけだが

あんまりみんなバンクのことばっかり質問するものだから新書を書いちゃうなんて隊長も筆まめだなぁ(違。

『情報革命バブルの崩壊』を図書館から借りてよんでるんだけど、段落ごとのネット的突込みがなくて寂しいです・・・

この日程だとコルシカの話はちょっと間に合わないですよね?
隊長がコルシカ騒動をスルーしてたのって、何故なんだろう?

この日程だとコルシカの話はちょっと間に合わないですよね?
隊長がコルシカ騒動をスルーしてたのって、何故なんだろう?

ブックオフで見かけたら買います。

アフィから注文しました。
おむつ代の足しにしてください。

本読むの楽しみです。

面白そうなので注文した。
次は子育てと猫の本ですな。
期待してます。

面白そうなので注文した。
次は子育てと猫の本ですな。
期待してます。

新書: 189ページ

このボリュームじゃ1000円は出せません
立ち読みして帰ります

ところでスカーレットソードの続編はまだですか

ところでスカーレットソードの続編はまだですか

おめでとうございます。
ところでVoice+の記事を読ませていただいたのですが、掲載されている顔写真は今後もこのままなのでしょうか?
ちょっと、人相悪いと思うんです…。そんなにカメラ睨まなくってもいいのに…。

別エントリーだけど、西和彦、小物すぎワロタ。

立ち読みじゃなくて、図書館にリクエストとか、いないのか、twitterユーザーは。

立ち読みも笑ったけど、別の2chまとめブログで、バイブドアにも笑った。面白くて良い。

あと別のネットサービスの話、すごいな、ユーザーの要求を呑んで、あっというま方針転換したところには、感動した。ま、看板がでっかいから、対して利益が上がらないサービスへの新方針を捨てた方が得策だったんだろうけど。

そういえば、日本のネットって、看板が脆弱だよね。結局、技術でなく、人気で誤魔化しているんだろうな。切込隊長というのは、ちゃんとした看板にはなっているけど、ただ、本名の看板がもっと強くなった方がいいような気がするな。そろそろ、本名だけにしたらどうなんだ。他人がずっとそう呼び続けるのはいいけど。それに、個人名より、看板なんじゃないかな。で、看板には責任があるんだよ。だって、その看板が世間で認知されて、利益もでたりするわけだから。

ということで、ITバブルって、看板が変なんだよ。無料が看板になるわけがいないのに、看板にしてしまったところが痛いんだろうね。新聞社だって、なんか、野球界を、一リーグにするとか騒いでいたのは懐かしいけど、自分たちこそ、自分の看板の重みを忘れてしまったんだろうね。新聞社こそ、社長と編集長が、ネットにも、街頭にも、新聞をもって配布して、人々の声を聞けっていうんだ。

ある意味、グーグルって、人間のことを信じていないシステムだよね。その割には、トラックバックのようなというか、情報間のリンクで評価したり、クリック広告のように、人間の意志でクリックすることに期待しているんでしょ。それに、むかつくのは、広告っていうのは速報性が必要なのに、あのクリック広告には、クリックしなければ、最新の広告情報にアクセスできないっていうのは、なんかCMの本来の流れと違うような気がしてならないな。第一、会社名より、リンクのURLが表示されるのがおかしすぎる。商品名も会社名もない、クリックしなければ、単に匿名広告だよね。日本で、商品名と会社名を明確に表示しない広告は、法律で取り締まった方がいいだろうね。藁

ま、でも、クリック広告は面白いは。隊長みたにPVが多すぎると、チェックできないだろうけど、オレのみたいに小さいと実験しがいがある。たぶん、CPMというの、表示回数に対する割合が高めにくるから、アドセンスでは、絶対に無効にされてしまうだろうな。この点、日本の会社は良いな。単価を抑えているからだと思うけど。ま、アルバイトの時給より、ずっと安いけど、笑。あてになるわけじゃないけどね。

買うよーヽ(´ー`)ノ
サイン会はー?

読んだ。しかしハードカバーだったので持ちづらかったな。

絶望感漂う本でした。
もう2,3回読んでみるけどアニメ・ゲームの部分は辛いなあ。現在の低品質文化(山本一郎曰く)がそれなりに楽しい私としては何とかしたいものだ。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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