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2009.09.06

「国家戦略局」は信頼できない政治家がヘマしたら終わり

 出産で多忙というか、精神的に微妙な状況でご取材をいただきまして… 正直、仕組みしか知らないし、人事も菅直人さんがヘッドになるらしい(藤井さんはヘッドにはならないらしい)というところまでしか分かりません。

 構想自体は、選挙前とそれほど変わっていないようなので、読売の記事を読んでもらうとして。

マニフェスト総括「政と官」…民主・次官会議廃止
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news2/20090825-OYT1T00058.htm
林 芳正 内閣府特命担当大臣(経済財政政策) 記者会見要旨
http://www.cao.go.jp/kaiken/0907hayashi_y/2009/0728kaiken.html

 平たく言えば、事務次官等会議を廃止して、国家戦略局に予算権限を一本化し、そこに百人の国会議員を送り込みましょう、というのが基本的な考え方でありまして… 問題は、今回当選した民主党百人の議員ってのに、予算を正確に吟味することのできる国会議員はいるのか、という点にあります。民間人で補足しましょう、というのもあるみたいですが… それは政治家主導ではないような。

 大枠で言うならば、予算編成の実務に詳しい民主党の政治家、というのは、ほぼ全員官僚出身者であります… で、官僚から民主党へ政治家として転出した議員さんは、官僚としての能力で言いますともともと微妙な人もおられ、優秀な人も居ます。ただ、現在国家戦略局で予算編成の前面に立って仕切ろうという候補に挙がってる人とか、役人としてはちょっと頼りない人だったので、政治家になって対官僚論客の切り札、とか言われるととても不思議な気分になれるわけです。

 また、それでも(まともに予算編成をしようとすると)人数が足りないので、一年生議員や民間から人を持ってきてそこに充当する可能性もあるわけなんですが、問題は民主党が財源として主張していた9兆円ぐらいを国家戦略会議で大鉈を振るって捻出する場合に、予算は削っても差し戻せなくなっている予算をどうするかですね。平たく言うと、ダムなんて好例ですけど、途中まで建設しちゃってその後は予算なしね、といった場合に、これをナシにするためにはまた予算を組まないといけない。無駄なダム建設はやめろ、というのはその通りで、まったく賛同しますけど、削って終わりという予算のほうが少ないんじゃないでしょうか、そこに必ず法律と事業がセットであるわけですから。もちろん、変な特殊法人とか全部カットね、というのは政権公約で掲げているのだからそれを文句言う必要もないですし、そうなるだろうとは思いますけれども。

 まあ、新しいことをやろうとするわけですから、当然課題も一杯あるでしょう。その課題山積の中、結果を出してもらわないといけないのですが、一番困る部分というのは、道半ばで民主党政権が国家戦略局なる組織による「政治」主導の予算編成という改革が挫折に終わって、強烈な反動が来てしまうことにあります。

 正直、「やってみました」「頑張りました」というのは、こと予算に関しては軌道修正がなかなか利かないので、シーリングや事前の各省庁間の握り合いでいままでやってきた部分もである。もちろん弊害はたくさんあって、役人天国と外部からは叩かれ批判される部分ではあるけれども、官僚機構による確実な予算執行という担保があったからこそどうにかなってきた部分でもありました。

 具体的に、民主党がやってみて駄目になる可能性で言うと、役人より素人の政治家が充分な予算内容の吟味をする時間もなく一律n%削減というような編成をするだろうと思われる点。次いで、結局何の予算だか全部理解しきれなくて、特定の勝手知ったる議員の独壇場になって、百人の政治家どころか数人の政治家で編成を進めて、そいつらが役人に取り込まれる可能性は高いだろうと思われる点。だって目ぼしい人って、だいたい役人上がりかマスコミ上がりで、ブレーンも官邸から指折り確認できるぐらいの薄い陣容で政策提案とかしているんですもの…。

