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2009.03.10

報道の不偏不党はどこまで守られているのだろうか?

 漆間さん問題、つか、本当は鴻池さんのこともあるんだろうけれども、小沢さんの秘書逮捕というのは非常に大きい流れであったことも考えるとマスコミが大騒ぎして内閣支持率が上がったの下がったの、首相に相応しい人のアンケート結果に一喜一憂するのも仕方ないことだとは思うんですよ。

 ただ、ネットで見るニュースはもちろん、マスコミが民主党を煽ってワントップ小沢体制ができあがってしまい、そのキングである小沢さんにスキャンダルが発生すると一気にバブル崩壊気味の世評になるのも仕方がない。民主党に人材がいないということではなく、小沢さんは選挙に強く、政権交代が実現するまでは小沢さんに引っ張っていってもらおう、というのがマスタープランだったんだろう。だから、岡田さんであれ前原さんであれあまりでしゃばることなく、また若手を糾合して小沢対抗軸になるようなこともしなかった。

 小沢流金権政治の終焉と綺麗に言えばそうなるかもしれないが、むしろ中小企業のワンマン社長が愛人問題で社内が混乱して銀行から融資してもらえなくなり倒産しそうだというような心象風景で、自民党側が二階さんを持っていかれそうになるのがどれほどの党派組織的なダメージかというと、小沢さんのとことは比べ物にならないぐらい小さいかなあとは思う。

 小沢問題の根幹というのは、「政治にカネがかかる」のだが「自由なカネを集めるには合法的な手段だけでは間に合わない」ので「法律の穴をつくようなグレーの手段を駆使できる有力な政治家の下にカネが集まる」結果、小沢さんや二階さん、尾身さんなど議員歴が長く、カネの扱いに熟達した人にカネが集まるということになるのだろう。

 だから、小沢流金権政治との決別なるものは、資金不足による政治活動の停滞、矮小化を意味し、より小さいカネで政治家が転ぶような権威のない日本人の集まりになってしまう可能性も秘めているし、実際、派閥の領袖といっても森さんであれ中川さんであれ、かつての清和会や経世会のような「偉大なころの日本政治」が集めたカネの規模に比べれば誇張なく桁が二個少ない。派閥にぶら下がれる議員の数も少ないのだから、拘束も利かず、世論の風向きの有利不利で己の議席が守れるかが決まってしまい、野合とか集合離散が絶えない。

 政治資金が個人の力量によるものでなくなってから、金庫番という概念がなくなり、政治活動が小粒になっていった理由は様々だ。「政治が浄化され、綺麗になっている」という意味では歓迎すべきことなのかもしれない。一方で、例えば官僚から国の実権を政治家が奪う、という目論見があったとして、その肝心の政治家の顔ぶれを見て千万の現金を捻り出すのにフーフー言っている程度の連中に制御できるのか、という問題は残る。そんな連中に霞ヶ関を倒せるの? 観念的でありナイーブに過ぎないか? 徹底的に抵抗され、些細なカネを掴まされて返り討ちに遭うんじゃないかと思うわけだ。

 政治不信といわれ、無党派層がガチに四割超えつつある状況だと、地道にカネを集め地盤を固めるより、正論原理主義的であまり現実味のないことを言いメディアに持ち上げてもらったほうが支持を集めやすかろう。思うに、霞ヶ関を含む旧来型の体制対メディアによる政治の戦いになっておるのではないかという、当たり前の結論であって、恐らくそこに国家の大計のようなものは存在しない。お互い、議席という領地を巡って必死に突っ張りあいをしているような状況だ。

 これは権力争いであるから、どちらが正しいともいえない。ただ、テレビが政治に介入を始めてから、概ね一貫して民主党側に肩入れをしてきた。ジャーナリストに左翼が多いからかとも思うが、テレビが有権者、とりわけ無党派層に「届く」と分かってから、意図的に議題設定能力とイメージ戦略を駆使してあまり実体のない小沢さんワントップの民主党を霞ヶ関に対抗できる存在だと膨らませ続けてきた。ひょっとしたら、民主党が霞ヶ関のヘゲモニーを解消しうる存在に成長するのかもしれないが、あまり期待できないのではないか、と思う。

