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2009.08.14

日本振興銀が、二重譲渡問題で信託銀から提訴されてた件

 ネタ的には「いまさら」であるし、7月21日に某信託銀が各債務者に対して通知を発送しているので、追認にすぎない話なのだが…。

信託銀、SFCGの二重譲渡問題で日本振興銀を提訴
http://www.google.co.jp/firefox?client=firefox-a&rls=org.mozilla:ja:official

 ちと手元に資料を持ってないので概略だけ簡単に書くと、二重譲渡された債権はその所在を争われた時点で保有金融機関は引き当てを積まなければならないのだが、日本振興銀行の場合は何を強弁しているのか知らないけれども普通に引き当てを積んだら自己資本を大きく毀損して銀行業務を継続できる自己資本比率にならないどころか、考えようによっては債務超過に転落することだって充分考えられる。

http://www.shinkobank.co.jp/whatsnew/img/press090724_4.pdf

 だからこそ、二重譲渡問題は一連の金融庁検査の中でも厳密にやらなければならない事案の一つなのだが、日本振興銀行はペイオフを宛にした営業をガンガンしていて、集まった預金をイッコーとかその辺に貸し付けたり、中小企業シリーズの名前を冠した子会社で投融資を繰り返してじゃんじゃか溶かしているようにも見える取引を繰り返している。要するに銀行免許の皮を被ったノンバンクに過ぎない、といわれても仕方のない状況なわけだな。

 当然、金融庁も大概そのぐらいのことは分かっているのだろうし、いままでもこれからも対策を協議するつもりなのだろうが、これだけ預金が集まってしまっていると、ペイオフを本当に適用するべき銀行なのか、そもそも銀行なのかというところから話を始めないとならんのだろう。

 早いとこ免許剥奪して営業停止させるしか被害を防ぐ方法はないのかもしれんが、ことここまで来ると、金融庁も責任を問われるだろうし、新銀行東京や二信組問題より深い傷跡を残すことは考えられるだろうな。木村剛氏も陣頭指揮を執り始めているようだが、さてこれからどうするつもりなんだろうね。単なるプロレスであることにわずかな期待を持たせつつも、ちょっと正気の沙汰とも思えん。


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Comments

モラルハザードってやつですなぁ。
銀行って、捨て身になったら何でも出来るんだ。ペイオフは適応しちゃ駄目ですな。

>信託銀、SFCGの二重譲渡問題で日本振興銀を提訴
>http://www.google.co.jp/firefox?client=firefox-a&rls=org.mozilla:ja:official

何を貼ってるやら。

債権の二重譲渡の場合において、譲受人がいずれも確定日付ある証書を備えている場合、譲受人のどちらが優先するか。債権譲渡の対抗要件の判断基準が問題となる。
この点、民法が債権譲渡に債務者への通知・承諾を要求する(467条1項)趣旨は、債権譲渡への債務者の認識を通じて、債務者をして公示機能を営ませるところにある。とすると、債務者が債権譲渡の事実を認識するのは、債権者が確定日付を得た時でなく、証書が債務者へ到達したときである。民法が証書に確定日付を要求しているのは、債権者・譲受人と債務者が通謀して、債権譲渡の日付をさかのぼらせる不正を防止する趣旨に過ぎない。
よって、確定日付ある証書の債務者への到達の日時をもって、譲受人相互間においていずれが優先するか判断すべきと解する。

債権の二重譲渡の場合において、譲受人がいずれも確定日付ある証書を備えている場合、譲受人のどちらが優先するか。債権譲渡の対抗要件の判断基準が問題となる。
この点、民法が債権譲渡に債務者への通知・承諾を要求する(467条1項)趣旨は、債権譲渡への債務者の認識を通じて、債務者をして公示機能を営ませるところにある。とすると、債務者が債権譲渡の事実を認識するのは、債権者が確定日付を得た時でなく、証書が債務者へ到達したときである。民法が証書に確定日付を要求しているのは、債権者・譲受人と債務者が通謀して、債権譲渡の日付をさかのぼらせる不正を防止する趣旨に過ぎない。
よって、確定日付ある証書の債務者への到達の日時をもって、譲受人相互間においていずれが優先するか判断すべきと解する。

日本はベンチャー企業って育たないよねえ。なんでだろう。

ベンチャーの提供するサービスの需要者がオールド
エコノミーの重厚長大産業に偏ってるから、新サービスが
成熟する間もなく過当競争、価格競争に追いやられて
適切な利益を確保することが出来ないんじゃないのだろう。
小泉竹中的な意味でない構造改革が必要だわな。

