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2007.11.08

読売新聞「小沢代表、会見で『誹謗・中傷報道』批判を撤回」

 正直、一連の騒ぎってメディア史に残るんじゃないかと思うぐらい、重要な話なんじゃないかと思えてきた。


小沢代表、会見で「誹謗・中傷報道」批判を撤回
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071107it12.htm


 いままでも、キングメーカーとして渡辺恒雄氏が政治に大きな影響力を与えてきたことは公然であってよく知られてきていたけど、戦前戦後のメディア史のなかでは何となく「メディアは政治に介入するのはここまで」というような暗黙の線引きはあった気はする。ただ、今回は渡辺恒雄氏や読売新聞は「自分はここまで介入している」とはカミングアウトこそしていないものの、誰がどう見てもポスト安倍から小沢辞任騒動にいたるまで、かなり明確な”意志”を持って政治に大きく介入してきている。

 もちろん、結果だけ並べてみると「小沢の辞める辞める詐欺」であり「小沢の昔からの悪い癖」であって、かつての小泉氏が述べた「小沢を大事にしろ」という意味そのものになるだろう。この情報を流したのが清水真人氏だというのも重要。


via http://obiekt.seesaa.net/article/64970383.html
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/shimizu2/20070724nea7o000_24.html


 何よりも問題は、小沢会見で小沢氏が渡辺恒雄氏や読売新聞のことに一言も触れずに、すべての事実関係を経緯順に述べたような体裁になっていること。ここで小沢氏がすべての事実関係を語っているとは言えないってのがミソ。一連の事情は、とりわけいつごろ、誰に会った、というあたりは間違いないんだろうと思うんですが、そういう事実の中に、会談でやった内容の説明に微妙に嘘を混ぜるのが小沢さん。たぶん、その会見内容を精査していちゃもんをつける第三者風のジャーナリストも明日あたり登場するでしょう。


 このあたりの分析を言うと、小沢氏は渡辺氏に何らかの事実を突きつけられて脅されたのだろう、ということであって、たぶん渡辺氏は小沢氏が吹き飛ぶような何か、それもロッキード事件級(某週刊誌見出し参照)の山での小沢氏の関与を掴んだうえで、いわゆる大連立という踏み絵を踏ませようとしたんじゃないか。小沢氏は一人では抱えきれず、逃げを打つ形で民主党役員会の反発、そして辞意表明、慰留を受けての撤回という細やかな芸を見せたのではないかと。


 で、ここからが本当の情報戦になるんだろうと思うわけですが、申し訳ないけど「ヤマヨウ」なんて言いません。聞いたことない。が、小沢氏が釈明会見をやった後からヤマヨウがどうしたこうしたという話が一斉に出てくる。誰がそういう情報を流そうとしているのか。そういうあたりから、発信されている情報の整理が必要なんだろうと思うんですけどね。


 逆に言えば、事態を見て慌てて岡田参りをした重要人物の炙り出しで信用できるできないを見分けようとしているというのもあるかも知れん。まあ蛇足ですけどね。ただ、本来なら(というか昭和の時代であるなら)実弾が飛び交うはずの状況でちいとも動いている気配がないというのは一種異様な光景かな、と。


(補足)


 というわけで、あっという間に「衆院選」という単語が具体的に政治家の口から飛び出すようになってきました。


http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe8400/news/20071107it11.htm
>次期衆院選での勝利に向け、陣頭指揮をとる考えを表明した。選挙準備を急ぐため、同党の衆院選対策本部を同日、発足させたことも明らかにした。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071107ia25.htm
>(来年7月の)北海道洞爺湖サミット以降、成果を出し、来年の秋以降が望ましい


 700万票割れも視野に入る公明党が遅滞防御に出たいのに比べ、それ以外の関係者は思惑としては早めの選挙で風に乗りたいと考えているあたり、ヤバそうです。本当に、なし崩し的に民主党が割れてしまうかもしれないし、公明党からすれば悪夢かもしれない。これ以上民主党が混乱すれば公明党は壊滅的打撃を受ける可能性が高い分、どうしてくれるんだという思いがあるのは分かります。


 そう考えると、渡辺恒雄氏が件の仲介者であるならば、大連立を小沢さんに迫るのに必要な背景もおぼろげながら見えてくるような気はします。本当に今後、国難がくるかもしれませんからな。

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Comments

ナベツネか大勲位か財界の大物か、誰が話を持ちかけたか知らんけど、
最終的にその話に乗ったのは小沢本人だからな。
過去に小沢は中曽根仲介で橋龍と会談したりしてるが、それだって最後に決めるのは自分だっただろうに。
それとも常に自分は操り人形だと言いたいのか?

まぁしかし、大連立の話を党内に持ち帰れば、確実に反対されることくらい分かっていたはずだよね。
根回しとか、政治の裏の部分を一番よく知っているはずの小沢が、そんな一世一代の大博打みたいな手を打つだろうか?

今回の「辞任撤回」なんて結果を見ても、結局小沢は代表の座を失っていないしさ、むしろ折れたのは執行部の方だよね。

もうなんか今回の辞任撤回までの流れは、事前に決まっていた(決めていた)ことであって、すべて小沢の作戦のようにも思えてくるんだけど、、、考えすぎかな?

 要するに、朝日(&毎日)VS読売(&産経)って理解でOK?
それぞれどこの利益の代弁者なのかってところが味噌ではないかと。
・・・しかし、だんだん皆さん殺気だって参りました。
どこかの何かの動きと連動しているのが見えてきますよね。
妖しさがいっぱい。

金集め職人乙

みんな金無いだろうに・・・

全然分からん。
日本の政治にもかかわらずローカルすぎる。
野球のリーグがどうとか言ってたときと全く同じだ。
だからナベツネなのか?

民主の保守系議員と自民が合流して公明を放り出すってのが一番嬉しい展開なんだけどなぁ。

2月総選挙。

ナベちゃんは、民意のつきあげをくらって、民意を理解できていないことを痛く反省して、日本のためと動いたのだろうけど、民意がわからないままだから、ダメじゃんということだろうぜ。

民意は成長しているんだよ。このまえ幼稚園だったけど、今は小学2年生だ。すぐ、中学生になって、5年後には成熟した大人になるのだと思うぞ。

今度の総選挙は、自民党が勝利したとしても、ジジーはみんな落選かもしれないな。小沢だって落選するかもしれない。とにかく、街頭インタビューが面白い。庶民の声が面白いよね。

あの人(名誉何とかを、おそらく世界で一番もらってるお方)が大魔王ゾーマって訳ですか……

しかし、噂には聞いていたけど、本当に色んなところに内偵してるんだな学…じゃなかった工作員。
実は日本最強の防諜組織じゃね?

>民主の保守系議員と自民が合流して公明を放り出すってのが一番嬉しい展開
どうなるか想像してみ。そこそこ笑えるから。

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    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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