 これらは、民主党が支持を失って、次の政党が「国家戦略局やーめた」といったときに強烈なバックラッシュというかレジーム反動を起こして行政の不安定化が発生してしまう可能性は高いよね、という話でありまして。

 マニフェストに関しては、そろそろ「無理を言ったな」と知られ始めている頃合ではありますが、正直、国家戦略局だけはある程度組織運営に目処が立ってから次の選挙にならないと、本当の意味で国難になる可能性だってあると思うんです。機能しない予算って悲惨ですから。効率の悪い官僚主導のほうが、機能しない政治主導よりもマシだった、なんてことのないように願う次第です。


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Comments

単純に経理がわかれば、誰でもいいんじゃないの? 隊長も務まるでしょ。

あと、大企業もそうだけど、予算使い切り、予算の縄張りみたいなのをやめないと、無駄ばかり。

オレは個人に、借金返済で苦しくても、1円でもいいから預金していかないと、手元にプールしていないと、なんかのときに、また借りなければならなくなって、借金は減らないもんだよと言うけどね。

だから、帳簿を見る能力がある人が政治家側にいて、予算を考えるのは、官僚のままでいいんじゃないかい? 帳簿を見るだけなら、隊長もできるということだよ。

ま、そうはいっても、今の日本って、お利口さんばかりで、人材不足なんだよ。そろそろ、真面目に、財務省とかから、黒塗りの駕籠が隊長のところにやってきて、お国のために働いてくださいとかさ。とにかく、30代に優秀な人が在野にも、たぶん霞ヶ関にもいるのに、まったく使っていないのが一番問題だよね。なんか、どうみても、30代が自由を謳歌しているようにしか感じない。自分のために馬車馬になるんじゃなくて、国のためとか、世界のためとか、自分を捨てて馬車馬になってほしいものだ。その能力がある人が生かされていないし、ある人はある人で、自分のエゴを満足させるためだし。

ま、オレは、どっちでもいいや。日本は島国である利点があるので、日本海を埋めて陸続きにするっていうなら立ち上がるし、経済のためだからといって、飛行機や船で日本に運ぶっていっても、日本に入ってくる外国人も、何か日本で悪いことがあったら出ていきにくいということはよくわかっているから、そう気楽じゃないしな。ということで、日本は恵まれている。この有利さがある限り、大丈夫だろ。

>予算を考えるのは、官僚のままでいいんじゃないかい?

 
それを止めるといってるのが民主なわけだが・・・
 
大丈夫か?

今日は本屋に行きました。最近は2番底が来るというような経済書が多く出版されています。日本経済はしっかりしているのに、大きな波は外国からやってきます。米国の失業率は10%に迫り、住宅ローン、クレジットカードの返済は滞り気味のよう。。。民主党は国内ばかりに目がいって外交や国際金融には弱そう。。。心配です。。。台風が来るのに初めて航海にでる船員さんばかりで乗客は不安です。。。。国家戦略局は急に出てきたよね。。思い付きじゃないのかなあ。

シナ事変はどうやら、外圧以外に
恐慌>保守倒れ>革新暴走
という国内事情があったらしい

保守は既得権益があるから、無茶をせんが、
革新(極左含む)はバクチに出ることもある。
極左はむしろ政情不安を望みさえする。

国難とはいえ、甘いバクチは信用せんと
腹括って、貧乏に耐える位の心構えでないと
国が危ないですぜ。

民間から登用される人々は殆ど誰かに手綱を握られていると思うのですが、古くは臨調路線、やや古くは小泉路線との違いが出せるんでしょうか?
結果的に小泉路線の継承とかなったら大笑いなんですが。

民間から登用される人々は殆ど誰かに手綱を握られていると思うのですが、古くは臨調路線、やや古くは小泉路線との違いが出せるんでしょうか?
結果的に小泉路線の継承とかなったら大笑いなんですが。

