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2009.04.11

稼げなくなった大御所をどうするか問題

 ちょうど、428名誉都知事(友情出演)が講演をしておられまして。

浜村弘一氏セミナー“ゲーム産業の現状と展望 2009年春季”が“景気後退に直面するゲーム産業”と題して開催
http://www.famitsu.com/game/news/1223443_1124.html

 お話としては大変オーソドックスでよろしゅうございます。

 ただ、業界的、というか投資的に気になる部分というのは、アクティビジョンとか大手の作り方が伸縮可能な組織形態へ進化して以降、パイプラインから逆算して売上を予測することがむつかしくなってきたという現状でありまして。

 平たく言えば、いまある10億円を次のタイトルに投入しても回収は二年半先であるから、浜村通信がいまのゲーム業界をデータ基準に語ったところで天体観測における推定誤差風のジレンマを及ぼす。これは製薬業界であれ大型の設備投資が必要な製造業であれ等しく抱える問題でもある。

 これは、任天堂が偉くて他が駄目という話でもない。むしろ、次にどこがヒット作を出すのか分からないのだから、予測してもしょうがないよねという部類の話。でも、資本の都合だけで市場が動いているはずもなく、IGFとか見てると「あー、こういうエネルギー値の高いクリエイターの世界を見ていると、ひょっとして俺達もう駄目なんじゃないか」と思うような事例にたくさんぶち当たる。例えて言うなら、部数が減って困窮している少年漫画雑誌のデスクがコミケに逝って、才能豊かな人気同人サークルの活況ぶりを見て嘆く風味の話でもある。

 でもまあ、少年誌もビジネスでやっている以上、作風で売るためにも大御所を切るというようなことを判断としてパッパとできるわけじゃないんだよなあ。とりわけ、日本のゲーム業界は職人気質でやっている人が多いから、海外事情とか見てるともどかしい思いをすることもある。明らかに終わったクリエイターがパブリッシャー騙して売れないゲームを企画して案の定コケましたという場合に、スコアが悪かったから次はもう仕事を出さないとそのパブリッシャーが判断したとしても、何かゲーム会社の経営者とか幹部と繋がっててほとぼりが冷めたところでまた大型発注請けてたり、似たような規模のゲーム会社に営業したのか同じような予算のタイトルを出していたりする。

 困ったことに、大御所がしっかり監修したり制作に協力しているような作品は、ゲーム単体として見るならば出来が良かったりする。ファミ通レビューで40点取ってたりするわけだよ。実際、私もプレイしてみて「ああ。確かに面白いな」という作品も多い。

 で、私はてっきり売れてると思ってた。でもなかなか微妙なところらしい。いや、あれだけのビッグネームが関わっていたのなら、もっと数字を取ってなければいけないのではないか。現実は、まったく駄目なわけだ。面白いのに。

 結果、プロモーションが悪かったから売れなかったんじゃないかとか、他にビッグタイトルが重なったから顧客が流れてしまったんじゃないかとか、そういう作品以外のところに理由を探そうとする。でもねえ。口コミでも売れていかないんだよ。ネットの評価サイトでも非常に高い評点を貰っておきながら。

 大御所が関わっていながら、クソゲーになってるケースもままある。うちも何個かタイトル引き受けさせられたこともあるけど、最近の事例では大手パブリッシャーのプロデューサーとの人的交流をテコに、もうどうしようもないぐらいの駄目なゲームが続編決まったりマルチプラットフォーム化されたりする。ちょっと海外のメーカーの仕事を見ていると考えられないような手続きでタイトルが決まっている。

 それだと駄目だと思うんだ。それで、資金がなくなって増資をしたいという話になる。増資をしたら、今度はまたクリエイターが大御所に営業を頼んで、あまり良くなりそうもない企画を通してしまったり、古い関係で培った広報関係だけでタイトルを売ろうとする。だから国内でしか売れない。国内もコアな日本人受けだけ考えているからリクープしない。

 これは、凄まじい閉塞感だぞ。景気が悪いとかいう話じゃない。昔だったら、シンプルシリーズで席巻したD3なり、韓国や中国から安かろう悪かろうでタイトル引いてきてちょっとした利益でも喜んでくれるオンラインゲーム会社なり、ゴミみたいなアプリでも出会い系もどきで顧客が稼げる世界なり、いろいろ逃げ道はあったけど、いま企画している界隈で2年後の結果を想像するに、これは怖い。

 いやほんと大変だと思うよ。経験則で、この実績のあるあの大御所に頼めばこの程度の売り上げは計算できる、という青写真がまるでなくなるわけだから。理詰めで考えても、いろいろ整理していかなければならないし、結論が数年先になる仮説もたくさん講じなければならない。これで某続編でもコケようもんなら、相当終わってしまうことになる。心配だ。大変心配だ。


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Comments

ちょうど都知事出演のゲームをクリアしたところだw
まぁ、出来は悪くないけど、この程度のスケジュール管理ゲーなんて、
今や他にいくらでもあるよね。前作から時間経ちすぎ。

ちょうど都知事出演のゲームをクリアしたところだw
まぁ、出来は悪くないけど、この程度のスケジュール管理ゲーなんて、
今や他にいくらでもあるよね。前作から時間経ちすぎ。

クリエイターの旬って短いもんじゃね

ゲームも、ネットも、読書も、暇つぶしなんだよ。本当の人生とは関係ないんだよ。暇がわからんとな?