 いや、正直今回の一連の話を見て、素人が見たって国策調査であろうはずがないし、法務省が麻生さんに言われて配慮なんざするわけないのに、小沢さん含め民主党の大幹部が雁首並べて検察批判というのは知恵に欠けると感じるんだけどね。

 とはいえ、政治の首魁であった小沢さんがこうである以上、メディアは生き残った民主党幹部の誰かを持ち上げることで挽回を図るのかもしれない。漆間さんの件だって、オフレコの話をぶち破って書いちゃったわけだろう。帰宅して深夜にこれを見たとき目を疑ったわ。

http://kirik.tea-nifty.com/diary/2009/03/post-79d3.html

 こうなってなお、メディアが妙な肩入れをするようであれば、放送の不偏不党問題なんかももう一度掘り起こすべきなんだろうけど、さてどうなるんだろう。今回の事件で唯一積極的な意味があったとすれば、あまりにも突然だったので皆フリーズして、でも番組に出たり原稿は埋めなければならないから、小沢さん寄りの態度を取る人がだいたいどのあたりなのか分かっちゃった、ってことなんだろうけどね。


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Comments

とりあえず、選挙が混戦になるのだから、面白いじゃん。

あと、政治家が、献金してくれっと、公道で、堂々と言わんといかん。とにかく、金は汚いというイメージが変わらないと日本はよくならない。

たぶん、アフリエイトで真剣にベタベタとサイドバーに貼るぐらいなら、500円を、余裕があるときにだけとか、牛丼の自動販売機の釣り銭をそのまま機械操作のときに、政党に寄付できるとか、ま、小銭でいいんだよ。最初は。寄付すれば、いいんですよ。アフリエイトより、ずっと、生活が改善される。

とにかく、金は使い方であって、汚いわけがない。汚いのは人間の方。堂々としていれば、ちゃんと伝わるよ。正岡子規みたいに、自分の墓に収入を刻むぐらいにならんとな。ということで、野球選手からかなぁ。推定額じゃなくて、納税額をちゃんと公示すればいいんだよ。収入を言うんじゃなくて、所得税を、まず、オープンにした方がいいんじゃないの。消費税、中心に移行するなら、なおさらだね。あと、大企業は、法人税を、インターネットで過去20年間、簡単に表示できるようにするだな。税金さえ納めてなら、企業献金は悪くないだろ。献金して、税金の控除というのが、ひどいのであって、寄付の控除は、ボランティアだけ。あと、法人により宗教法人の献金も控除にしてはいかんな。よくわからんが、それと、所得が多い人の宗教法人への献金も控除はなしな。

ま、オレは、今夜は深夜労働で、献金どころでないけどな。

とにかく、今度の選挙で、流れができるんだから、いいんじゃないの。オザワくんもアソウくんも二人して落選とか起きたら、なんか、すごくよさ下

いまひとつ分からんのだけどマスコミっていうのは何を持って律動するんだろうかということですわ。
そりゃネットで煽るときは面白いから古館氏ねとかマスゴミの偏向報道とか言うわけなんですけどね。
朝日新聞だけが尖ってるならまあなんか分かるかな。編集会議で強面の革命闘士が口角泡を飛ばして麻生を引き摺り下ろせとか言ってるのかしらんと。
でも全マスコミが同じ様なトーンになるってのは疑いようも無い信実としてそこにあるのか、あるいは別のシステムが作用せんといかんとおもうんですよ。
それが余人の知り及ぶことの無い陰謀めいた黒幕の存在なのか、たまたま利害関係の配置上そうなるのか。
それとも今回の共同だっけ?の個人のスタンドプレーのようなものが会社組織をずるずる引っ張っていくものなんですかね。