>無駄なダム建設はやめろ、というのはその通りで、
>まったく賛同しますけど、

「相場師で三田の猿山出身」ならば、
一番関心を持たなければならないのは、
「城原川ダム問題」だな。

「城原川ダム」を建設するということは、
「広滝水力発電所」を湖底に沈めるということ。

その野蛮なヴァンダリズムは、
「慶應義塾の歴史」に対する一大破壊行為である。

「城原川ダム問題」と「長崎新幹線問題」は、
密接にリンクしている。


「慶應義塾の歴史」を全く勉強しておらず、
■慶應の聖地=佐賀鹿島■を破壊することに嬉々と手を貸した
前自民党衆議院議員の福岡ばかまろ(推薦入学で慶應法)は、
原口一博に大敗し、赤っ恥ジュータンしか歩めなくなった。
自業自得也…。

ちなみに「長崎新幹線」推進の横車を押した(暴挙を為した)
久間章生、冬柴鉄三、津島雄二(の息子)は、それぞれ一敗地にまみれた。
天網恢恢疎にして漏らさず。


※三菱地所の高木丈太郎氏にとっても佐賀鹿島は「神聖な場所」であるが、
福岡ばかまろは、その三菱地所出身。
非道に非道、忘恩に忘恩を重ねていれば、憂き目を見るのは当然か・・・。

忘恩といえば、
(佐賀鹿島出身の愛野興一郎のおかげで国会議員になれた)
原口一博もまた「忘恩の徒」のたぐいである。現時点では・・・。

(原口叩きをえんえんやってきた佐賀市の紳士服売り爺さんのサイトの残骸)
http://web.archive.org/web/20050417014919/homepage1.nifty.com/TAILORFURUKAWA/review.htm

外国から見ると日本人はお金持っているのに貯金ばかりしているから欧米のお金が回らなくなうように見えるのではないでしょうか。だからいろいろ策略を用いてお金を使わせようとする。投信しかり、郵政民営化しかり。。。どうせお金を使うなら外国人の都合で使うのではなく日本人の都合で使うのがいい。後進国のインフラ整備に投資したり、人材育成に協力すれば、ひょっとすればBricksのように将来成長するかもしれない。そのときじっくり回収すればいい。その位の大きな戦略がほしいよね。。。

なんか、いつもよりシンプルじゃね?

シンプルじゃね?

ttp://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009090300728

本来だったら、予算作成の役割は内閣が負うべきものだと思っていたのですが・・・。これは内閣の本来の役割を回復させるための部署なのか、それとも骨抜きにするための部署なのでしょうか。
憲法上規定のない曖昧な部署を作り、与党議員がそこに流れ込み、予算策定権を実質掌握するのは私にはおかしいと思えてなりません。特定の団体から支援を受けている政党が、国家事業や行政の継続性を無視して、特定の団体だけを利する横暴だってできるわけですから。
むしろ官僚主導のほうが、いろいろな弊害はある一方で、まだしも公平な予算執行ができるのではないでしょうか。

> 無駄ばかり。

無駄の定義ってなんでしょうね?
なにをもって無駄って言っているのだろう?

>1円でもいいから預金していかないと(略)借金は減らないもんだよと言うけどね。

個人の信条としては結構ですが、国家がこの時期に借金減らす必要があるんですかね。民間も企業も借金返済と預金に切磋琢磨している時に。
銀行とか潰したいんだったらいいんですけど。もっとも銀行が潰れると言うことは、その銀行にしている預金がパアになることと同義でありますが、それでよいのなら。

確かに政治経済のいろはもわからない、ただ「先生」と呼ばれる素人の政治家には何もできない。

ままままま、数ヶ月、長くて八カ月の政権。

その数ヶ月の政権で、この先うん十年先の日本が、落ちるかどうかが決まるんだぜ。
なんで国民は民主を選んだんだ??
あいつらに任せれば、どうにかなると思ったのか?

どう考えたってダメなの分かりきってるじゃないか。
一か八かとかか??
こんなんじゃ、マジで大恐慌になるぞ。

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    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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