もう一つは、依存症にべったりかということでもあるけど、まぁ、隊長も子供が生まれたら、いつ、チョコレートを与えるかなんだけど、俺は、大人になるまで食わせなくてもいいけど、たいていの親は、自分が食べても平気だからと、さっさと3歳ぐらいであげてしまうわけだ。で、びっくりするんだよ。毎日、一時間ごとに、チョコをくれとなったりするんだよ。これは、かぁちゃんイライラするわな。だから、優しい女ほど、コワいかぁちゃんになる。ということで、ここがわからなければ、ゲームは売れないのだよ。この点では、2cっはチープで優れてはいるな。

あとは、芸術的価値。これは、大人にならない限り、永遠にわからんだろ。日本で芸術観が育たないのは、子供な男が多いからだろうな。仕事に依存していたりするわけだし。

子供の全体量が減っているんだから、大人になるかだろ。爺ブロガーが、実は自慰の、示威でしかないんだし、子供だと自覚して、一生、子供でいたいわけみたいだし。子供は、やっかいだよな。いい加減、大人になれよ。

プレイは上手いのに、隊長が上手くゲームデザインを出来ない件について…

結局、プロダクトやサービスの品質ではなく、「コネ」「偉い人との酒の付き合い」「名前」で決まってしまう日本の企業社会風土に問題があるんじゃないの?
ITでも映画でもIPOでも全部同じ問題が不振の根っこにあるわけで。
税理士や会計士や弁護士やコンサルなんかの専門家も、明らかにサービスの品質ではなく、役員と飲み友達になれるかどうかで、顧客を取れるかどうかが決まってくる。やっぱ、これは日本の悪臭だよ。

マーベラス!!

↓PCゲーで9千本出たんだから十分利益は出てるだろ。

>kurimax game インペリアルフォース2を作った自分のこと?

鈴木YOUの事か!

鈴木YOUの事か!

名越さんは海外で売れるもの作ってくれないとなぁ~
と思ったらモンキーボールがあったか

ゲーム業界は流行廃りが激しい業界なのと
ある程度市場を開拓してしまうと大手が
圧倒的に強くなってしまうのでこれから
10年間でどんな開拓者達が誕生するのか?
という点では面白いと思います。

下記3つだって、10年前に産声をあげたもの
ばかりなわけですし。

シンプルシリーズで席巻したD3
中国、韓国産の課金型オンラインゲーム
携帯コンテンツ

後・・・・祝10周年な○ちゃんねる。
10年間も持つなんて思わなかった。

ゲーム業界は流行廃りが激しい業界なのと
ある程度市場を開拓してしまうと大手が
圧倒的に強くなってしまうのでこれから
10年間でどんな開拓者達が誕生するのか?
という点では面白いと思います。

下記3つだって、10年前に産声をあげたもの
ばかりなわけですし。

シンプルシリーズで席巻したD3
中国、韓国産の課金型オンラインゲーム
携帯コンテンツ

後・・・・祝10周年な○ちゃんねる。
10年間も持つなんて思わなかった。

鈴Q御大が輝いてたのは80年代だからなぁ・・・。bearing

IT業界でコンサルやってるけど、役員なり重役なりと飲み友達とまでは言わなくても、気に入られるなり何なりしないといけないのは米国も一緒だよ。
もちろん日本よりずっと軽視される傾向はあるし、結果が出せるならOKみたいなところも十分あるけど。
Googleの最終面接の採用基準には「悪天候で空港で一晩過ごさなきゃいけなくなったとき、一緒に過ごすことが苦痛じゃないか」という程度には人間性を重視する、ってあるし。

でも実際、日本では飲み友達になれるかで仕事が決まるよ、半分は。だからもっと資本家が口を出すべきなんだと思う。「お前たちに金を出してるのは俺たちだぞ。酒なんかで決めるんじゃない。利益を出すかどうかで決めろ。利益が出るなら無名の若手でもいい。利益が出ないならどんな大御所でもダメだ」って資本家が言ってやらないといけないと思う。その権利と権限を持ってるのはゲーム雑誌でもゲームユーザでもなくて資本家なんだから。

ヒゲガンダムがコケたのを連想した

昨日ひろゆき達がニコニコで高速1000円で一周のライブ放送はその辺の糞ゲーより金もかからず凄く面白かった

昨日ひろゆき達がニコニコで高速1000円で一周のライブ放送はその辺の糞ゲーより金もかからず凄く面白かった

ゲーム買う人間の資質が一般的に悪いとかなんとか。
っつーかよぉー、amazonとかで糞レビューしてる奴とか、こういうブログとかで「〇△を買ったけど面白い」とかいうテーマのコメントにクソミソに書いて、結果、ソニー・スクエニ批判するやつ未だ大杉。
チラシの裏にかいてりゃいいんだよ。俺のコメントとか・・・

そんなことよりcivのレヴューが一向に上がってこないのだがどうしたのだろうか。

428か。
10万も売れたことになってるのかぁ。
オリコンを笑えないような、ゲーム業界。

「ゲーム」を「本」や「雑誌」に置き換えると、まんま出版業界の話ですね。耳が痛い……

ネットゲームが流行ってた頃、「外見はラグナロクオンライン(アバターや背景)、中身はウルティマオンラインのシステムでゲーム作れば大ヒットするんじゃないの?」なんて話を掲示板でよく見たね。まあ、それ以前に不正プレイヤーに対する対策(BOTや不正改造)が必要なんだけど。

どうしてどこの会社も実現できなかったのかなぁ。

不正対策などに人件費や他の費用がかかりすぎてビジネスとしてはあまり効率の良い物ではないのだろうか。ネットゲーム。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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