・ベンジャミン・フルフォードによると
ホリエモンがああいう風になる一方糸山閣下が塀の上からおっこちないのは中曽根以下有力政治家に銭を配ってたかその前だったかの違いで、
・経済対策にしろトヨタなどのリーディングカンパニー@消費税取ってもいいから財政均衡しろ、とりあえず公共事業やら無駄な事してうちら企業の税負担を上げてくれるなの言う事が通らず、土建屋のひたすら財政ばら撒いて景気対策の公共事業をやれ論ばっかりがこの「金融」危機の時期外れと選挙前にも関わらず国民および組織動員を行うべき企業のドシラケ無反応にも関わらずマスコミでは大合唱になるのは要するに政治家への献金の額の差

やっぱり何でヤンヤと囃されるのかさっぱり分からん>小沢
野党は辛いってかそれとも何かもっとあるのか

・ベンジャミン・フルフォードによると
ホリエモンがああいう風になる一方糸山閣下が塀の上からおっこちないのは中曽根以下有力政治家に銭を配ってたかその前だったかの違いで、
・経済対策にしろトヨタなどのリーディングカンパニー@消費税取ってもいいから財政均衡しろ、とりあえず公共事業やら無駄な事してうちら企業の税負担を上げてくれるなの言う事が通らず、土建屋のひたすら財政ばら撒いて景気対策の公共事業をやれ論ばっかりがこの「金融」危機の時期外れと選挙前にも関わらず国民および組織動員を行うべき企業のドシラケ無反応にも関わらずマスコミでは大合唱になるのは要するに政治家への献金の額の差

やっぱり何でヤンヤと囃されるのかさっぱり分からん>小沢
野党は辛いってかそれとも何かもっとあるのか

>正直今回の一連の話を見て、
>素人が見たって国策調査であろうはずがないし

そんなことないですよw 自分の周りは、マスコミの「国策調査だ!」という報道を信じている人も多い。もう、笑っちゃうぐらい、マスコミの報道のままに操られる愚民たちw

テレビのニュースキャスターの偏向発言を、自分たちの考えだと錯覚する愚民の多いことw そりゃ、毎日、何気なくボ~とテレビみていたら、無党派層なんか特に洗脳されるわw 納豆、バナナがダイエットに良いと報道すると、その翌日、スーパーから納豆やバナナがスーパーからいっせいに無くなるしw

日本の政治が、ここ10数年混乱してきた大きな要因は、無党派層の増加、小選挙区制度の導入で、マスコミの世論への影響力が増大したのが大きな要因でしょう。日本の政治家がころころ変わるのも、マスコミが毎回、凄まじい政権叩きをするのが大きな要因。


>メディアが妙な肩入れをするようであれば、
>放送の不偏不党問題なんかももう
>一度掘り起こすべきなんだろうけど、
>さてどうなるんだろう。

これ、事実上、無理。前に安倍さんが問題にしたけど、マスコミはそんなもん無視して終わり。マスコミに中立に報道せよと言ったところで、どこからどこまでが中立なんて線引きは無理。だから取り締まれない。よって、マスコミの偏向はどこまでも突き進む。


結局、マスコミ(定期購読の全国紙、放送免許に守られた地上波テレビ放送局など)のような一極集中型のメディアは、どうしても腐敗するし、ちゃんと監視しておかないと、ヤバイ連中にそれを乗っ取られたら、たちまち社会全体・国家全体をヤバイ連中に乗っ取られてしまう。

監視することが言論の自由を犯すというのなら、こういう一極集中型のメディアは最初から作らなきゃいいし、あれば、それを壊すしかないでしょう。地上波デジタル放送って、結局、それを壊すためにやるんでしょう?総務省が。インターネットのような多極分散型のメディアだけで十分だ。

