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2008.01.07

年末に読んだ中で面白かった本一覧

 個人的な読書の結果、面白いなと思ったものを羅列しただけであって、お前にとって面白いかどうかは別物であることを注意されたい。

○『補給戦―何が勝敗を決定するのか』(マーチン・ファン・クレフェルト・著、佐藤佐三郎・訳)


http://www.amazon.co.jp/.../dp/4122046904


 復刊もので、昔大学の図書館で読んだような読まないようなって状態だったため購入。戦いは数だぜ兄貴。その数を前に押し込むために必要な補給は数学の塊であって、根性では戦争は勝てないのだという自明のことを繰り返し書いてある。凡将は慎重に情勢を見極めましょう的な。違うか。


○『日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条』(山本七平・著)


http://www.amazon.co.jp/.../dp/4047041572


 こちらも何となく購入。すらすら読めるが、その21ヵ条とやらを念頭に置いて行動しようとすると人生においては何もできないであろうなあ。いわゆる「勝ったり負けたり」から「負けっぱなし」気味の人は、失敗したことを振り返って見つめるのが大事ということで、ひとつ。


○ 『バイアウト』(幸田真音・著)


http://www.amazon.co.jp/バイアウト―企業買収-幸田-真音/dp/4163258809


 賛否両論だったので。個人的には「ああ、そういうこともあるねえ」というのが分かるぶんだけ、先が楽しみと言うよりもそういうネタかと愉しんで読んだ。まあ「それは見ようによっては違法」ってのがあるので何とも(笑)。この手の本はストーリーで読むものではないと思うんだけどなあ、当時の先端金融業界がどんな雰囲気かを知るために目を通すもんだと考えているので。


○ 『危ない世界一周旅行』(宮部高明・著)

http://www.amazon.co.jp/危ない世界一周旅行-宮部-高明/dp/4883926222


 立ち読みして序盤面白かったので購入。だが後半のほうが面白かった。馬鹿だろうこの人。そういう読後感を持たせるために書いた感じで好きな方面の本。無理に危ない方向に逝くのではなく、気がついたら凄い危なかったというごく自然な流れに著者の懐の広さがあるような。保険業界の人は必読。


○ 『CONTENT'S FUTURE ポストYouTube時代のクリエイティビティ』(津田大介、小寺信良・著


http://www.amazon.co.jp/.../dp/4798114014


 MIAUの件で「そういえば」と思い直して。大変当然なことを大変当然に、かつ冷静に書いておられます。むしろそういう方面に進もうかと考えている大学生や、転職希望者が、コンテンツ界隈の空気を知るのに一役買うかも。逆に言えば、現在その方面で暮らしている人からすると「それどころじゃねえんだよ、こっちは」みたいな読後感があるかもしれず、上記敗因21ヵ条を読み直したくなる流れであります。


○ 『教科書には載せられない暴君の素顔』(山口智司・著)


www.bk1.jp/product/02953281


 後世に名を残した人はいろんな意味でキチガイの巣窟であるという、私らにとっては希望の余地をおおいに残す本。先天的にキチガイであるケースと、後天的にキチガイになっていったケースとあるのだが、やはり人間仕事なり戦争なりにうまくいって、周りに怖いものがないぜと思った瞬間からろくなことをしないので、チェック機構というのは大事だねということと、それによって周囲が困るとしっかり社会は装置として暗殺者を送り込むのかしらと邪推したくなる。でも暴君の共通項は、キチガイってだけではなく「行動すべきときに行動している」ことなんだろうけどね。


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Comments

危ない世界一周旅行と教科書には載せられない暴君の素顔を買いました!隊長、アフィればいいのに。

補給戦は二回目の登場ですよ隊長。
去年だかおととしだかに一度取り上げてる。

いやすげー面白いしためになる本だけどさ。

>補給戦は二回目の登場ですよ隊長。
>去年だかおととしだかに一度取り上げてる。

mixi日記に「何度でも紹介してやる」って書いてあったw

ぼけも始まったか

↑こういうこと書いてる奴ってどういう人格してんの?

そろそろディプロマシーのリプレイを書いてください

 ここ2,3年、こーゆー賢気な本をまったく読まなくなっちゃったなぁ。読んでるだけでもご苦労さんですよ。何事もコツコツ頑張って吉ですな。出来ることから、コツコツと。

>戦いは数だぜ兄貴。その数を前に押し込むために必要な補給は数学の塊であって、根性では戦争は勝てないのだという自明のことを繰り返し書いてある。

 そのへんの道理がゲームde対戦ってことになると急に「自国の内政放り投げてでも一気呵成で領土広げちゃったヤツの勝ち」的にひっくり返されたりするから、分からんもんです。
 ってゆーか、そういう勝ち方じゃあ長続きしないし後が酷いよ? ってことこそ「自明」であっても、なぜだか知らんが一気呵成を好む輩って多いもんで。

 次は誰が滅びるのか存じませんが、まぁ地味に堅実に頑張って末吉ということで。

ゲームに関していえば、将棋だって「急戦」と「持久戦」があるから、どちらがいいとはいえないと思う。まぁゲームなんだしと思ってあきらめるしかねぇ。信長だって、少数で、多数を討ち取ってるしなぁ。まぁ「数-補給」が大事なのは近代戦争では当たり前だけど。

ゲームはルール作る人が「これが本質」と思ったこと以外は切り捨てて作るもんだから。
対戦格闘ゲームで疲労を考慮したり飯を食う作業をさせることはない。逆にキャラを育成するゲームでの戦闘部分はAI戦闘だったりな。

現実での作業は効率化はできるが省略はできない。ちょー面倒で地道な下準備の出番もある。

補給戦は名将とかいわれている人も裏ではかなり危ない綱渡りをしてたんだぜ的なエピソードが印象的だったり。

計画とは倒れるものだから指針をしっかり立てた上で柔軟に運用しなさいという教訓も引き出せる。

暴君と聞いてしまうと、どうしてもヘリオガバルスを想像してしまうんですよね、私し。

ええっ、澁澤さんのエッセイの影響ですよ。

さよならを言うことは
ミーガン・アボット
ハヤカワ・ミステリ

五月の霜
アントニア・ホワイト
みすず書房

この対照的な二冊をオススメしておこう。
金とは関係ないような本も読め!

あと、中島京子の本もおもしろいぞ。

はじめまして、新年からブログ立ち上げたぶゲン主簿と申します。紹介されている本を読んだことがあったのでコメントします。

>『教科書には載せられない暴君の素顔』(山口智司・著)

 どうしてコノ手の本って暴君=全て暗愚の結果は最初からの構図で書かれてしまうんですかね? ネロ帝などは少し外交面を評価してもいいとは思いますが…。暴君だろうと暗君だろうと良い所があれば評価してもいいはずなのに、頭から尻尾まで一貫しないと書けない??

 最近、不滅の俺様の後の文字のタイトルの中華バトル漫画(集英社刊)が面白くて読んでます。いかがでしょうか?

 最後に相互リンクしませんか?

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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