1)信託銀行通知は、振興銀行との2重譲渡がある分については、除外された。
誰でも知っている事実。そうでないという事実を知らない。事務ミスは除いて。
2)債権の帰属を争う確認訴訟は、1件700万円分についてだけ提起されただけですが。
3)不明 ある信託銀行は2重譲渡債権について、仮処分禁止の命令を裁判所に求めたというが、(a)2重登記を証明できる全債権について、処分禁止なのか、それとも、確認訴訟の債権一個だけか。
(b)仮処分禁止命令では、債務者に対する支払いを止めるよう通知するのまでは求めなかったとみられるが、確かなことは不明。 債務者通知しなければ、どういう効果が期待できるというのか。(自行ローンへの書き換えを禁じ、債権者の更改による抗弁権の消滅を禁じることはできるのが唯一の目的か。)
(c)振興に対して、債務者からの回収禁止にしたのか?

1)信託銀行通知は、振興銀行との2重譲渡がある分については、除外された。
誰でも知っている事実。そうでないという事実を知らない。事務ミスは除いて。
2)債権の帰属を争う確認訴訟は、1件700万円分についてだけ提起されただけですが。
3)不明 ある信託銀行は2重譲渡債権について、仮処分禁止の命令を裁判所に求めたというが、(a)2重登記を証明できる全債権について、処分禁止なのか、それとも、確認訴訟の債権一個だけか。
(b)仮処分禁止命令では、債務者に対する支払いを止めるよう通知するのまでは求めなかったとみられるが、確かなことは不明。 債務者通知しなければ、どういう効果が期待できるというのか。(自行ローンへの書き換えを禁じ、債権者の更改による抗弁権の消滅を禁じることはできるのが唯一の目的か。)
(c)振興に対して、債務者からの回収禁止にしたのか?

>2)債権の帰属を争う確認訴訟は、1件700万円分についてだけ提起されただけですが。

分類を援用する措置というのが銀行法の運用にはあってだな。
同様の債権は同じ区分に自動的に振り分けられるんだよ。
だから日本振興銀行にとっては強弁しても致命傷になる可能性はある。
毎週金融庁には電話を入れているから、政権交代した後、民主党は秋ごろ火をつけるんじゃないかな。

>2)債権の帰属を争う確認訴訟は、1件700万円分についてだけ提起されただけですが。

分類を援用する措置というのが銀行法の運用にはあってだな。
同様の債権は同じ区分に自動的に振り分けられるんだよ。
だから日本振興銀行にとっては強弁しても致命傷になる可能性はある。
毎週金融庁には電話を入れているから、政権交代した後、民主党は秋ごろ火をつけるんじゃないかな。

振興銀行からの報告では、240万円とのこと。
これは信託銀行4行の代表として、西村法律事務所を代表として確認訴訟しいるゆえ、一件でも決定すれば、残り全部が大挙して確認されることになる。状況からして、書証(信託契約、信託財産の回収事務の委託契約、振興の譲渡契約、代金など)は初めの数回の争点整理で出されてしまうだろうから、第一審は、来年早々にも出てしまうだろうから、いずれかにより控訴されるだろう。

争いが発生すればすぐに引当金とは行き過ぎではないだろうか。根拠のないイチャモンもあるだろうから(引き当てろと命令する金融庁に対する猶予を求める銀行の抗弁)、そうでないことが事実として証明された時点となるのではないだろうか。
確認訴訟は、それぞれの一回の信託譲渡ごとにサンプル債権の訴訟が必要となるか、同じ信託銀行で、同じ信託契約書をつかっていて、同じ信託(信託口)に含まれる債権の場合には、同一譲渡に含まれるとみなして、当該譲渡債権を同じ扱いとして手続きの手間を省くだろう。しかし同じ信託銀行でも、違う譲渡契約書を利用して、違う信託の財産である場合に、同一処理でよいか、別のサンプル訴訟が必要となるか。他3行でも同じ契約書が使われることもあれば、微妙に違う場合があり、振興からは、譲渡がことなるとの抗弁が予想され、多少時間的に手間どることになるだろう。

「強弁」の説明が今月中になされるというが、登記に問題ありとの立場に変更するのか。
以前の2重譲渡債権の調査結果報告では、2重登記の事実を認めていたが、信託譲渡については、譲渡の性格をもっており、有効な譲渡を認めない立場をとり、したがって登記の無効を主張していた。

いずれにしても、譲渡登記で負けており、第三者対抗では勝てない以上、時間の問題。重複譲渡400億円債権額が引き当てになるが(SFCGに対する400億円債権の支払い代金がSFCGに対する不当利得返還請求となる)、貸付資産の10%を超える金額であり、即時の業務停止、数千億円に上るペイオフ事件となる。

金融庁はこうした状況を放置し、野放しで預金を集めて貸金債権買い取らせてきたが、どういう監督義務を果たしたのか、説明責任は問われないのか。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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