↓ ブクマとか見てても思うんだけどさ、下のこいつのように、検察と警察の違いも分からないようなアホが多いのも事実なんだろ?
不偏不党と言っても難しいんじゃないか?

usataro usataro 政治 漆間発言問題がオフレコ破りだというのは事実に反してる(ちゃんと「政府筋」と言ってる)し、しかも事実上警察官僚で官邸事務方の発言なんだから当然問題でしょ。これを「不偏不党」云々とするセンスを疑う。

国策捜査というと自民党がやったみたいに聞こえるけど今の自民党にはそんな気の利いたことをする力も意欲もない。「一番利益を得る奴を疑え」という鉄則に添ってみれば全官僚組織(OBを含む)の意を受けて検察が動いたと見るのが自然だろう。なにしろこのままだと民主党政権になりそうだったのだから。
自民党議員は1~2年で戻ってこれる見込みもあるけど、本気で官僚組織や特別会計に手をつけられたら「エリート」たちはもう二度とおいしい思いはできなくなってしまう。必死にならざるをえない。

偏向報道といいますか、日本のメディアは自浄作用に欠ける嫌いはあるんでしょうな。戦前からそんなに進歩しとらんのじゃないですか。

本題ですが、ようは誰が政治のカネを負担すんの?ってことでしょうか。俺にはそう見えますが。

企業が支えなくなった今、誰が政治のカネという現実的
な部分を負担するんです?

>>「政治が浄化され、綺麗になっている」
これも、政治はやせ細り、中に浮いているという感じです。

メディアは負けますよ。政治にはカネがかかる、という事を忘れて次の展望を描いてないんですから。

マスコミってのは、政治が目茶目茶だった方が儲かる商売なんだから、日本が資本主義社会である以上、彼らに公平性だの放送倫理だの求めるのがおかしいんだよ(嫌なら観なければいいんだからw すぐメディア批判する奴ってTV中毒っていうか情報弱者でしょ、明らかに。自分たちが彼らを延命させてることに気づいてないのかしら?)。
特にテレビってのは下種な生まれ方(CIAと正力の関係とか)してるんだから、というかそういう下種な環境のせいでここまで大きく肥え太ってきた業界なんだから。それは日本だけが特殊なんじゃなくて、米国も欧州も、民主主義社会ではTVなんてのは扇動的で偏向的なんてのは当たり前。米主要メディアのオバマへの肩入れなんて日本以上に酷い。それは別に経営者や製作者の政治信条なんかとはほとんど関係がない。オバマに肩入れしたほうが視聴率が上がって広告費も稼げる。徹頭徹尾、資本の論理に従っているだけ。小泉はその辺、よーく理解してたねw よって小沢民主党が政権とれば、民主党叩きが始まる、当然。
だから、そんなこと批判すること自体ナンセンスなんであって、僕たちが求めなきゃいけないのは、そういう媒体だけに頼らなくてもよいようなオルタナティブなメディアを確保することであって、もし彼らがそれを邪魔するようなら、その時こそ声を大きく上げて怒らなければならない。
その意味では論座や諸君の廃刊は非常に残念だね(しかしより少なくおバカだった諸君が無くなって、より大きくおバカな正論は残るんだねw)。
まぁ、保守論壇もリベラル論壇も原理主義者が増えて知的な刺激が無くなっていたんだから仕方ないと思うけど。新しい月刊誌が登場するのを楽しみにして待とう。

赤信号皆で渡れば怖くないの心理なんでしょうな
こうなってしまったら行き着くところまで行くでしょう
政府与党をひたすら叩き続けることでも一定の成果を上げられることがわかってしまった
選挙日周辺から直接的な表現で投票を誘導するような
放送局が現れないことを祈ります

不偏不党でない報道など存在しない。

「偏向」を指摘する人間が想定する「偏向」していない報道というものはいったいどういうものなのだろう。

「事実をありのままに報道する」なんて妄言が妄言として扱われるのはいつになるのだろう。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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